Google、新JPEGコーディングライブラリ「Jpegli」を紹介圧縮率が35%向上

Googleは、オープンソースの新しいJPEGコーディングライブラリ「Jpegli」を公式ブログで紹介した。

» 2024年04月09日 08時00分 公開
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 Googleは2024年4月3日(米国時間)、オープンソースの新しいJPEGコーディングライブラリ「Jpegli」を公式ブログで紹介した。インターネットのWebページの読み込みが遅い大きな原因になる画像エンコーディングを改善し、「インターネットをより速くする可能性を持つ有望な新技術」とうたっている。

 Jpegliは、従来のJPEGよりも高速かつ効率的で、画像もより美しくなるように設計されている。高い後方互換性を維持しながら、強化された機能を提供し、高品質圧縮設定で圧縮率を35%向上させる。

 Jpegliには、以下のような技術的特徴がある。

  • オリジナルのJPEG標準とその最も一般的な8bit形式に準拠し、JPEGコーデックの「libjpeg-turbo」およびJPEGエンコーダーの「MozJPEG」とAPI/ABI互換性がある、完全に相互運用可能なエンコーダーとデコーダーの実装を提供する
  • 高品質な出力:画像がJpegliで圧縮または伸長されると、より正確で視覚的に効果的な計算が実行され、画像はより鮮明に見え、観察可能な副作用が少なくなる
  • 高速:Jpegliは、画質や圧縮率が向上しているが、コーディング速度はlibjpeg-turboやMozJPEGなど従来のアプローチに匹敵する。このため、Web開発者は、コーディングのパフォーマンスやメモリ使用量を犠牲にすることなく、Jpegliを既存のワークフローに難なく統合できる
  • 10bit以上:Jpegliはコンポーネント当たり10bit以上でエンコードできる。従来のJPEGコーディングソリューションは、コンポーネント当たり8bitしか提供しない。Jpegliの10bit以上のコーディングは、オリジナルの8bit形式で行われ、得られる画像は8bitビュワーと完全に相互運用可能だ。10bit以上のコーディングはAPI拡張として利用でき、その恩恵を受けるには、アプリケーションコードの変更が必要になる
  • より高密度:Jpegliは、従来のJPEGコーデックよりも効率的に画像を圧縮する。そのため、帯域幅とストレージ容量を節約し、Webページを高速化できる

Jpegliが採用している新手法

 Jpegliは、ノイズを減らし、画質を向上させるために、多くの新しい手法を採用している。その中には、JPEG XLレファレンス実装(次世代画像フォーマットのJPEG XLのエンコーダーおよびデコーダーのレファレンス実装)における適応型量子化ヒューリスティックス、量子化マトリックス選択の改善、中間結果の正確な計算、より高度な色空間の使用などが含まれる。

 これらの手法は全て、従来の8bitJPEG形式を使用するように作られている。このため、新しく圧縮された画像は、ブラウザや画像処理ソフトウェアなど既存のJPEGビュワーと互換性がある。

Jpegliのテスト

 GoogleはJpegliの画質向上を定量化するため、クラウドソーシングで募った評価者の協力を得て、3つのコーデック(Jpegli、libjpeg-turbo、MozJPEG)でエンコードした「Cloudinary Image Dataset '22」の画像ペアを比較した。

 このテストでは、エンコードのみの比較に限定し、デコードは常にlibjpeg-turboを使用した。テスト条件に差が出ないように、XYB ICCカラープロファイルを無効にしてテストした。コーデックと設定間の結果の比較を簡単にするため、ELOスコアを使用して、全ての評価者の判定を集計している。

ELOスコアが高ければ高いほど、評価者調査の集計結果が良いことを示している。2.8BPPのjpegliは、3.7BPPのlibjpeg-turbo(jpegliよりビットレートが32%高い)より高いELO評価を受けたことが分かる(提供:Google) ELOスコアが高ければ高いほど、評価者調査の集計結果が良いことを示している。2.8BPPのjpegliは、3.7BPPのlibjpeg-turbo(jpegliよりビットレートが32%高い)より高いELO評価を受けたことが分かる(提供:Google)

 この結果は、Jpegliが従来のJPEGコーデックよりも、高品質な画像の圧縮率が35%高いことを示している。

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