世界中の航空機のフライト情報を追跡、可視化したサービスを提供するFlightradar24は、GPSジャミングや干渉を受けている地域を可視化した「GPS jamming map」を公開した。
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航空機のフライト情報を追跡、可視化するWebサービスを提供するFlightradar24は2024年3月21日(米国時間)、GPSの妨害(ジャミング)や干渉を受けている地域を可視化した「GPS jamming map」を公開した。
GPS jamming mapは、全地球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)への干渉レベルを緑(低)〜赤(高)で示しており、過去6時間または24時間の干渉レベルを確認することができる。
Flightradar24は、航空機の位置や速度などの情報をリアルタイムで地上局にブロードキャストする仕組みである「ADS-B」(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)を活用して、それぞれの航空機の位置や高度、速度などを可視化している。
ADS-Bで送信されるメッセージには、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、中国のBeiDouなど各国の測位衛星からの位置情報が含まれている。Flightradar24は、ADS-Bメッセージの一部に含まれるNIC(Navigation Integrity Category)に着目した。
NICとは、航空機から送信されたADS-Bメッセージの精度と信頼性を示す数値だ。ある航空機のNIC値が大きい場合、その航空機の位置が不正確か大きな誤差がある。逆にNIC値が小さければ、位置情報が非常に正確で信頼できる。Flightradar24は特定の地域における複数の航空機のNIC値を長時間にわたって収集、分析することで、その地域のGPSジャミングや干渉の度合いを計算して可視化した。
GPSジャミングは、正規のGPS信号を妨害または遮断するために意図的に信号を送信する行為だ。GPS干渉とは、電磁放射、大気条件、太陽活動などさまざまな要因により引き起こされる意図しない妨害だ。
GPSジャミングの場合、GPS衛星が使用している同じ無線周波数で信号を送信することで機能する。これらの信号は、GPS受信機が受信する正規のGPS信号を圧倒または干渉し、受信機が位置、速度、時間を正確に特定できなくさせる。これにより、さまざまなシステムやサービスに影響を及ぼす。
航空機の場合、正確な位置の推定、ルートガイダンスなどでGPSに大きく依存している。GPS信号が乱れると、ナビゲーションエラー、誤った高度の読み取り、位置情報の喪失というリスクをもたらす。特に離着陸や低視認性条件下での計器進入など重要なフェーズでは、飛行経路の逸脱、進入ミス、衝突が発生する恐れがある。
「航空機のシステムは冗長化されており、パイロットはGPS妨害に対処する訓練を受けている。だが、GPSジャミングは増加する懸念事項だ。これらのリスクを軽減するために、さらなる技術的改善や運用手順の強化が必要だ」と、Flightradar24は述べている。
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