ネットアップは、調査レポート「2024 Data Complexity Report」を発表した。同社は、2025年は企業がAIの実験段階からその能力を拡大する段階に移行する年になるとしている。
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ネットアップは2024年12月13日、調査レポート「2024 Data Complexity Report」を発表した。世界9カ国(米国、英国、フランス、ドイツ、スペイン、オーストラリア/ニュージーランド、シンガポール、インド、日本)で働くIT責任者を対象に実施し、約1300人から有効回答を得た。
レポートによると、2025年は企業がAI(人工知能)の実験段階からその能力を拡大する段階に移行する、「AIにとって画期的な年になる」としている。
レポートでは幾つかの視点でAIの導入実態について調査している。本稿では「コスト」「データ」「セキュリティ」について取り上げる。
レポートによると「自社のデータがAIに対して完全(または、ほぼ)最適化されている」と回答した企業が3分の2を占めた。一方、技術責任者の40%は「自社にとって2025年にはAIとデータ管理に前例のない投資が必要になる」と考えており、ネットアップは「2025年にはAIやデータ管理にさらなる投資が求められる」と予測している。
技術責任者の79%は「最適なAI成果を達成するためにはデータの統合が重要だ」と認識していた。データの統合は、AIの成功を支える重要な要因として注目されており、ネットアップは「データの統合を優先する企業は、2025年にAI目標を達成する可能性が高い」と分析している。レポートによると、データ統合を優先する企業のうち「目標を達成できない」と回答した割合は23%であるのに対して、統合を優先しない企業ではその割合が30%に上った。
AIの導入が進む中、技術責任者はセキュリティ脅威の大幅な増加に備えている。レポートによると、2025年にセキュリティ脅威の急激な増加を予測した技術責任者の割合は41%。データのプライバシーとセキュリティに関する懸念は世界的に最重要課題として挙げられており、インドや日本、米国などAI導入の進展が他国よりも先行している国々では、ドイツ、フランス、スペインといったAI導入が遅れている国々よりも、セキュリティ問題の増加を報告する可能性が約2倍高かった。
AIの台頭によって、AIモデルそのものの保護や、攻撃にさらされやすくなったデータセットの防御、AIアプリケーションで使用するデータの可用性とセキュリティ確保といった新たな課題が生まれている。AIを駆使したセキュリティ課題を「主要な世界的ストレス要因」として挙げた技術リーダーの割合は59%。サイバーセキュリティやランサムウェア対策を最も重要な課題として位置付けている取締役会や最高幹部レベル経営陣の割合は38%だった。ただし、企業が実施してきた戦略的な対策が効果を上げている兆候もある。2023年以降、サイバーセキュリティを最優先事項とする割合が17%減少しており、ネットアップは「絶えず進化するこれらの脅威に対抗する上で前進が見られる」と分析している。
NetAppのクリシュ・ヴィタルデバラ氏(シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー)は、「AIの変革的な可能性は、安全でスケーラブルかつ持続可能なデータ戦略にかかっている。高度な分析やAIでリードしている企業は、統合され適切に管理されたデータを持ち、機密情報に対する堅固なセキュリティとコンプライアンスを備え、データの進化を明確に理解している。これらの課題に取り組むことで、彼らは新しいAI時代にイノベーションを推進すると同時に、レジリエンス(回復力)や責任感、タイムリーな洞察を確保できる」と述べている。
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