ABI Researchは、メタバースのユーザー数が2030年までに10億人に上り、メタバースの収益が500億米ドルに近づくとの予測を発表した。
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ABI Researchは2023年10月19日(米国時間)、メタバースのユーザー数が2030年までに10億人に上り、消費者分野においてメタバースの収益が500億米ドルに近づくとの予測を発表した。
メタバース技術はハイプサイクルのピークからは脱落しているかもしれないが、スポットライトを浴びることがなくとも、進化を続けている。デジタルトレンドやAI(人工知能)などの先端技術、新たなデバイス/インタフェースの登場という3つの柱により、既にメタバースの形成は始まっていると、ABI Researchは述べている。
ABI Researchは、規制の変更や標準化、技術の進歩や新しいビジネスモデルが全分野に影響を与え、メタバースの構築を前進させ続けると予測しており、メタバースのユーザー数は2030年までに10億人に達するとした。またメタバースの加速により、2026年〜2027年以内に、消費者分野でメタバースの収益は500億米ドルに近づくとした。
ABI Researchで主任アナリストのマイケル・イノウエ氏は「私たちはメタバースという言葉を使用しているが、この言葉に過大な価値を置くべきではない。メタバースは新しい現象ではなく、現在進行中の市場の変遷や業界のトレンドを体系化するための有用な方法として捉えるべきだ。メタバースにおいてもAIはスポットライトを浴びているが、メタバースに取って代わるものではない」と述べている。
ABI Researchは「Apple Vision Pro」のような新しいXR(クロスリアリティー)デバイスが、空間コンピューティングの可能性を強調し、既存のワークフローと、より没入感のある環境でのアプリケーションとの、強力な橋渡しをする存在となるとした。
「Wi-Fi 7」のような無線通信技術の進化は、モバイルデバイスとXRビュワー間の通信を改善し、より多くの人々がこれらのデバイスを利用できるようになる。デジタル資産と関連した新たなビジネスモデルがゲームやソーシャルメディア市場から生まれ、コンテンツの開発に拍車が掛かると、ABI Researchは述べている。
メタバースの進化により、ネットワークと計算リソースに対する需要とニーズに影響を与え、ハイパースケーラーなどの事業者、小売業者やブランドや製造業など、バリューチェーンのプレイヤー全体に新たな機会を生み出すという。
「プライバシーや消費者へのパワーとコントロールの移行、インダストリー4.0、ネットワークコンバージェンス、ライブサービスゲーミングなどのトレンドを見てみると、将来のメタバースに向けた明確な類似点と道筋が見えてくる。将来、メタバースと呼ばれていなかったとしても、こうした技術、市場トレンドが組み合わさった未来があり得る」(イノウエ氏)
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