Docker Desktopの最新版Docker Desktop 4.33では、「Docker Debug」と「Docker Buildチェック」の一般提供が開始され、「構成整合性チェック」のユーザー体験が改善されている。
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Dockerは2024年7月29日(米国時間)、「Docker Desktop 4.33」を公開した。Docker Desktop 4.33では、「Docker Debug」と「Docker Buildチェック」の一般提供が開始され、「構成整合性チェック」のユーザー体験が大幅に改善されている。
これらの機能は、開発チームがより優れたDockerfileを作成し、アプリケーションのトラブルシューティングが簡単にでき、最適な構成を維持できるように支援し、より効率的でユーザーフレンドリーな開発環境を保証すると、Dockerは述べている。
Docker Debugは、Docker Desktop 4.27でβ機能として導入され、4.33で一般提供が開始された。Pro、Teams、Businessライセンスを持つ全てのDockerユーザーがアクセスできる。
Docker Debugは、任意のコンテナ(状態を問わない)やイメージ(スリム化されてシェルがないものも含む)にシームレスかつ効率的にシェルを取り込む方法を提供する。これにより、Docker Desktop CLI(コマンドラインインタフェース)またはGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)から専用シェルに直接アクセスし、ローカルアプリケーションとリモートアプリケーションの両方を対象に、効率的なデバッグができる。
Dockerは、Docker Debugの主な利点として以下を挙げている。
「docker debug」コマンドは、シェルを任意のコンテナまたはイメージに簡単にアタッチする。これによって認知的負荷が軽減され、開発者は問題解決に集中できる。
コンテナとホストOSの間の分離を解除し、ネットワーク関連の問題のトラブルシューティングを容易にする。
Docker Debugは、Vim、Nano、htop、curlなどの必須ツールをデフォルトで備えた堅牢(けんろう)なデバッグシェルを提供し、コンテナ内容の検査と変更を容易にする。
コンテナにシェルが含まれていない場合でも、Docker Debugでデバッグシェルをアタッチできるため、コンテナイメージを変更することなく、容易にトラブルシューティングができる。
組み込みのNixOSパッケージマネージャーを使用して、追加のツールでデバッグ環境をカスタマイズできる。このカスタマイズはデバッグセッション間で保持され、ワークフローの効率が向上する。
Docker Debugは、既存のDockerワークフローとシームレスに統合される。実行中のコンテナ、停止したコンテナ、またはイメージのみのいずれで作業している場合でも、Docker Debugは一貫した直感的なデバッグインタフェースを提供する。
Docker Debugを使用して、リモートDockerインスタンスで実行されているコンテナをトラブルシューティングできる。
Docker Buildチェックは、開発者が最適なDockerfile(イメージをビルドするための命令を記述したファイル)を作成するようにガイドする。この機能は効率の向上とビルド時間の短縮につながる。
DockerはDocker Desktop 4.33で、優れたDockerfileを作成するためのベストプラクティスを開発者にガイドするように、「BuildKit」も強化した。BuildKitは、Docker BuildとDocker Build Cloud(Dockerコンテナイメージのビルドをクラウドで実行するサービス)のエンジンだ。チームがベストプラクティスに従うように促すことで、セキュリティが強化され、Docker Build Cloudでのビルド時間が短縮される。
Docker Buildチェックを使用して、ローカルおよびCI(継続的インテグレーション)ワークフローの全ての段階(マルチステージのビルドとベイク、Docker Desktop Buildビューでの詳細確認など)を評価することで、Docker Build Cloudの可能性を最大限に活用するようにDockerfileが作成される。この新機能により、Dockerfileの保守にかかる時間を節約できるだけでなく、Docker Build Cloudの全体的なビルドパフォーマンスも向上する。
Docker Desktop 4.33では以下のように、構成整合性チェックのユーザー体験がmacOSに対応して改善されている。
警告が目立たなくなり、通知センターにアラートとして表示される。
通知センターには、[Repair](修復)ではなく[Find out more](詳細)と表示される。クリックすると、ポップアップが開き、構成の変更の詳細(シンボリックリンクが正しくない、欠落しているなど)と修復オプションが表示される。
チェックが失敗した場合の診断アップロードオプション、OSのチェック、ユーザーが[Repair](修復)を素早く連続してクリックした場合の整合性修復の複数回実行の防止を含むエラーダイアログが導入される。
通知を無視すると、Docker Desktopの次回の起動時にのみ通知が再度表示される。構成の修復を選択した場合、通知が再度表示されることはない。
構成整合性チェック通知をオフにする場合は、Docker Desktopの[Settings](設定)に移動し、[General](全般)タブで[Automatically check configuration setting](構成設定を自動的にチェック)をクリアする。
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