Cohere、企業ワークロード向けLLM「Command R」のファインチューニング機能を提供開始長いコンテキストのタスクや大規模な本番ワークロードに最適化されたLLM

Cohereは、2024年3月に発表したエンタープライズワークロード向け大規模言語モデル「Command R」のファインチューニング機能を提供開始した。

» 2024年05月16日 08時00分 公開
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 Cohereは2024年5月9日(米国時間)、同年3月に発表した大規模言語モデル(LLM)「Command R」のファインチューニング機能を提供開始したと発表した。

 Command Rは、エンタープライズグレードのワークロード向けのスケーラブルなLLMだ。CohereはRシリーズのLLMとしてCommand Rと、より大規模で強力な「Command R+」(同年4月に発表)をラインアップしている。

 ファインチューニング機能を利用することで、企業はCommand Rに自社固有の用語や文言、ドキュメントを取り込み、自社のニーズに合わせて高度にカスタマイズしたモデルを作成できる。

 管理されたファインチューニング機能をCommand Rで実行することで、パフォーマンスをさらに向上させ、市場に出回っているLLMと比べて、わずかなコストで高い成果を得ることができると、Cohereは述べている。顧客は最大5つのハイパーパラメーターを調整でき、モデルのパフォーマンスを効率的に最適化しながら、より大規模な他モデルと比べコストを15分の1まで抑えることができるという。

 Command RはCommand R+と同様に、12万8000トークンのコンテキストウィンドウを備え、長いコンテキストのタスクや大規模な本番ワークロードに最適化されている。例えば、ハルシネーション(AIがもっともらしいが誤った回答を返すこと)を減らすインライン引用を含む高度な検索拡張生成(RAG)、複雑なビジネスワークフローを自動化するツールの使用、グローバルビジネスをサポートするための10カ国語対応(日本語を含む)といった特徴を持つ。

エンタープライズユースケースでの他の大規模モデルとの精度比較

 Cohereは、金融サービスや科学研究のような情報集約型の業種を想定した「要約」「調査、分析」といったユースケースにおいて、ファインチューニングしたCommand Rと、より大規模な他モデル(GPT-4、GPT-4 Turbo、Claude 3 Opus)のパフォーマンス(精度)を比較した結果として下の3つのグラフを紹介し、ファインチューニングしたCommand Rの価格性能比の高さを強調している。

会議録要約の精度

会議録要約に関するファインチューニング済みCommand R、GPT-4(0613)、GPT-4 Turbo(gpt-4-turbo-2024-04-09)、Claude 3 Opusのパフォーマンス比較(合格率)(提供:Cohere)

複雑な金融クエリ処理の精度

ConvFinQAデータセットに関するファインチューニング済みCommand R、GPT-4(0613)、GPT-4 Turbo(gpt-4-turbo-2024-04-09)、Claude 3 Opusのパフォーマンス比較(提供:Cohere)

幅広い科学的な多項選択式の質問に対する回答の精度

ScienceQAデータセットに関するファインチューニング済みCommand R、GPT-4(0613)、GPT-4 Turbo(gpt-4-turbo-2024-04-09)、Claude 3 Opusのパフォーマンス比較(提供:Cohere)

効率性とコスト

 ファインチューニングしたCommand Rは、より大規模でホスティングとサービス提供のコストが高いモデルと比べて、より効率的にサービスを提供でき、トークンのレイテンシ短縮とスループット向上により、より優れたユーザー体験を提供すると、Cohereは述べている。こうした高いパフォーマンスとコストの低さから、Command Rはより大規模で高価なモデルと比べて、多くのエンタープライズユースケースで魅力的な選択肢になるとしている。

「Amazon SageMaker」のp4d.24xlargeインスタンスに展開したファインチューニング済みCommand Rと、同じプロファイルでのGPT-4(0613)、GPT-4 Turbo(gpt-4-turbo-2024-04-09)、Claude 3 Opusの報告数字によるレイテンシとスループットの比較(提供:Cohere)
ファインチューニングと入出力のコスト比較(提供:Cohere)

Command Rのファインチューニング機能の提供

 企業や開発者はCommand Rのファインチューニング機能を、Cohereプラットフォーム(Cohere Dashboard、ファインチューニングAPI、Python SDK)とAmazon SageMakerですぐに利用できる。この機能は近い将来、他のプラットフォームでも利用可能になる。

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