VS Code 1.107公開 複数の開発用AIエージェントの協調はどう役立つのかTypeScript 7に対応

Microsoftは、コードエディタ「Visual Studio Code」のバージョン1.107を公開した。AIモデル管理機能の追加やMCP対応の強化など多くのアップデートがあった。

» 2025年12月26日 13時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 Microsoftは2025年12月10日(米国時間)、コードエディタ「Visual Studio Code」(VS Code)の最新バージョン1.107を公開した。本アップデートでは、複数のAI(人工知能)エージェントを協調させる「マルチエージェントオーケストレーション」を導入。ユーザーは「GitHub Copilot」と独自のカスタムエージェントを組み合わせ、複雑なタスクを効率的に進められるという。

VS Code 1.107のリリース概要(提供:Microsoft

複数AIエージェントの協調実行と独立した作業環境

 新バージョンでは、AIエージェント管理機能「Agent HQ」の機能を強化した。全てのエージェントを1カ所で管理でき、GitHub Copilotとカスタムエージェントが共同でタスクを実行できる。バックグラウンドエージェント(以前はCLIエージェント)を隔離されたワークスペースで動作させ、現在の作業を中断せずに複数のバックグラウンドタスクを同時進行できる。

 ローカルチャットのタスクをバックグラウンドエージェントやクラウドエージェントに引き継ぐ機能も追加した。インタラクティブなブレインストーミングや実装計画の策定をローカルエージェントで行い、明確な計画が固まった段階でバックグラウンドやクラウドエージェントに作業を委譲できる。

 エージェントセッションはチャットビューに統合され、ステータスやファイル変更の統計を一覧できる。

チャットビューに統合されたエージェントセッション一覧(提供:Microsoft

 バックグラウンドエージェントの隔離には「Git worktree」を活用する。複数のバックグラウンドエージェントを同時実行する際、同じファイルを変更して競合が発生するのを防ぐために、エージェントごとに専用のGit worktreeを自動作成する。これにより、エージェントの変更内容を独立したフォルダで管理でき、タスク完了後にメインワークスペースへの変更適用を簡単にレビューできる。

Git worktreeを用いたバックグラウンドエージェントの実行画面(提供:Microsoft

 組織レベルでのカスタムエージェントの定義や共有にも対応している。

チャット体験の最適化

 チャット機能では、インラインチャットを現在のファイル内のコード編集に最適化した。インラインチャットで処理できない一般的な質問は自動的にサイドバーのチャットビューへ移行する仕組みとした。これにより、クイックなコード変更に集中できる。

AIモデル管理機能

 多数のAIモデルを管理する「Language Models Editor」を新たに追加した。このエディタでは、GitHub Copilot、サードパーティー拡張機能、独自のAPIキーを利用する方式(BYOK:Bring Your Own Key)のプロバイダーが提供する全てのモデルを一元管理できる。

 モデルの機能、コンテキストサイズ、課金情報、表示・非表示状態などの重要情報を表示し、検索やフィルタリングが可能だ。モデルピッカーに表示するモデルの可視性も制御でき、利用可能なモデルが多数ある場合でも効率的に管理できる。

フェッチツール強化

 Webコンテンツを取得するフェッチツールは動的WebコンテンツをJavaScript実行後に取得できるよう改善され、シングルページアプリケーション(SPA)や最新のドキュメントサイト、「Jira」のようなプロジェクト管理システムでもコンテンツを取得できる。

 フェッチツールに2段階の承認プロセスを導入した。最初にドメインの信頼性を確認し、次に取得したコンテンツを検証する。これにより、信頼できないサイトへの機密データ送信を防ぎ、プロンプトインジェクション(悪意あるプロンプトの挿入)攻撃のリスクを低減する。

フェッチツールのURL承認プロセス画面(提供:Microsoft

TypeScript 7.0に対応

 「TypeScript 7.0」のプレビュー対応を進めた。TypeScript拡張機能(ネイティブプレビュー)を導入することで、高速化された型チェック、自動インポート、リネーム機能などを試用できる。TypeScriptにおけるAIベースのリネーム提案機能も導入し、シンボルのリネームが必要なタイミングを予測して提案する。

MCP最新仕様に対応

 MCP(Model Context Protocol)の最新仕様「MCP バージョン2025-11-25」にも対応した。URLモード推測、長時間実行可能なタスク、推測における列挙選択肢の強化などが含まれる。

 「GitHub Copilot Chat」拡張機能には「GitHub MCP Server」をプレビュー版として組み込んだ。これにより、追加の設定や認証なしで「GitHub Issues」、プルリクエスト、その他のリポジトリ情報について質問できる。

 この他、以下の機能も追加されている。

  • 「Claude Code」で導入された「Code Skills」の再利用にも試験的に対応
  • 「xterm.js」を用いてチャット内でターミナル出力をリッチに再現する機能
  • 設定ファイルへの編集時に差分を表示して承認を求める機能
  • セッション中の全てのターミナルコマンドを自動承認するオプション
  • ビューポート外の編集提案をカーソル位置でプレビューする機能
  • ソース管理ビューにおける「git stash」(作業中の変更を一時的に保存する機能)ノードの追加(試験的機能)
  • macOSにおける3本指スワイプによるエディタ間の移動対応
  • MSAL(Microsoft Authentication Library)の刷新によるLinuxやIntel版Macでのネイティブブローカー認証対応

 なおGitHub Copilot拡張機能のGitHub Copilot Chatへの統合に伴い、旧GitHub Copilot拡張機能は無効化され、2026年1月に完全廃止される予定だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

人に頼れない今こそ、本音で語るセキュリティ「モダナイズ」
4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。