エンジニアの世界を離れたいまのボクにとって、最大の財産は「エンジニア時代に身に付けた能力」です。
物事を構造的に捉え、論理的に問題を切り分ける力。これは、エンジニア以外の仕事でも、驚くほど重宝されます。別のフィールドに立ってみることで、自分の持っている武器が、実はもっと広い世界で役立つことに気付く。それは「エンジニアを辞める」という喪失ではなく、「エンジニアとしての能力を、人生のあらゆる場面で使いこなす」という、新しい生き方の始まりでした。
人生には時折、自分ではコントロールできないことが起きます。ボクの場合、それは「なりたくなかった管理職になる」というものでした。
でも、その時々で、目の前に現れた「意図していない環境」や「思い通りにならない状況」に対して、「もしこれをやってみたら、未来の自分はどうなるだろう?」と少しだけ想像してみる。そして、拒否反応が大き過ぎないようであれば、流れに身を任せて、まずはやってみる。
そうやって歩んできた先に、20代の自分には想像もできなかった、けれど、意外と悪くない景色が広がっていました。
最近は、先行きの見通しが立てにくく、未来が見えなくて、悩んだり、不安を感じたりすることも多いと思います。ボクもそうです。
でも、これだけは言えます。あなたがこれまでエンジニアとして積み上げてきた努力や思考は、職種や環境が変わったとしても、決してあなたを裏切りません。
「こうあるべき」という枠に自分を押し込め過ぎず、目の前の変化を「道しるべ」として、少しだけ面白がってみる。エンジニアとして身に付けてきたことを信じて、これからの未来を、どうか軽やかに歩んでいってください。あなたが歩む道の先に、どんな新しい景色が広がっているのか。同じ、エンジニアという道を歩んだ一人として、心から応援しています。
本連載「仕事が『つまんない』ままでいいの?」は、今回をもって、最終回とさせていただくことになりました。
2015年1月21日に始まったこの連載も、ふと気付けば11年目。これまで長きにわたり続けてこられたのは、読者の皆さんのおかげです。本当にありがとうございました。
11年も書き続けていますと、ボク自身にもいろいろなことがありました。また、年齢を重ねるにつれて、「現場で働く皆さんの役に立てているのだろうか?」と、連載をやめることを考えたこともありました。
それでも、書き続けようと思ったのは、仕事が「つまんねぇな」と感じている読者の皆さんにとって、何かしらの癒しになればいいな、目の前の現実が少しでも良い方向に変わるといいなと願い、書きつづってきました。
仕事をしていると、思い通りにならないこと、思い悩むことがたくさんありますよね。ボクもそうです。しかし、無情にも時は進むし、解決の糸口が見えないことも多いものです。
ですが、これまでの人生を振り返ってみると、そんな、先が見えない中でももがき苦しんでいると、次第に、明るい光が少しずつ差し込んできて、いい方向に向かう……そんな日々の繰り返しでした。
読者の皆さんにとって、これからの未来がどうなるのか、ボクには分かりませんが、少しでも、仕事が楽しくなることを願ってやみません。なぜなら、ボクたちが多くの時間を費やしているのが仕事。仕事が少しでも楽しく感じられたら、それはつまり、人生が楽しいということに他ならないからです。
改めまして、長きにわたりお読みいただきまして、本当にありがとうございました。
特定非営利活動法人しごとのみらい 竹内義晴
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
仕事とは? 働くとは?――「働く意味」を見いだすロジカルシンキング
「仕事が『つまんない』ままでいいの?」の竹内さんに聞く、「これからの働き方」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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