ITプロジェクトが頓挫し、裁判に発展した際、ベンダーが高額な損害賠償を命じられるケースが多々あります。新番組『訴えてやる!の前に見るIT訴訟動画解説』第2弾は、本稼働直前の仕様変更が引き金となってプロジェクトが破綻した判例をピックアップ。たとえ「1週間前の無理な要求」があったとしても、ベンダーの責任が問われてしまうのはなぜなのか? 紛争解決のプロがその真意を鋭く突きます。
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@ITの人気連載を動画化したシリーズ第2弾となる今回は、東京地裁で争われた「宝石店の販売管理システム開発」を巡る裁判(平成19年2月16日判決)を解説します。
本件では、ユーザー企業がプロジェクト終盤まで要件変更を繰り返し、あろうことか本稼働のわずか1週間前にも変更を突き付けました。結果、プロジェクトは破綻。一見すると「無理難題を言ったユーザー企業が悪い」と思えるケースですが、裁判所はベンダーの「プロジェクト管理義務違反」を認めました。
解説を務めるのは、連載の筆者であり、IT紛争解決のプロフェッショナルである細川義洋氏(ITプロセスコンサルタント)です。政府CIO補佐官や裁判所のIT専門委員を歴任してきた同氏が、@ITおよびTechLIVE編集部の鈴木記者と共に、この厳しい判決の裏側にある「実務上の落とし穴」を読み解きます。
なぜ、裁判所はベンダーに厳しかったのか。細川氏は、現場のエンジニアやPM(プロジェクトマネジャー)が陥りがちな「真面目故のミス」を指摘し、紛争回避のための3つのポイントを挙げます。
一度「頑張ります」と伝えたことは、法的には承諾と見なされるリスクがある。状況が変わったなら、専門家として明確に「前言撤回」や条件交渉を行わなければならない。
「これだけ無理を言っているのだから、納期遅延も分かってくれるはず」という暗黙の了解は伝わらない。言いにくいことこそ、明確に言語化する必要がある。
変更を受け入れる前に、スケジュールや費用への影響を想定、説明し、ユーザー企業と合意形成を図ること。説明なき受け入れは、プロジェクト管理の放棄と同じである。
また、番組冒頭では細川氏がベンダー従業員にふんした楽しい寸劇を熱演。現場で起こりがちな「NOと言えないベンダー」の悲哀をリアルに(?)再現しており、難しい法律の話をぐっと身近に感じさせてくれます。
「ユーザーは神様ではない。専門家として対等に交渉することが、結果的にプロジェクトと自社を守ることになる」。数億円規模の賠償リスクを回避するために、全てのIT実務者が知っておくべき教訓が詰まった『訴えてやる!の前に見るIT訴訟動画解説』第2弾、ぜひご覧ください。
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