Cohereは、同社のプロダクトの中で「最も強力でスケーラブル」とする大規模言語モデル「Command R+」を発表した。
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カナダのCohereは2024年4月4日(カナダ時間)、同社のプロダクトの中で「最も強力でスケーラブル」とする大規模言語モデル(LLM)「Command R+」を発表した。
Command R+はエンタープライズユースケース向けに設計されており、同社が同年3月に発表したLLM「Command R」と同様に12万8000トークンのコンテキストウィンドウを備える他、ハルシネーション(AI〈人工知能〉がもっともらしいが誤った回答を返すこと)を減らすインライン引用を含む検索拡張生成(RAG)、グローバルビジネスをサポートするための10カ国語対応、高度なビジネスプロセスを自動化するツールの使用といった特徴を持つ。対応言語は英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、日本語、韓国語、アラビア語、中国語だ。
CohereとMicrosoftは同日、新たな提携により、MicrosoftのMaaS(Models as a Service)提供の一環として、Command R+がAzure AIモデルカタログに統合されたことを明らかにした。
Cohereは、Command R+を発表したブログ記事の中で、Azure AIモデルカタログで提供される基盤モデルのうち「Mistral-Large」「GPT4-turbo」とCommand R+のパフォーマンス、料金を比較した下のグラフを紹介し、Command R+の価格性能比の高さをアピールしている。
開発者と企業は同日から、Microsoft AzureでCommand R+にアクセスできるようになった。また、Command R+は発表時点で、CohereがホストするAPIでも直ちに利用可能になるという。
Cohereは、Command R+のRAG、ツール使用、多言語対応という特徴を強調するため、それぞれについて、他のLLMとの比較結果を示すグラフも紹介している。
Cohereは、「RAGは、企業がLLMを採用し、独自データでカスタマイズするための基礎的なビルディングブロックとなっている」との認識を示す。高度なRAGに最適化されたCommand R+は、応答精度が向上しており、ハルシネーションを軽減するインライン引用を提供する。こうした機能のおかげで、企業はさまざまな業務分野にわたって、最も関連性の高い情報を迅速に見つけられるとしている。
LLMに関しては、テキストを取り込んで生成する機能だけでなく、コア推論エンジンとしての機能にも大きな期待が寄せられている。その中には、判断したりツールを使用して複雑なタスクを自動化したりする機能が含まれる。Command R+では、APIとLangChainでこうした機能にアクセスできる。これにより、AIアプリケーションを単純なチャットbotから、生産性向上のための強力なエージェントや調査ツールに進化させることができると、Cohereは述べている。
Command R+は、企業が地域や文化を越えてよりシームレスに業務をできるように支援するため、10の言語に対応している。この多言語機能により、ユーザーは母語にかかわらず、膨大なデータソースから正確な回答を得ることができる。
CohereのCommand Rシリーズは、非英語テキストを圧縮するトークナイザを搭載している。このトークナイザは、市場の他のLLMで使用されているトークナイザよりもはるかに優れているとした。
Command R+は現在、Cohereのデモ環境にあり、簡単なチャットインタフェースで誰でもテストできる。CohereのLLMは、提携先である全ての主要なクラウドプロバイダーのサービスで提供されている他、規制業種やプライバシーに敏感なユースケース向けにオンプレミスでも提供されている。
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