Wasmerは、同社のWebAssemblyランタイム「Wasmer」とサーバレスアプリケーションプラットフォーム「Wasmer Edge」で、PHPを完全に実行できるようになったと発表した。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
WebAssembly(Wasm)ランタイムを開発するWasmerは2024年5月24日(米国時間)、同社のWasmランタイム「Wasmer」とサーバレスアプリケーションプラットフォーム「Wasmer Edge」で、PHPのサポートがオープンβ段階に入り、これらの環境でPHPを完全に実行できるようになったと発表した。
オープンソースの汎用(はんよう)スクリプト言語であるPHPは、Web開発に広く利用されている。Q-SuccessのWeb技術調査サービス「W3Techs - World Wide Web Technology Surveys」によると、PHPはサーバサイドプログラミング言語の中で、世界のWebサイトでの利用シェアが約75%と圧倒的に高い。
Wasmerは、WebAssemblyでPHPを実行することの重要性について「WebAssemblyの特性により、PHPプログラムがアクセスできるリソースを安全に制限できる。OSやハードウェアの仮想化によるオーバーヘッドなしに、PHPを安全に実行できる。サーバレスのようなスケーラビリティをPHPアプリケーションにもたらすことで、クラウドプロバイダーが課金する料金の数分の1のコストで、PHPアプリケーションを実行できるようになる」と説明している。
WasmerおよびWasmer Edgeは、最も人気のあるPHPコンテンツ管理システム「WordPress」とPHPフレームワークの「Symfony」「Laravel」を実行できるという。Wasmerはこれらに対応したアプリケーションテンプレートも提供している。
Wasmerは、WebAssemblyとPHPを最大限に活用できるようにするため「オペコードキャッシング」をWebAssemblyで有効にしている。PHPの内部では、読み込まれたソースコードがオペコード(opcode)と呼ばれる内部状態に変換された後、実行される仕組みがある。オペコードキャッシングは、一度変換したオペコードをキャッシュしておいて再利用する高速化手法だ。これにより、WordPressをWasmerで実行すると、3倍高速に動作するという。
「今後、WasmerでのPHPの実行速度をネイティブ速度に近づけるため、さらに改善を進める計画だ。CloudflareやFly.ioのようなエッジ市場のプロバイダーに対して高い競争力を発揮することを目指す」と、Wasmer社は述べている。
なお、Wasmerは注意点として次の2点を挙げている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.