メインフレームのオープンソースイニシアチブであるOpen Mainframe Projectは、メインフレーム向けのオープンソースソフトウェアフレームワーク「Zowe」のLong Term Support(LTS)V3をリリースした。
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メインフレームのオープンソースイニシアチブであるOpen Mainframe Projectは2024年10月3日(米国時間)、「Zowe」のLong Term Support(LTS)V3をリリースした。Zoweは、メインフレーム向けのオープンソースソフトウェアフレームワークだ。同組織によると、最新の企業プロセスやツールとの統合を強化し、ベンダーや顧客に、安定性、セキュリティ、相互運用性に加え、容易なインストールとアップグレードされた機能を提供する継続的デリバリーモデルを通じて、モダナイゼーションの取り組みを実行する能力を提供するものだという。
メインフレームシステムユーザーの向けの独立メディアが発行した年次ガイド「Arcati Mainframe Yearbook 2024」によると、z/OSメインフレームを使用する組織の85%で既にZoweが稼働しているか、近いうちに稼働する予定だという。
Broadcomのメインフレームソフトウェア部門最高技術責任者ジョージ・デカンディオ氏は次のように語る。「コミュニティー主導のプロジェクトとしてのZoweの成功は、ハイブリッドクラウドアーキテクチャをサポートするオープンプラットフォームとしてのメインフレームの重要性を強調している。最新のV3リリースでは、クライアントSDKや追加IDEに対応する新しいコンポーネントが導入され、Zoweの進化がメインフレームエコシステムのニーズに応えていることが反映されている。今回のアップデートでは、Zowe API仲介層が強化されており、顧客がマルチプラットフォーム環境におけるメインフレームの役割を変革する上で重要な要素であると見なしている」
また、デカンディオ氏は次のようにも述べている。「Zoweの進展は、オープンで相互運用可能な標準への広範なコミットメントを強調しており、これによって組織がメインフレームやITインフラへの投資から、最大限の価値を引き出せるようにする」
Zoweは、z/OS向けの統合された拡張可能なオープンソースフレームワークでもある。APIやOS機能と組み合わせたコアアプリケーションセットが標準で提供され、将来のアプリケーションがこれに依存する。z/OSとのやりとりを最新のインタフェースで提供し、今日のクラウドプラットフォームでの操作と同様の方法でz/OSを操作できる。
開発者は、これらのインタフェースをそのまま使用するか、クライアントやサードパーティーベンダーが作成したプラグインや拡張機能を利用することでカスタマイズできる。例えば、Zowe V3では、「IntelliJ Zowe Explorer」プラグインの新しいサポートや、簡易インストールウィザードが提供されている。
同組織はLTS V3の主なメリットとして、以下のようなものを挙げている。
ソフトウェアスタックを構成するコアコンポーネントの数が刷新され、セキュアで安定した長期利用が可能となり、継続的な更新とサポートを伴った数年間の使用が保証される。
V3ではインストールとコンフィギュレーションが安定化された。そのため、企業は安心して自社業務にこのテクノロジーを採用し、環境に適したタイミングでアップグレードできるようになり、業務中断のリスクを最小限に抑えられる。
依存関係を積極的に監視し、プロアクティブにアップグレードすることで、セキュリティ態勢が強化される。これにより、旧バージョンや脆弱(ぜいじゃく)な依存関係によるリスクを軽減し、以前のバージョンと比較してより強固なセキュリティ機能が提供される。
Zoweの開発プロジェクトはBroadcom、IBM、Phoenix Software、Rocket Software、Vicom Infinityなどのベンダーが参加するコントリビューター主導のコミュニティーだ。ベンダー間の広範なコラボレーションの結果、以下のZowe拡張機能がZowe V3で進化した。
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