Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は、Ciliumの“卒業”を発表した。CiliumはeBPFを採用したオープンソースのクラウドネイティブソリューションで、ワークロード間のネットワークの接続を提供、保護、監視するものだ。
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Linux Foundation傘下でクラウドネイティブ関連のオープンソースソフトウェア(OSS)を管理する団体であるCloud Native Computing Foundation(CNCF)は2023年10月11日(米国時間)、「Cilium」の“卒業”を発表した。CiliumはeBPFを採用したオープンソースのクラウドネイティブソリューションで、ワークロード間のネットワークの接続を提供、保護、監視するものだ。
Ciliumは、コンテナワークロード間のレイヤー3-4接続を提供するCNI(Container Network Interface)のeBPF(extended BPF)ベースの実装として始まった。その後、ネットワークポリシーや複数のKubernetesクラスタのメッシュ化、kube-proxyの置き換え、ネットワーク暗号化の提供、統合されたイングレスおよびイグレスゲートウェイ、帯域幅管理、BGP、外部ワークロードのKubernetesへの接続などの機能を含むように拡張された。Ciliumプロジェクトはサイドカーレスなサービスメッシュの先駆け的な存在で、そのサブプロジェクトである「Hubble」はレイヤー3-7、メトリクス、サービスマップ、UIのネットワーク観測性を提供している。同じくCiliumのサブプロジェクトを源流とする「Tetragon」は、セキュリティ観測性とランタイムエンフォースメントに焦点を当てている。
Ciliumの共同設立者であり、スイスのソフトウェア開発事業者であるIsovalentのCTO(最高技術責任者)を務めるトーマス・グラフ氏は、「Ciliumの卒業は、単純なCNIから、プラットフォームと組織がクラウドネイティブの旅で次のステップに進むための、完全なネットワーキング、可観測性、セキュリティソリューションへの進化を強調するものだ」と述べている。
Ciliumは当初、IsovalentによってeBPFに基づいて一から構築された。2021年10月にインキュベートCNCFプロジェクトとなり、2023年10月時点では7つの異なる企業のメンテナーと800人以上の個人貢献者がいる。
このプロジェクトは世界最大級のKubernetesクラスタを運用しており、エンドユーザーはデジタルネイティブな新興企業から金融機関、通信事業者まで多岐にわたる。Ciliumは、コミット数ではKubernetesに次いで2番目に活発なCNCFプロジェクトだ。
CNCFは、「卒業は最終的な目標ではなく、むしろCiliumを中心としたシステム構築の始まりだ。プロジェクトはKubernetesだけでなく、ベアメタルや仮想マシンのような外部ワークロードのサポートも含めて成長している」と述べている。
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