Googleは、Google Workspace向けのAIエージェント設計ツール「Google Workspace Studio」の一般提供を開始した。ノーコードで日常業務や複雑なワークフローを自動化できるという。
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Googleは2025年12月4日(米国時間)、「Google Workspace」上でAI(人工知能)エージェントを設計、管理、共有できる「Google Workspace Studio」(以下、Workspace Studio)の一般提供を開始した。
ワークスペース上のメールやファイル、チャットのコンテキストを理解しながら、「Gemini 3」を搭載したエージェントが、日常業務から複雑な業務プロセスを自動化できるという。
Workspace Studioは、Google Workspace内でAIエージェントを一元的に作成・管理・共有するためのハブとなるツールだ。従来の業務自動化ツールが厳密なルールや条件分岐、プログラミングスキルに依存していたのに対し、Gemini 3の推論能力とマルチモーダル機能を活用することで、より柔軟かつ高度な自動化を実現するという。
エージェントは、単純な定型作業だけでなく、センチメント分析(感情分析)、コンテンツ生成、タスクの優先度付け、スマート通知など、意思決定を伴う処理も担う。
「新しい情報が入ってもエージェントが自律的に判断を更新し、エンドツーエンドの業務プロセス全体を処理できるのが特徴だ。業務プロセスを最もよく理解している現場の担当者自身が、専門的な開発スキルなしにエージェントを作成できるようにするのがWorkspace Studioの狙いだ」と、Googleは述べている。
Geminiプランの早期利用プログラムである「Gemini Alpha」の成果として、Workspace Studioで作成したエージェントが、過去30日間で2000万件以上のタスクを処理したことをGoogleは強調している。このタスクには、ステータスレポートの自動化やリマインダーのカスタマイズといった日常業務に加え、法的通知の優先順位付けや出張・旅行申請の処理といった業務プロセスも含まれる。
「エージェントはノーコードで作成できる。テンプレートから開始する方法に加え『自分宛ての質問を含むメールに返信用ラベルを付け、チャットで自分に通知する』といった要件を自然文で指示するだけで、Gemini 3が必要なステップを自動的に設計する」(Google)
Workspace Studioが生成したエージェントは、受信メールの内容を解析して質問を含むかどうかを判断し、該当するメッセージにラベルを付与して通知する他、添付ファイルを含めたメール本文からアクション項目や請求書番号などの重要情報を抽出することもできる。
作成したエージェントは、組織内メンバーと共有できる。規模の小さな2ステップ程度の自動化から、20ステップ規模の複雑なワークフローまで、同一の仕組みで構築、配布できるという。
Workspace Studioで設計したエージェントは、「Gmail」「Google ドライブ」「Google Chat」などのWorkspaceアプリに統合される。エージェントはこれらのアプリに蓄積されたメール、ドキュメント、チャット履歴といったコンテキストを理解し、組織のポリシーや業務プロセスに沿った形で支援する。ユーザーはGmailやGoogle ドライブなどのサイドパネルからエージェントの実行状況やアクティビティーを確認できる。
事前定義されたステップやアクションを利用することで、「Asana」「Jira」「Mailchimp」「Salesforce」など、企業で利用される主要な業務アプリケーションとエージェントを連携させることもできる。
より高度な要件を持つ技術者向けには、「Google Apps Script」(GAS)によるカスタムステップ機能も用意される。社内の業務システムや独自ツールとの連携、AIエージェント開発フレームワーク「Agent Development Kit」(ADK)のエージェントや、統合AI開発プラットフォーム「Vertex AI」上の独自モデルとの連携など、企業固有のニーズに合わせた拡張が可能になるとしている。
Googleによると、Workspace Studioは今後数週間かけてビジネス向けのWorkspace顧客に順次提供される予定だ。利用開始後は、用意された多数のテンプレートからエージェントを選択するか、画面上のプロンプト入力欄に自動化したい内容を入力して最初のエージェントを作成できるという。
「詳細な機能説明や管理者向けの機能については、ヘルプセンターや管理者向けプログラムを通じて順次公開する」と、Googleは述べている。
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