Gartnerは2026年2月9日、2026年の世界のソブリンクラウドIaaS支出が前年比35.6%増の800億ドルに達するとの予測を公表した。地政学的な緊張を背景に、技術的独立性を求める動きやローカルへの回帰が進んでいるという。
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Gartnerは2026年2月9日(米国時間)、世界のソブリンクラウドIaaS(Infra Structure as a Service)への支出に関する予測を発表した。それによると、2026年の世界のソブリンクラウドIaaS支出は合計800億ドルに達する見通しで、2025年から35.6%の増加となる。地政学的な緊張感の高まりなどを背景に、日本を含む世界各地でソブリンクラウドIaaSへの支出が拡大すると同社はみている。
Gartnerのシニアディレクターアナリストであるレネ・ビュースト氏は、「地政学的な緊張が高まるにつれて、米国と中国以外の組織がデジタルおよび技術的な独立性を確保するために、ソブリンクラウドIaaSへの投資を増やしている」と説明する。こうした投資の目的は、自国内での富の創出を維持し、地域経済を強化することにあるという。
地域別の動向では、2026年にソブリンクラウドIaaS支出の成長率が最も高くなると予測されるのは、中東・アフリカ(89%)、成熟アジア太平洋地域(Mature Asia/Pacific)(87%)、および欧州(83%)とされている。支出額の規模においては、2026年は中国が470億ドルで1位、北米が160億ドルで2位になると予測されているが、両地域の成長率は20%台にとどまる見込み。
なお欧州の支出額は、2027年には北米を上回る見通しだ。欧州の支出額は2025年の68億6800万ドルから、2026年には約126億ドル、2027年には約231億ドルへ急拡大するとGartnerでは予測している。これに対し北米は、2027年に約211億ドルとなる見通しで、欧州が北米を追い抜く形となる。
日本地域の支出額は、2025年が5億1900万ドル、2026年が9億3200万ドル、2027年には18億1600万ドルへと推移し、着実な増加が予測されている。
「ジオパトリエーション(地理的な自国回帰)」への要求の高まりにより、ソブリンクラウドIaaSへの支出は、現在のワークロードの20%をグローバルなクラウドプロバイダーからローカルなクラウドプロバイダーへとシフトさせることになるとGartnerは予測している。またソブリンクラウドIaaSへの支出の80%は、新規のアプリケーションやデジタルサービス、あるいはクラウド環境への移行を予定しているレガシーワークロードになる見込みだという。
なおソブリンクラウドIaaSの導入先としては、デジタル主権の確保を目指す政府機関が主体となり、次いでエネルギー事業や公益事業、通信業界といった規制産業や重要インフラ組織が続くとしている。
ローカルのクラウドプロバイダーがシェアを拡大し、各国の政府が規制や国家安全保障の要件を満たすためにプラットフォームの地域化(リージョナライゼーション)を強く志向する中、ハイパースケーラーにはさまざまな圧力がかかっているという。
こうした状況を受けてビュースト氏は、「地域の顧客のクラウドビジネスを獲得するために、大規模なクラウドプロバイダーは国ごとの主権に関する懸念や要件を真剣に認識し、それに応じて行動する必要がある。デジタル主権を単なるセキュリティや規制、コンプライアンスのトピックとして扱うだけでは不十分だ」と警鐘を鳴らしている。
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