不確実性が高い現代社会。「ロールモデルがいない」と悩む人が多くいます。「お手本」がいない中で、どのように働き、生きていけばいいのでしょうか? 本記事では、その悩みの本質を探り、ロールモデル不在の時代を生き抜くための指針を示します。
先日、「ロールモデルがいない」と悩む中堅エンジニアAさんから相談を受けました。
Aさんによれば、会社の中にロールモデルとなるような人がいなくて、将来が不安なのだそう。「このままでは、将来のキャリアが描けないので、ロールモデルがいる会社に転職しようか悩んでいる」と言います。
この相談を受けたとき、こう思いました。「そもそも、転職したからといって、自分にとって最適なロールモデルが見つかるのだろうか?」「そういえば、ボクにはロールモデルのような人がいないな。だからといって、そんなに不安でもないな」と。
なぜなんだろう?
そこで「ロールモデルとは何か?」について、改めて考えてみたくなりました。
「ロールモデル」という言葉は、「Role(役割)」と「Model(見本)」を組み合わせたもので、考え方や行動、生き方などが「自分にとって、お手本となる人」のこと。
お手本となる人物を設定することで、自身のキャリアやスキルアップの目標を明確にし、モチベーションを高める効果があるようです。身近な先輩や上司だけでなく、有名人やアニメのキャラクターなどをロールモデルにする人もいます。
そういえば、よく、アニメのキャラクターのせりふを引用して「大事なことは○○だ!」みたいに表現する人がいますよね。その人にとってのロールモデルは、恐らくそのキャラクターなのでしょう。
ところで、ボクにはロールモデルって、いたのかな? 自分の経験を振り返って考えてみました。
10代で自動車会社に入ったときは、面倒見のいい身近な先輩がロールモデルでした。「○○さんのようになれたらいいな」と思っていたし、先輩の振る舞いを見て「将来、あんなふうになるのだろうな」とも思っていました。
でも、それ以降は「○○さんがロールモデル」というような存在はいなかったような気がします。28歳でプログラマーになってからは、特に。なぜいなかったのだろう?
身近に「○○さんすごいな」と思える人がいなかったのかもしれません。ましてや、34歳で独立してからは、身近に同じような経験をしている人は皆無で、いつも孤独でした。周りは会社員が多く、相談できる人もいませんでした。
このように自分の経験を振り返ってみると、ロールモデルがいない時期が大半だったような気がします。
いまはどうかな……。自分で法人を経営し、「週2日会社員」として複業もして、地域の仕事もしています。同じような働き方や活動をしている人は、身近にいません。
でも、経験を重ねてきた中で、「○○さんってすてきだなぁ」「あの人、カッコいいなぁ」「ああいう生き方したいなぁ」といった「憧れの人」や「同志のような人」ならいます。
よくよく考えてみると、「憧れの人」だったら独立した後もいました。独立して、仕事が全然うまくいかなくて、悩んで悩んで悩んでいたとき、救われたのは、憧れの人が書いた本のおかげでした。「あの人がこれだけ頑張ってきたのなら、ボクも頑張ろう」と思えた……みたいな。
このように考えてみると、ロールモデルって、必ずしも身近にいなくてもいいんじゃないか、というような気がします。
この先、どうなるのかな?――40代から考える、エンジニアのキャリア
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