IDCは、世界のPC市場に関する調査分析と予測のレポートを公開した。世界全体の従来型PC市場は、AI PCの登場や、教育市場での更新サイクル、Windows 10のサポート終了などの要因から世界全体で緩やかな成長が見込まれる。
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IDCは2024年6月3日(米国時間)、世界のPC市場に関する調査分析と予測のレポートを公開した。IDCは以下のように説明している。
世界全体の従来型PC市場は、景気改善やNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載した新しいPCカテゴリー(通称「AI《人工知能》 PC」)の登場という好要因にもかかわらず、出荷台数は約2億6020万台で2024年も横ばいが続く見込みだ。中国経済は複数の課題に直面しており、短期的には在庫が高止まりしている。世界全体の市場も、その影響を受ける。中国を除いた2024年のPC市場は前年比2.6%増の見込みだが、中国のPC市場が回復するのは2025年後半になるとみられる。
中国以外の地域における2024年のPC出荷台数は、複合的な要因により左右される。予測は下記の通り。
PCの更新サイクル以外では、Qualcommが最近発売したシリコンを搭載したAI PCや、2024年後半に登場するAMDとIntelの新型パーツが、短期的な出荷台数の増加をけん引するだろう。長期的には、AI PCが出荷量を押し上げる可能性は低いものの、平均販売価格(ASP)の上昇を促進する見込みだ。
IDCのワールドワイドモバイルデバイストラッカー分野のリサーチマネージャーであるジテッシュ・ウブラニ氏は、次のように述べている。「オンデバイスAIに関連する過剰な注目は、ビジネスや企業ユーザー向けの活用事例が不足しているため、根拠がないと見なされがちである。しかし、これらのデバイスは今後数年の間にコンテンツ生成と生産性向上を実現し、コンピューティングに大きな変化をもたらすだろう。ただし、オンデバイスAIがクラウドAIソリューションに比べ、どういった利点をもたらすかについてユーザーを教育するのは簡単なことではないため、消費者が乗りかえるには時間がかかりそうだ」
IDCのデバイス・ディスプレイ担当リサーチバイスプレジデントのリン・ファン氏は、次のように補足する。「Microsoftは最近の『Microsoft Build』における発表でAI PCレースを一気に加速させた。最終的にAIは、どのPCにも見られるようになるだろう。その間に、NPUを搭載したAI PCが、2023年の5台に1台程度から、2028年には3台に2台近くまで増えるとみられる」
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