2024年の世界PC市場、AI PCの登場やWindows 10サポート終了などで緩やかに成長 IDC予測中国を除く世界市場は2.6%成長

IDCは、世界のPC市場に関する調査分析と予測のレポートを公開した。世界全体の従来型PC市場は、AI PCの登場や、教育市場での更新サイクル、Windows 10のサポート終了などの要因から世界全体で緩やかな成長が見込まれる。

» 2024年06月24日 08時00分 公開
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 IDCは2024年6月3日(米国時間)、世界のPC市場に関する調査分析と予測のレポートを公開した。IDCは以下のように説明している。

 世界全体の従来型PC市場は、景気改善やNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載した新しいPCカテゴリー(通称「AI《人工知能》 PC」)の登場という好要因にもかかわらず、出荷台数は約2億6020万台で2024年も横ばいが続く見込みだ。中国経済は複数の課題に直面しており、短期的には在庫が高止まりしている。世界全体の市場も、その影響を受ける。中国を除いた2024年のPC市場は前年比2.6%増の見込みだが、中国のPC市場が回復するのは2025年後半になるとみられる。

 中国以外の地域における2024年のPC出荷台数は、複合的な要因により左右される。予測は下記の通り。

  • 教育市場における更新サイクルの到来によって、教育市場には2960万台のPCが出荷される。予算はパンデミック時ほど多くないものの、パンデミック中に購入されたPCの多くが更新時期を迎えている。しかし、予算が少ないことから、パンデミック時のように短期間に急増せず、更新には複数年かかる
  • Windows10のサポートが2025年後半に終了し、Windowsの更新が進む。このため、2024年後半からPCの買い替え需要が活発化することが予想される
  • 消費者市場では2024年の出荷台数は全体で1.1%減少すると予測している。ただし、中国を除くと消費者市場は前年比1.6%増となる見込みだ。金利の上昇とスマートフォンなど他のデバイスへの需要により、このセグメントの成長は鈍化するとみられる

 PCの更新サイクル以外では、Qualcommが最近発売したシリコンを搭載したAI PCや、2024年後半に登場するAMDとIntelの新型パーツが、短期的な出荷台数の増加をけん引するだろう。長期的には、AI PCが出荷量を押し上げる可能性は低いものの、平均販売価格(ASP)の上昇を促進する見込みだ。

 IDCのワールドワイドモバイルデバイストラッカー分野のリサーチマネージャーであるジテッシュ・ウブラニ氏は、次のように述べている。「オンデバイスAIに関連する過剰な注目は、ビジネスや企業ユーザー向けの活用事例が不足しているため、根拠がないと見なされがちである。しかし、これらのデバイスは今後数年の間にコンテンツ生成と生産性向上を実現し、コンピューティングに大きな変化をもたらすだろう。ただし、オンデバイスAIがクラウドAIソリューションに比べ、どういった利点をもたらすかについてユーザーを教育するのは簡単なことではないため、消費者が乗りかえるには時間がかかりそうだ」

 IDCのデバイス・ディスプレイ担当リサーチバイスプレジデントのリン・ファン氏は、次のように補足する。「Microsoftは最近の『Microsoft Build』における発表でAI PCレースを一気に加速させた。最終的にAIは、どのPCにも見られるようになるだろう。その間に、NPUを搭載したAI PCが、2023年の5台に1台程度から、2028年には3台に2台近くまで増えるとみられる」

世界全体でのNPUを搭載したデスクトップおよびノートPCの割合(IDC提供)

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