Supabaseは、AI支援を利用しながら、ブラウザ内で直接動作する「Postgres」データベースを即座に幾つでも起動し、サンドボックスとして使用できる「postgres.new」を発表した。
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Supabaseは2024年8月12日(現地時間)、AI(人工知能)支援を利用しながら、ブラウザ内で直接動作する「Postgres」データベースを即座に幾つでも起動し、サンドボックスとして使用できる「postgres.new」を発表した。このPostgresデータベースは近いうちに、Amazon Web Services(AWS)のオブジェクトストレージサービス「Amazon S3」にデプロイ(展開)できるようになる見込みだ。
PostgreSQL(Postgresとも呼ばれる)はオープンソースのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)。SupabaseはPostgresの表記のみを使用している。Supabaseは、GoogleのモバイルおよびWebアプリ開発プラットフォーム「Firebase」に代わるオープンソースプラットフォーム「Supabase」を提供するシンガポールの新興企業だ。
postgres.newでは、データベースが大規模言語モデル(LLM)と組み合わされており、以下のようなことが可能だ。
これらは全てブラウザ内でローカルに完結する。Supabaseは「postgres.newは、PostgresとAIチャットbot『ChatGPT』を組み合わせて、単一のインタフェースで利用するようなものだ」と述べている。
Supabaseは、postgres.newを発表したブログ記事で公開したデモ動画で、以下のようなユースケースを紹介している。
postgres.newでは、全てのクエリがブラウザ内で直接実行される。リモートのPostgresコンテナやWebSocketプロキシは存在しないという。
これは、英国の新興企業Electric DBのElectricSQLチームが数カ月前にリリースした、「PGlite」を用いて実現されている。PGliteは、PostgresのオープンソースのWebAssembly(WASM)ビルドであり、TypeScript/JavaScriptクライアントライブラリにパッケージングされている。
PGliteを使用すると、追加の依存関係なしにブラウザ、Node.js、BunでPostgresを実行できる。そのため、PGliteがフルバージョンのPostgresデータベースよりも適していると考えられるさまざまなユースケースがある。その中には、ユニットテストとCI(継続的インテグレーション)テスト(PGliteの起動、終了が非常に高速であることを利用する)、ローカル開発(フルPostgresの代わりにPGliteを使うことによる開発環境の簡素化)、リモート開発またはローカルブラウザ内のWebコンテナ(PGliteが非常に軽量であることを利用する)などが含まれる。
Supabaseは、主に以下の目的を実現するために、postgres.newを開発したと説明している。
従来の製品やサービスにおけるPostgresとAIのやりとりを見直し、PGliteをLLM(現在はGPT-4o)と組み合わせ、LLMが権限の制限やユーザーの確認なしで、PGliteを完全に制御できるようにする。Supabaseは、これにより、AIがより効果的に機能するとしている。
PGliteはブラウザで実行されるため、高速であり、使い捨て可能だ。この特徴を利用して、PGliteを数多く繰り返し起動し、慣れ親しんだPostgresインタフェースでデータ分析できるようにする。
PGLiteはまだ初期段階にあるが、Amazon S3への保存と読み出しが可能な安価なデータベースを多数起動できる可能性がある。これを可能にし、Supabaseコミュニティーで見られるさまざまなユースケースをカバーする。
Supabaseは、早期かつ頻繁なリリースを目指しており、以下のような機能を今後提供する計画だ。
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