政府機関でも分かれる「先駆者」と「後続組」 データ分析やAIの導入を阻む要因とはEY調査

EY Japanは、政府機関におけるAI導入に関する調査レポートを発表した。日本政府が「人工知能基本計画(案)」を公表し、「ガバメントAI」「源内」を推進している中、世界での導入状況はどうなっているのか。

» 2026年01月20日 08時00分 公開
[@IT]

 EY Japanは2025年12月、政府機関におけるAI(人工知能)導入の実態に関する調査レポートを発表した。本調査は2024年8〜9月に、EYがOxford Economicsと共同で実施。対象は14カ国の政府機関におけるCEO、CIO(最高情報責任者)、CDO(最高データ責任者)などの幹部492人で、国家・連邦レベルが40%、州・県レベルが25%、地方レベルが25%となっている。定量的調査に加え、公務員やAI専門家など46人を対象とした詳細なインタビューも実施された。

 同レポートによると、多くの政府機関がデータとAIが果たす役割を重要視しているものの、導入状況には大きな遅れが見られることが明らかになったという。回答者の64%がAI導入によって大幅なコスト削減が見込まれるとしており、63%がサービス向上につながると回答するなど、AI活用に対する期待は高い水準にある。その一方で、AIを組織全体で導入しているのは26%、生成AIの導入についてはわずか12%にとどまった。

政府機関でも分かれる「先駆者」と「後続組」

 調査結果では、デジタル製品の導入において先行する上位20%の「先駆者」グループと、残り80%の「後続組」との間に顕著な差が見られた。

 先駆者グループでは、高度なAI技術を導入する前に、質の高いデータやデジタルインフラといった基盤構築を戦略的に重視しており、これが両者の差を生む要因となっているという。データとデジタルインフラを整備している割合は、先駆者が88%であるのに対し、後続組は58%にとどまっている。

 既存の業務プロセスやサービスをデジタル化または自動化している割合は、先駆者が76%に対して後続組は33%。データ分析能力を構築している割合は、先駆者が58%に対して後続組は33%となっている。

政府機関でデータ分析やAIの導入を阻む要因とは

 データ分析やAIの導入を阻む要因として、回答者の62%が「データのプライバシーとセキュリティ面の課題」を挙げている。政府機関は民間企業とは異なり、法的に保護された個人情報などを大量に保有しているため、適切な枠組みなしではデータ共有が制限されるという事情がある。

 その他の課題として、51%が「データおよびデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の欠如」を、45%が「データインフラの未整備」を挙げた。こうした結果を受け、回答者の58%は「パブリックセクターがデータとAIの導入を急ピッチで進める必要がある」との認識を示している。

 同レポートによると、先駆的な組織は許可権限やアクセス制御、利用制限を明確にしたデータガバナンスの枠組みを確立することで、プライバシーを保護しつつ分析を可能にする透明性のあるデータ利用方針を構築し、セキュリティ課題に対処しているという。

日本政府は「ガバメントAI」やプロジェクト「源内」を推進

 EYストラテジー・アンド・コンサルティング 公共・社会インフラセクター ディレクター 横山武史氏によると、日本政府においてもAI活用の強化が進んでいるという。

 2025年12月に公表された「人工知能基本計画(案)」では、AI分野を「強い経済」を実現するための戦略分野と位置付け、1兆円規模の民間投資を呼び込む方針が打ち出された。具体的施策として、政府職員が安心・安全にAI技術を活用できる基盤となる「ガバメントAI」の構築が進められている他、生成AIの環境整備プロジェクト「源内」にも着手しているとされる。こうした動きについて、横山氏は「AIは人口減少社会に転じた日本の社会課題解決の切り札となり得る」と評している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2026
人に頼れない今こそ、本音で語るセキュリティ「モダナイズ」
4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。