【ChatGPT】希望の回答形式をあらかじめ指示、ChatGPTパラメーター活用法Tech TIPS

ChatGPTには、APIで指定するAI(人工知能)モデルを調整するための「パラメーター」が用意されている。このパラメーターの中には、プロンプトに設定することも可能なものがある。本Tech TIPSでは、プロンプトで利用可能なパラメーターを幾つか紹介しよう。

» 2024年06月17日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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対象:ChatGPT(Web版)


知っているとちょっと便利なパラメーターの使い方 知っているとちょっと便利なパラメーターの使い方
ChatGPTには、プロンプト(入力)で設定できる「パラメーター」がある。これを使うと、複数の回答がある質問に対して、回答数を指定するなど回答をコントロールできる。ChatGPTで利用できるパラメーターを幾つか紹介しよう。

本Tech TIPSは2024年6月14日の状況、情報を元に執筆されています。ChatGPTは、頻繁に更新されるため、記事の内容と実際の状況が異なってしまう可能性があります。その場合は、適宜、記事を更新する予定です。


 ChatGPTを使っていて、同じような質問に対して回答に一貫性がないと感じたり、逆にもう少し創造的な回答が欲しかったり、と思ったことはないだろうか(ChatGPTのデフォルトでは、少し創造的に回答するように設定されている)。

 AI(人工知能)モデルとして同じGPT-3.5/4を採用するMicrosoftの「Microsoft Copilot」では、回答のスタイルとして「より創造的に」「より厳密に」「よりバランスよく」の3種類から選択できるようになっている。しかし、ChatGPTの画面ではそうした選択肢は実装されていない。

Microsoft Copilotでは「会話のスタイル」が設定可能 Microsoft Copilotでは「会話のスタイル」が設定可能
Microsoft Copilotでは、「より創造的に」「より厳密に」「よりバランスよく」の3種類から選択できる。残念ながらChatGPTではこうした機能は提供されていない。しかし、パラメーターを使うと、似たような設定が可能だ。

 ただ、プロンプト(入力)に「パラメーター」と呼ばれるキーワードと値を設定することで、回答のスタイルを若干調整できる。ChatGPTには、他にも幾つか便利なパラメーターが用意されており、これらを使うことでちょっと上を行く使い方ができる。そこで本Tech TIPSでは、ChatGPTで使えるパラメーターを紹介しよう。

回答の文字数を制限したいなら「Max_Length」を使う

 ChatGPTでは、意外と詳しい説明が回答として出力されることが多い。そのため、「回答を分かりやすく短くまとめて」といったような指示を入力することもあるのではないだろうか。このような場合、最初から「回答を300文字程度でまとめて」と指示しておくとよい。

 この文字数制限は、パラメーターとしても用意されており、質問の前後に以下のように入力しておくと、指定した<文字数>程度で回答が出力される。

Max_Length = <文字数>


回答の文字数を制限するパラメーター

回答の文字数を制限する(1) 回答の文字数を制限する(1)
ChatGPTでは、意外と詳しい回答を出力する。そのため、もう少し簡潔な回答が欲しいという場合は、「Max_Length」パラメーターを使うとよい。
回答の文字数を制限する(2) 回答の文字数を制限する(2)
「Max_Length=100」を設定すると、このように回答が短く簡潔になる。100文字を指定しているが、このケースでは170文字程度と設定値よりも長くなっている。

 なおChatGPTで改行を入力する場合は、[Shift]+[Enter]キーを押す。

複数の回答が欲しいなら「N」で指定する

 例えば、新しい商品の商品名をChatGPTに提案してもらおうという場合、単に商品の特徴を入力して、これに適した商品名を示してほしい、とすると「こんな商品名はどうでしょうか?」と幾つかの商品名を提示してくれる。この提示する数を増やしたい場合(逆に減らしたい場合)は、以下のようにパラメーターで指定するとよい。指定した数の提案を得ることができる。

N = <回答数>


回答数を設定するパラメーター

 例えば、「日本で低い山を教えて」と聞くと、ChatGPTは5つの低い山を提示してくれる(こういった種類の質問に関しては、5つ程度を提示するようだ)。3つの低い山が知りたければ、「N=3」と指定すれば、低い順に3つの山を紹介してくれる。同様に「N=9」とすれば、低い順に9つの山が紹介される。

回答の数を指定する 回答の数を指定する
複数の回答があるような質問に対して、ChatGPTではデフォルトで5つ程度の回答を示すようだ。もう少し回答の数を減らしたい、増やしたいといった場合は、「N」パラメーターで回答数を指定するとよい。

 このように複数の回答を得たい場合、パラメーター「N」を使うと明示的に回答数が指示できる。

厳格な回答が欲しいなら「Temperature」を使う

 ChatGPTで同じ質問をしても、そのたびに回答が異なる場合がある。用途によっては、回答が異なるのは困ることもあるだろう。逆に、生成AI(人工知能)による少し意外性のあるアイデアなどが欲しい場合には、少し物足りない回答しか出力されないこともある。

 前述の通り、Microsoft Copilotでは「より創造的に」「より厳密に」「よりバランスよく」の3種類の回答スタイルから選択可能とすることで、こうした要望をカバーできるようになっている。残念ながらChatGPTには、こうした回答スタイルを選択できる機能は提供されていない。

