Synergy Research Groupは、世界の企業クラウドインフラサービス規模に関するレポートを発表した。それによると、2024年第3四半期の支出は全世界で840億ドルとなり、2023年第3四半期から157億ドル増加した。
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市場調査会社のSynergy Research Groupは2024年11月1日(米国時間)、世界の企業のクラウドインフラサービス規模に関するレポートを発表した。それによると、2024年第3四半期の支出は全世界で840億ドルとなり、2023年第3四半期から157億ドル(23%)増加した。
2023年はほとんどの期間、成長率が鈍化した。その後生成AI(人工知能)が市場規模拡大の大きな要因となり、前年比成長率が4四半期連続で上昇した。経済、通貨、政治の逆風は残っているが、市場の基盤が安定しているため、クラウドサービスへの支出は新たな水準に達し続けている。
競争上のポジショニングでは、Amazon Web Services(AWS)が市場で大きなリードを維持しているが、MicrosoftとGoogleの成長率は再び高くなっている。3社とも12カ月前から成長率が上昇しており、特にAWSとGoogleが大幅に改善している。2024年第3四半期の世界市場シェアはそれぞれ31%(AWS)、20%(Microsoft)、13%(Google)だった。ティア2のクラウドプロバイダーの中で、前年比成長率が最も高いのは、Oracle、Huawei、Snowflake、Cloudflareだった。
大手クラウドプロバイダーのほとんどが2024年第3四半期の収益データを発表したのを受けて、同社は、四半期のクラウドインフラストラクチャサービス収益(IaaS《Infrastructure as a Service》、PaaS《Platform as a Service》、ホスト型プライベートクラウドサービスを含む)は838億ドル、過去12カ月の収益は3130億ドルに達したと推定している。パブリックIaaSおよびPaaSサービスは市場の大部分を占めており、第3四半期には前年同期比で24%増加した。大手クラウドプロバイダーの優位性はパブリッククラウドでさらに顕著で、上位3社が市場の68%を占めている。
地理的に見ると、クラウド市場は世界の全ての地域で引き続き力強い成長を続けている。現地通貨で測定した場合、最も成長が著しい主要国はインド、日本、ブラジル、イタリアで、いずれも世界平均を上回る成長率を示している。米国は依然として圧倒的に最大のクラウド市場であり、その規模はAPAC地域(アジア太平洋地域)全体をはるかに上回っている。米国市場は第3四半期に23%増加した。ヨーロッパでは、英国とドイツが最大のクラウド市場だが、最も成長率の高い主要市場はアイルランド、イタリア、スペインだった。
Synergy Research Groupのチーフアナリスト、ジョン・ディンズデール氏は「過去4四半期で市場はほぼ160億ドル成長したが、その前の4四半期ではそれぞれ100億ドルだった。既に巨大な市場規模を考えると、急成長には目を見張るものがある」と述べている。
「市場の逆風は一部弱まったが、この成長率上昇の主要因は間違いなくAIだ。AI指向の新しいサービスとテクノロジーは、大手クラウドプロバイダーが波に乗るのを助けている。新しい機能によって需要が増加し、それが収益の増加につながり、それが基盤テクノロジーへのさらなる投資を可能にする」(ディンズデール氏)
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