「ハードに」ではなく「スマートに」仕事をしていきたいGo AbekawaのGo Global!〜アリシアさん from マレーシア(後)(2/2 ページ)

» 2024年02月20日 05時00分 公開
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いつかサイバーセキュリティのプロになりたい

阿部川 現在の業務内容を教えていただけますか。

アリシアさん 私の仕事は大きく3つの分野に分けられます。1つ目はソフトウェアの分析。顧客のシステムをモニタリングして、セキュリティに関して、どうすればより効率的なセキュリティの運用ができるかを分析して提言します。2つ目は、トラフィックの監視や調査をし、場合によっては犯罪や法律に照らして最適な対処方法を考えます。3つ目は、教育です。技術的なノウハウを国内外のメンバーに共有します。具体的な脅威について調査してどのように対応するかなどの情報も共有します。

阿部川 毎日、大変忙しいのではないですか。

アリシアさん もちろん忙しいのですが、必要以上に忙しくならないように意識しています。PCを使って自動化できることは、極力自動化するようにいつも考えています。


編集中村 編集 中村

 こういう考え方いいですよね。自分じゃなくてもできることはシステムにやらせておきたい。だからこそ逆に、手動でポチポチする業務をしていると「自分にもっと力があれば自動化できるのに……」とふがいない気持ちになってしまいます(笑)。


阿部川 この先、どういった仕事をしていきたいと思っていますか。例えば10年後はこういうふうになっていたい、といった感じで。

アリシアさん 今のところ、これといった具体的なアイデアはありません。ただ自分のキャリアをより広げる、あるいは深める方向で仕事をしたいと思っています。サイバーセキュリティに関するプロフェッショナルになりたいですね。

画像 最近のアリシアさん。トラディショナルな雰囲気のするステキなお部屋です

阿部川 ハードに仕事をしないといけませんね。

アリシアさん ハードに仕事をするのは嫌いなので、スマートに頑張りたいですね。実は怠け者なので(笑)。

「なぜ頑張るのか」を忘れないように

阿部川 日本のエンジニアに対して何かメッセージはありますか。

アリシアさん まだ私も若輩ではありますが、一緒に仕事をしている同僚を見ていつも思うことがあります。皆、よく仕事をしますし、「頑張る」と言うのですが、その頑張りの先にある“最終的な成果物”は何なのかを時々忘れているように見えるのです。

別の言葉で言えば「何をどこまでなら頑張るか」です。仕事を始める前に、どこまで、何を頑張るのかを確認してから仕事を始めた方がいいと思います。「なぜ頑張るのか」が分からないままだと、目的と違う方向に仕事を進めたり、単に時間を無駄にしたり、なぜこんなに努力しないといけないのか分からなくなったりすると思います。

阿部川 「頑張る」ことは手段なのに、いつの間にか目的になってしまっている人が多い、ということですね。

編集鈴木 セキュリティはいろいろと新しい方法や技術を、悪い人たちが次々に考えてくる分野だと思うのですが、そのための勉強、新しい知識の収集はどのようにしているのですか。

アリシアさん 主に2つですね。1つは、例えば座談会やハンズオンなどの企業が公開している情報公開の場があるので、それを利用させていただくこと。もう1つは、YouTubeなどの公開情報を活用することです。

編集鈴木 最後にもう1つだけ! マレーシアのおいしいご飯を教えてください。これ(と写真を見せる)この前、ペナンに行った時の写真ですが。

アリシアさん (写真を見て)これは……ルンダンかな……、辛くて酸っぱい? であれば、ラクサですかね。

編集鈴木 他にどんなものがありますか。辛くても大丈夫です。

アリシアさん それならやはりルンダンがお薦めです。チキンや牛肉カレーに似ているのですが、スパイスがたくさん入っていることが大きな違いです。辛いだけではなくて、香りなどのスパイスの独特の特徴が感じられ、通常のカレーとは一味違います。パックが市販されているので、私もたまに自宅で作ります。

Go’s thinking aloud インタビューを終えて

 「父のようなエンジニアになるため、全く言葉の通じない国に行って勉強する」と考える人がどれだけいるだろうか。もちろん中にはいるだろうが、それが“まれ”であることは、彼女を見ればよく分かる。

 英語、広東語、マレーシア語に日本語が加わる。それだけではない、コンピュータ言語もある。まさにこれが次世代のマルチリンガル。私は遠い昔に「C」や「C++」を使った設計をしていたが、もうとっくにさびついている。先日思い立って「Python」を学び始めた。初歩の初歩だが何か懐かしく、それに結構楽しい。そう思えるのは、楽しむこと(目的)が手段となっているからだろう。

 もちろん仕事は違う。「言語を学んで終わり」は、基本的にない。その先に目的の達成がある。

 当然苦しみもあるが、小さな達成の繰り返しが楽しみに変わる。何度もそれを体験すれば、習い性になり、仕事自体が好きになる。好きになりさえすれば、ほっといてもやり続けることができて、それでどんどん上達し、それがまた楽しい。このpositive loopに乗ればこっちのものだ。

阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)

アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD) 訪問教授 インタビュアー、作家、翻訳家

コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時から通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行う他、作家、翻訳家としても活躍中。

編集部から

「Go Global!」では、GO阿部川と対談してくださるエンジニアを募集しています。国境を越えて活躍するエンジニア(35歳まで)、グローバル企業のCEOやCTOなど、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。取材はオンライン、英語もしくは日本語で行います。

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