 ChatGPTのAPIを使えば、「Temperature」を使うことで、同様の設定が可能だ。しかし、プロンプトでこのパラメーターを指示しても、AIモデルの「Temperature」は変更されないとのことだ。

 では、全く無意味かというと、そうでもない。ChatGPTでは、プロンプトに「Temperature=1」などの入力があると、その指示に応じて応答のスタイルやトーンを調整してくれる。つまり、実際にはAIモデルのパラメーターは変更されていないものの、その意図をくみ取ったような回答を出力してくれるというわけだ。

「Temperature」はどういったパラメーターなのか

 「Temperature」とは、生成されるテキストの多様性や創造性を制御する設定である。「Temperature」の値を変更すると、AIモデルが次に出力する単語の確率分布を調節できる。この値を小さくすると高い確率の出力が選ばれやすくなり、逆に値を大きくすると低い確率の出力でも選ばれてしまうようになる。そのため、「Temperature」の値を小さくすると、高い確率の出力が選ばれやすくなり、一貫した回答が出力されるようになるわけだ。

 ChatGPTのAPIでは、「Temperature」を「0」から「2」の範囲で設定できる。小さい値(「0」に近い値)ほど、確実な回答を出力しようとする。一方、大きな値(「2」に近い値)ほど、創造性が高い回答が出力される傾向にある一方で、場合によっては誤りやおかしな内容が含まれてしまうリスクがあるということだ。

 とはいえプロンプトに入力した場合は、実際にパラメーターが変更されているわけではないので、「Temperature」にどんな値を設定しても構わないようだ。また編集部で試した限り、「Temperature=2」以上に設定しても、おかしな回答になることはなかった。

「Temperature」を試してみる

 「Temperature」の効果は、哲学的な質問の方が分かりやすいようだ。ここでは「海とは?」という質問を「Temperature」の値を「0.1」に設定した場合と、「2.0」に設定した場合で出力してみた。「Temperature=2.0」に設定した方が、より詳しい回答が出力された。

海は、地球表面の大部分を覆う広大な塩水の集合体で、気候、天気、そして生物多様性に大きな影響を与えています。海は地球の水循環の一部であり、陸地や大気と相互作用しています。また、海洋生態系は多くの生物種の生息地であり、食料資源や鉱物資源の供給源としても重要です。

具体的には、海は以下のような特徴を持っています:

1. 広大な範囲: 地球の表面積の約71%を占めています。
2. 塩分濃度: 海水は平均して3.5%の塩分を含みます。
3. 生態系: サンゴ礁、深海、沿岸域など、様々な生態系が存在し、多くの動植物が生息しています。</p>
4. 気候への影響: 海は熱を蓄える能力が高く、気候調節機能を持っています。海流は熱を運び、地域の気候に影響を与えます。
5. 経済的価値: 漁業、海運、観光業など、多くの産業が海に依存しています。

海は、地球の自然環境と人間社会の両方にとって不可欠な存在であり、その保護と持続可能な利用が重要です。


「Temperature=0.1」の回答

海は、地球の表面積の約71%を占める広大な塩水の集合体です。地球の気候調節、生態系の維持、人間の生活や経済活動において非常に重要な役割を果たしています。以下に、海の主要な特徴や役割について簡単に説明します。

1. 広さと深さ:
   - 地球の表面積の約71%を覆い、5つの主要な海洋(太平洋、大西洋、インド洋、南極海、北極海)に分けられます。
   - 深さは場所によって異なり、平均で約3,688メートルですが、最も深いマリアナ海溝では約11,034メートルに達します。

2. 塩分:
   - 海水は平均して約3.5%の塩分を含んでおり、これは約35グラムの塩分が1リットルの海水に溶けていることを意味します。
   - 塩分濃度は場所によって異なり、特定の地域ではより高く、または低くなることがあります。

3. 気候と天候への影響:
   - 海は太陽エネルギーを吸収し、気候システムに大きな影響を与えます。
   - 海流は地球規模で熱を運び、地域の気候に影響を与えます。例えば、暖流は温暖な気候をもたらし、寒流は冷涼な気候をもたらします。

4. 生物多様性:
   - 海は多種多様な生物の生息地であり、サンゴ礁、藻場、深海など、多様な生態系が存在します。
   - 多くの魚類、海洋哺乳類、無脊椎動物、海藻などが海に依存しており、その多様性は陸上生態系を上回ることもあります。

5. 人間社会への影響:
   - 海は漁業、海運、観光など、多くの産業にとって重要な資源です。
   - 海洋資源の持続可能な管理は、食料安全保障や経済発展において重要です。</p>

6. 環境保護の重要性:
   - 海洋汚染、過剰漁業、気候変動などの問題は、海の健康に深刻な影響を及ぼしています。
   - 海洋環境の保護と持続可能な利用は、地球全体の環境保護にとって不可欠です。

海は単なる水の広がりではなく、地球の生命と環境にとって不可欠な要素です。その豊かさと美しさを守るために、私たちは海洋環境を大切にし、持続可能な方法で利用する必要があります。


「Temperature=2.0」の回答

 回答に違いがあるので、少し違った回答が得たいという場合は、「Temperature」の値を設定してみるとよい。ただ、「Max_Length」や「N」のように明確に出力に違いが出るわけではない点に留意してほしい。

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