Backblazeは、2023年の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。
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クラウドストレージやクラウドバックアップサービスを提供するBackblazeは2024年2月13日(米国時間)、2023年の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。
2023年12月31日時点で、Backblazeは世界中のデータセンターで27万4622台のドライブを管理していた。そのうち4400台が起動ドライブ(SSDとHDD)、27万222台がデータドライブ(全てHDD)だ。同レポートではデータドライブに焦点を当てて、2023年の故障率、2021年、2022年、2023年の故障率の比較、2021〜2023年のドライブサイズ別故障率の推移、生涯故障率、メーカー/使用期間別の生涯故障率を報告している。
Backblazeは、2023年末時点で顧客データの保存に使用していた27万222台のHDDから、466台(テスト目的で使用していたドライブ、使用中に高温にさらされたドライブ、使用台数が60台に満たないモデルのドライブ)を除いた26万9756台のHDDを分析し、これらを構成する35種類のモデル別に年間平均故障率(AFR:Annualized Failure Rate)を算出した。
Avg. Age(months):平均使用期間(月数)、Drive Days:稼働日数、Drive Failures:ドライブの故障件数
2023年に故障がゼロだったHDDは、Seagate Technology(以下、Seagate)の8TBドライブ(ST8000NM000A)の1モデルのみ。このモデルは2022年第3四半期の導入開始以来、1年半にわたって故障ゼロを記録している。ただし、稼働台数は204台にとどまり、合計稼働日数も5万2876日に限られる。
2023年に故障したHDDは4189台だった。平均して2時間5分ごとに、故障したドライブを交換していた計算になる。
2023年には、6つのドライブモデルを上述のリストに追加した。リストから削除したモデルはなかった。
このうち以下の2モデルは、しばらく前から使われていたが、2023年末までに本番環境での使用台数が60台に達した。
以下の4モデルは本番環境に新たに導入されたもので、2023年末までに使用台数が60台以上に達した。
2021年、2022年、2023年のAFRを比較した表は下記の通り。この表には、2023年の合計稼働日数が20万日以上に達したドライブモデルのみが含まれている。
Backblazeは、「一般的に、統計的に意味を持つためには、ドライブモデルは1四半期の稼働日数が合計5万日以上である必要がある」との見解を示しており、年間の統計であるこの表では、その4倍の「20万日以上」という基準を採用した。
2023年の全ドライブモデルのAFRは1.70%となり、2022年の1.37%、2021年の1.01%と比べて上昇した。2023年を通じて、ドライブの平均使用期間の増加とともにAFRも上昇した。
集計時点で平均使用期間が6年(72カ月)以上のドライブモデルが9つある。これらは、本番環境で使用されているドライブの20%近くを占めている。Backblazeは2023年第2四半期以降、古いドライブモデル(通常、4TBモデル)から新しいドライブモデル(通常、16TBモデル)への移行を加速させている。
Backblazeは、HDDのサイズ別のAFRについて、2021〜2023年の四半期ごとの推移を次のように示している。
10TBドライブ(金色)のAFRは明らかに増加しており、8TBドライブ(灰色)、12TBドライブ(紫色)も増加している。これらはいずれも、2021年第2四半期のAFRは1%程度だったが、2023年第4四半期には2%以上に達した。一方、4TBドライブ(青色)のAFRは当初上昇し、2022年にピークに達したが、その後は低下している。他の3つのサイズ(6TB、14TB、16TB)のAFRは、全期間を通じて1%前後で推移している。
次に、HDDのサイズ別のAFRを2022年と2023年で比較すると、下の表のようになる。
平均使用期間が6年を超える4TBドライブのAFRが2023年に低下したのは、奇妙に思えるかもしれない。Backblazeはこれについて、「2023年に4TBドライブから16TBドライブへの移行に乗り出したことに関係していると思われる」と説明している。ドライブの使用期間増加に伴い、AFRは上昇すると予想されるが、最も古いドライブ、つまり近い将来、故障する可能性の高いドライブから順に新モデルへの移行を行っているため、この上昇が緩和されているようだと、Backblazeは述べている。
また、「使用期間の増加に伴ってAFRが上昇する」という一般的な見方に当てはまらないドライブモデルもある。Backblazeはその一例として、Seagateの6TBドライブ(ST6000DX000)を挙げている。このドライブモデルは、平均使用期間が8.6年以上に上る(104.0カ月)が、2023年のAFRは最も低い部類に入る。
Backblazeは、2023年末に本番運用していた35モデルにわたる26万9756台のHDDについて、2013年4月から2023年第4四半期末までの生涯AFRを次のようにまとめた。
2023年末のHDD全体の生涯AFRは1.46%となり、2022年末(2022年第4四半期)の1.39%から上昇した。これは、2021年第1四半期(1.49%)以来の高値でもある。2023年の各四半期におけるハードドライブ全体の生涯AFRは、第1四半期末が1.40%、第2四半期末が1.45%、第3四半期末が1.45%だった。
次にBackblazeは、統計上、より確信が持てる数値を得るために、稼働日数が200万日以上の23モデルに絞って、生涯AFRを次のように示している。
さらにBackblazeは、上の表を基に、ドライブモデルをHGST、Seagate、東芝、Western Digitalのメーカー別に分類し、各モデルのAFRと平均使用期間(月)をプロットしたグラフを作成している。各円の相対的な大きさは、各モデルのドライブ台数を表す。
左下のグラフは、HGST製ドライブモデルのAFRのトレンドライン(2次多項式)を示している。右下のグラフは、HGSTの4TBドライブモデルを除いた同じデータを示しており、「ドライブの故障が時間の経過とともに増加する」という予想される傾向と一致している。
左下のグラフは、Seagate製ドライブモデルのAFRのトレンドライン(2次多項式)を示しており、右下のグラフは、平均使用期間が7年以上のモデルを除外している。興味深いことに、この2つのグラフのトレンドラインは、使用期間が6年以下では基本的に同じだ。
東芝とWDCのドライブモデルに関しては、3年分強のデータがあるが、明確なパターンは現れていない。両社のドライブはこれまでのところ、良好に機能している。
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