IDC Japanは、調査レポート「AIが経済と雇用に与える世界的影響」を発表した。同社は、企業がAIを導入することで2030年までに全世界で累積19.9兆ドルの経済効果をもたらし、2030年には世界のGDPの3.5%がAIに起因するものになると予測している。
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IDC Japanは2024年12月10日、調査レポート「The Global Impact of Artificial Intelligence on the Economy and Jobs(AI〈人工知能〉が経済と雇用に与える世界的影響)」を発表した。それによると、企業がAIを導入することで、2030年までに全世界で累積19.9兆ドルの経済効果をもたらし、2030年には世界のGDPの3.5%がAIに起因するものになるという。
調査結果によると、企業が新たに投資するビジネス関連AIソリューションやサービスによってもたらされる間接的、誘発的な経済効果は、投資1ドルに対して4.60ドルだった。経済効果が得られる要因は以下の3点だ。
IDCのラポ・フィオレッティ氏(Emerging Technologies and Macroeconomics シニアリサーチアナリスト)は、「2024年にAIは広範な統合によって特徴付けられる加速的な開発と展開の段階に入り、それに伴い運用コストと時間の大幅な最適化を目指した企業の投資が急増した。AIは定型業務の自動化と新たな効率性の実現によって産業を再編し、新市場を創出し、競争環境を変化させるなど、根本的な変革を伴う広範な経済的影響を及ぼすだろう」と述べている。
IDC Japanは働き方や雇用への影響についても調べている。同社の調査「Future of Work Employees Survey(働き方の未来に関する従業員調査)」によると、今後2年間でAIやその他の技術によって自身の業務の「一部」が自動化されると予測した回答者の割合は48%、「大部分」と予測した人は15%だった。ただし、AIによって「完全に」自動化されると予測した人は3%にとどまった。
この結果をIDC Japanは次のように分析している。
「各職種を『人間的な触れ合いの度合い』と『タスクの反復性』という2つの視点で評価すると、“AIと自動化によって完全に置き換えられる可能性のある役割”と、“人間の能力を補完する技術の役割”に分類できる。そのため、人間の社会的、感情的能力が不可欠な職種や、倫理観や数値以上の理解力を含む意思決定が必要な役割においては、(AIに置き換わることなく)引き続き堅調に推移するだろう」
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