インターネットトレンドを分析した年次報告書、Cloudflareが発表 「生成AI」カテゴリーではOpenAIが首位に人気のサービスや技術、接続と速度、セキュリティなどを網羅

Cloudflareは、1年を通じて観測されたインターネットのトレンドやパターンをさまざまな指標で分析した年次報告書を発表した。

» 2023年12月15日 08時00分 公開
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 CDN(Content Delivery Network)やインターネットセキュリティサービスなどを手掛けるCloudflareは2023年12月12日(米国時間)、Cloudflareのグローバルネットワークで1年を通じて観測されたインターネットのトレンドやパターンをさまざまな指標で分析した4回目の年次報告書「Cloudflare Radar 2023 Year in Review」を発表した。

 同報告書は、「トラフィックの洞察とトレンド」「接続と速度」「セキュリティ」の3つのセクションに分かれており、情報をインタラクティブに掘り下げることができるグラフを多用しながら、分析結果を示している。

 Cloudflareは同日、この報告書の概要を解説したブログ記事「Cloudflare 2023 Year in Review」も公開した。以下では、このブログ記事で挙げられた年次報告書のハイライトを紹介する。なお、ブログ記事では静的なグラフしか掲載されていないが、解説文は年次報告書より詳しい。

トラフィックの洞察とトレンド

 2023年に世界のインターネットトラフィックは25%増加した。これは2022年のピーク時の増加率とほぼ一致している。大型連休、悪天候、意図的なシャットダウンがインターネットトラフィックに明らかな影響を与えた。

 インターネットサービスの「一般」のカテゴリーでは、Googleが2022年に続いて最も人気のあるサービスとなった。2021年に首位に立ったTikTokは、4位に後退した。OpenAIは、新しい「生成AI」のカテゴリーで首位を獲得し、Binanceは引き続き最も人気のある暗号通貨サービスとなった。

「一般」のインターネットサービスの人気トップ10(提供:Cloudflare)

 世界全体では、モバイルデバイスのトラフィックの3分の2以上がAndroidデバイスによるものだった。Androidデバイスは25以上の国/地域で、モバイルデバイストラフィックの90%以上を占めた。モバイルデバイストラフィックに占めるiOSデバイスの割合は、最も高い国(デンマーク)でも66%だった。

国別に見たOS別モバイルデバイストラフィック(提供:Cloudflare)

 Starlinkからのトラフィックは、2023年に世界で3倍近くに増加した。2022年半ばにサービスが開始されたブラジルからのStarlinkトラフィックは、2023年に17倍以上に増加した。

 アクセスの多いWebサイトで2023年に最もよく使われていた技術を分野別に見ると、WebアナリティクスではGoogle Analytics、JavaScriptフレームワークではReact、マーケティング自動化ではHubSpot、PaaSではAmazon Web Services(AWS)、プログラミング言語ではPHP、WebフレームワークではNuxt.jsだった。他にも6分野でランキングが報告されている。

アクセスの多いWebサイトで2023年に最もよく使われていたJavaScriptフレームワーク(提供:Cloudflare)

 世界全体では、Webリクエストの半数近くがHTTP/2を使用し、20%がHTTP/3を使用していた。

 Node.jsは、API呼び出しの自動化に最も使用された言語だった。

API呼び出しの自動化に最も使用された言語(提供:Cloudflare)

 2023年にCloudflareへのリクエストトラフィックが最も多かったのは、Googlebotだった。

接続と速度

 2023年には、世界で180件以上のインターネット停止が観測された。その多くは、政府の指示による地域や国レベルでのインターネット接続の遮断に起因していた。

 2023年全体を集計すると、IPv6対応リクエストのうちIPv6経由で送信されたものは、世界全体で3分の1にとどまった。だが、インドではこの割合が70%に達した。

 国/地域別のインターネット品質を4つの指標(ダウンロード速度、アップロード速度、アイドルレイテンシ、ロードレイテンシ)で測定したところ、アイスランドが全ての指標で最も好成績を収めた。平均ダウンロード速度の上位10カ国は、いずれも200Mbpsを上回った。

 世界のトラフィックの40%以上がモバイルデバイスからのものだった。80以上の国/地域では、モバイルデバイスからのトラフィックがトラフィック全体の過半数を占めた。

一部の国/地域におけるトラフィックのデバイス別内訳(提供:Cloudflare)

セキュリティ

 2023年には、世界のトラフィックの5.65%がCloudflareのシステムによって、有害な可能性があるとして、あるいは顧客が定義した理由から、軽減された(ここでの「軽減された」は、「終了」アクションが適用されたことを指す)。米国ではトラフィックの3.65%が、韓国では同8.36%が軽減された。

 世界のbotトラフィックの3分の1は米国で、11%以上がAmazon Web Services(AWS)で発生した。

世界のbotトラフィックの発生国(提供:Cloudflare)

 世界全体では、金融が最も攻撃された業種だが、軽減されたトラフィックが急増した時期や、ターゲット業種は、年間を通じて、また世界の地域によって大きく異なっていた。

 Apache Log4jは古い脆弱(ぜいじゃく)性だが、2023年もサイバー攻撃で最も狙われた。だが、新しいHTTP/2 Rapid Resetの脆弱性を突いた記録的な規模の攻撃も相次いだ。

 TLS 1.3トラフィックの1.7%がポスト量子暗号を使用している。

 悪意ある電子メールメッセージで最もよく見られる脅威のタイプは、偽装リンクと恐喝だった。

悪意ある電子メールの脅威の動向(提供:Cloudflare)

 ルーティングセキュリティ(RPKI《リソース公開鍵インフラ》の有効なルートの割合として測定される)は、2023年に世界的に改善した。サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ベトナムなどの国で、この割合が大幅に上昇した。

調査方法

 Cloudflare Radar 2023 Year in Reviewのデータは、世界のインターネットのトレンドや洞察を誰でも無料で閲覧できる「Cloudflare Radar」の観測に基づいている。

 Cloudflare Radarは、120を超える国/地域の310以上の都市に広がるCloudflareのグローバルネットワークで生成されたデータを、Cloudflareの補完的ツールから得られるデータと組み合わせることで、インターネット全体のパターンやトレンドを独自にほぼリアルタイムに可視化している。

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