OpenELAはEnterprise Linux OS構築に必要な全てのパッケージのソースコードを利用可能にすることを発表した。
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「Open Enterprise Linux Association」(OpenELA)は2023年11月2日(米国時間)、「Enterprise Linux」のソースコードの一般公開と、重要な技術的およびガバナンスのマイルストーンを発表した。OpenELAは、オープンソースのEnterprise Linuxディストリビューションの開発者の業界団体であり、CIQ、Oracle、SUSEの3社によって2023年8月に設立された。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)互換ディストリビューションの開発を推進している。
OpenELAの創設スポンサーはコミュニティーの基盤を構築中であり、コードベースの作成に取り組んでいる。OpenELAはEnterprise Linux OSを構築するために必要な全てのパッケージに関するソースコードを利用可能にすることを予定しているという。最初に焦点を当てるのがEnterprise Linuxのバージョン8(EL8)およびバージョン9(EL9)で、EL7用のパッケージも近日中に公開を予定している。OpenELAプロジェクトは、Enterprise Linuxのソースコードを今後もコミュニティーに継続的に提供すると発表している。
OpenELAは、米国内の法律により課税を免除される非営利企業で、米国デラウェア州に設立された。OpenELAは、オープンソースのEnterprise Linuxディストリビューションの開発に関心を持つステークホルダーに対する、意見交換や協力の場の提供を目指しているという。
同時にOpenELAは、技術運営委員会(TSC)を設立したことを発表した。TSCはOpenELAのガバナンスと意思決定プロセスにおいて重要な役割を担い、プロジェクトの技術的側面を監督し、その開発と継続的なメンテナンスを指導する。TSCは当初、設立企業のメンバーで構成され、OpenELAのトップレベルのgit Organizationへのアクセスの管理を行っていた。その後も、時間の経過とともにより幅広い役職を担うことが期待されている。
TSCはOpenELAの技術面でも重要な役割を担っているという。コミュニティーの利益を代表し、コラボレーションを促進すると同時に、コードとコミュニティーのセキュリティを確保し、継続的なコードの可用性とコードベースのメンテナンスのための環境を提供するとしている。
CIQの最高経営責任者(Chief Executive Officer)であり、「Rocky Linux」の創設者であるグレゴリー・カーツァー氏は次のように語る。「今日、私たちは一流のオープンソース市民としてEnterprise Linuxを構築し、保守するために必要なソースコードを公開する。世界中の組織が『CentOS』を標準としたのは、CentOSが自由に利用でき、Enterprise Linuxの標準に準拠しており、サポートが充実していたからだ。CentOSが廃止された後、エコシステムに穴が空いただけでなく、コミュニティーが団結してより良いものを作る必要があることが明確になった。OpenELAはまさにその役割を担うものだ」
また、「Oracle Linux」開発責任者のヴィム・コカーツ氏はこのように述べている。「2023年初めにOpenELAを設立した際、オープンソース開発者コミュニティーに対して多くの約束をした。パッケージのソースコードが利用可能になったこと、法人化が完了したこと、そして技術運営委員会の設立を発表したことで、私たちは約束を実行し、誰もが互換性のあるEnterprise Linuxディストリビューションを開発できるように支援し、維持するという約束を果たそうとしている。これらの重要なマイルストーンに到達できたことを非常にうれしく思っており、OpenELAの採用とOpenELAを巡るコラボレーションが拡大することを楽しみにしている」
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