MicrosoftはArmベースプロセッサ「Azure Cobalt 100」を搭載した新しいAzure仮想マシンのプレビュー公開を発表した。本記事ではその概要を紹介する。
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Microsoftは2024年5月21日(米国時間)、Armベースプロセッサ「Azure Cobalt 100」を搭載した新しいAzure仮想マシン(VM)のプレビュー公開を発表した。同社によるとCobalt 100プロセッサは、Neoverse Nシリーズ(N2)Arm CPU設計に基づいており、スケールアウト型クラウドベースアプリケーションのパフォーマンスを最適化しているという。プレビューには、汎用(はんよう)のDpsv6シリーズおよびDplsv6シリーズと、メモリ最適化VM(Epsv6シリーズ)が含まれる。
Dpsv6およびDpdsv6は、「Azure Kubernetes Service」(AKS)上で実行されるようなスケールアウト型ワークロードやクラウドネイティブコンピューティングソリューションを効率的に実行できるよう設計されている。これらのVMは、小規模から中規模のオープンソースデータベース、アプリケーションサーバ、Webサーバに適している。
Microsoftによると、これらのVMは、小規模から中規模のオープンソースデータベース、小規模データベース、アプリケーションサーバ、Webサーバ、コンテナ化されたアプリケーション、メディアエンコーディングなどvCPU当たりの高いRAMを必要としないワークロードに適しているという。
加えて、メモリ最適化VMのEpsv6およびEpdsv6は、vCPU当たりのメモリが大きい、大規模データベース、インメモリキャッシングアプリケーション、データ分析ワークロードに適しているとした。「新しく発表した全てのCobalt 100搭載VMは、最新の動的でスケーラブルなアプリケーションをシームレスに実行できるだろう」(Microsoft)
MicrosoftによるとAzure Cobalt 100 VMは、前世代のAzure ArmベースVMと比較して、CPU性能で最大1.4倍、Javaベースのワークロードで最大1.5倍、Webサーバ、.NETアプリケーション、インメモリキャッシュアプリケーションで最大2倍の性能を発揮するという。これらのVMは、前世代のAzure ArmベースVMと比較して、4倍のローカルストレージIOPS(I/O毎秒、NVMeダイレクト使用時)と最大1.5倍のネットワーク帯域幅をサポートしている。
VMを選択する際は、それぞれのAzure仮想マシンからワークロードのCPU性能とメモリのニーズを満たすものを選べる。また、vCPUサイズに対して3種類のメモリ比率から選択できるため、ワークロードに適した構成を選択できる。シリーズごとの性能は下記の通り。
これらのVMは、全てローカルディスク付きとディスクなしオプションが用意されており、ワークロードごとに選択できる。また、Azureポータル、SDKなどの既存の方法を使用してデプロイできる。
プレビュー期間中、VMは米国中部、米国東部、米国東部2、米国西部2、北ヨーロッパ、西ヨーロッパ、東南アジアのAzureリージョンで利用できる。リージョン数は2024年以降拡大する予定だという。
また、プレビュー期間中はAzure Cobalt 100 VMを無料で利用できる。しかしながら、Azureサブスクリプションには、デプロイで使用されるディスクストレージなど他のAzureリソースやサービスの使用に関連する料金が請求される。
新しいVMは、Standard SSD、Standard HDDなど、全てのリモートディスクタイプをサポートする。ただし、ディスクストレージは仮想マシンとは別に課金される。
Azure Cobalt 100 VMは、「Ubuntu」「CentOS」などのLinux OSディストリビューションをサポートしている。クライアントアプリケーション開発者は、クラウドベースのビルドとテストワークフローを実行するためにAzureのプラットフォームを利用できる。Windows開発者は、Windows 11 ProとEnterpriseのインサイダープレビューをAzure Cobalt 100 VMで利用できる。
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