今、日本の中堅・中小企業が文章の生成AIよりも必要としている機能とは? ノークリサーチ調査グループウェア、Web会議、ビジネスチャットでのニーズ

ノークリサーチは、「2024年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」内のコラボレーション分野(グループウェア、Web会議、ビジネスチャット)に関するダイジェストを公開した。中堅・中小企業が生成AI活用を進めていく上でも重要な役割を果たすという。

» 2024年09月26日 08時00分 公開
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 ノークリサーチは2024年9月25日、「2024年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」内のコラボレーション分野(グループウェア、Web会議、ビジネスチャット)に関するダイジェストを公開した。調査時期は2024年7〜8月、調査対象は年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)の情報システムの導入や運用管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責。

 レポートでは、10分野にわたる業務アプリケーションの社数シェアやユーザー評価を集計/分析している。その中でも、コラボレーション分野は職種を問わず多くの従業員が日々利用しており、中堅・中小企業が生成AI(人工知能)活用を進めていく上でも重要な役割を果たすという。

 また、レポートではグループウェア、Web会議、ビジネスチャットへの機能ニーズ(すでに評価/満足している機能および今後必要と考える機能)も尋ねている。その結果、生成AIについては、「メール文面を自動生成する」「会議の議事録を自動生成する」「販売状況などを自動要約する」「人事書類などを自動作成する」「業務フローを自動生成する」の5つが挙がったという。

 下図のグラフは生成AI関連のニーズ項目のうち、「メール文面の自動生成」「会議議事録の自動生成」について、すでに評価/満足している割合(青色)および今後必要と考える割合(だいだい色)を図示したものだ。

「メール文面の自動生成」「会議議事録の自動生成」の評価とニーズ(提供:ノークリサーチ)

 「すでに評価/満足している」と回答した割合と、「今後必要と考える」の割合は、どちらも10%未満と低い。ノークリサーチは「中堅・中小企業の生成AI活用はまだ黎明(れいめい)期。現状はメール文面の自動生成が会議議事録の自動生成を上回っているが、今後は双方が同程度になる」と予想している。

グループウェアやWeb会議で文章の自動生成よりも必要な機能とは

 レポートではグループウェアやWeb会議ツールを利用する上での課題と生成AI活用との関連についても詳しく分析している。

「メール文面の自動生成」のニーズ

 下図のグラフは今後必要と考える生成AIの機能として「メール文面の自動生成」を挙げたユーザー企業に対して、グループウェアやWeb会議ツールの利用における現状の課題を尋ねた結果だ。比較のために、レポート全体の中堅・中小企業での回答割合も示している(だいだい色)。

生成AIによる「メール文面の自動生成」を必要としている企業がグループウェアやWeb会議ツールの利用において課題としていること(提供:ノークリサーチ)

 3つとも「メール文面の自動生成」を今後必要と考えると回答した人の方が全体と比べて不満に思っている人の割合が高い。特に、「メール文面をゼロから書き上げる作業が面倒である」よりも「メールで指示を受けた後、他システムに素早く移れない」「Web会議上で従業員に提供できるコンテンツが限られる」を挙げた人の割合が大幅に高かった。

 このことから「他システムへのリンクを文面内に自動で含める」「Web会議で共有できなかった資料を自動で添付する」といった、メール本文の生成にとどまらない機能が求められていることが分かる。

「会議議事録の自動生成」のニーズ

 下図のグラフは今後必要と考える生成AIの機能として「会議議事録の自動生成」を挙げたユーザー企業に対して、同様に現状の課題を尋ねた結果だ。

生成AIによる「メール文面の自動生成」を必要としている企業がグループウェアやWeb会議ツールの利用において課題としていること(提供:ノークリサーチ)

 メールと異なり、「会議のたびに議事録を作成する作業が面倒」の割合が他の課題よりも高い。一方で、他の課題も全体と比べて割合が高いことからノークリサーチは「『会議を招集する際の複数スケジューラをまたがる予定の自動確認』『Web会議で共有できなかった業務システムデータの議事録への自動取り込み』『議事録を配布する際のメール文面の自動作成』といった機能も求められている」と分析している。

コラボレーション分野のツールのシェアと生成AI関連のニーズ

 レポートによると、社数シェアでは「Microsoft 365」と「サイボウズOffice」の2つが突出している。だが、それらに対する生成AI関連のニーズは必ずしも高くない。ノークリサーチは、「グループウェアやWeb会議を起点に生成AIの活用を促進するには、単にシェアが高い製品やサービスに生成AI機能を実装するだけでは不十分だ」と分析している。

 同社はレポートに基づき、「シェア上位のグループウェアやWeb会議ツールが生成AIの活用でも優位になるとは限らない」と結論付け、「Web会議で共有できなかった資料を自動で添付するなど業務を効率化するアプローチが必要だ」としている。

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