Microsoft以外のクラウドベンダーとも協業を進めるOpenAIが、AWSとの協業強化を発表した。ステートフルランタイムの共同開発や「OpenAI Frontier」を取り巻く動きなど、AI開発者に影響を及ぼす内容を整理する。
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OpenAIとAmazon Web Services(AWS)は2026年2月27日(米国時間、以下同)、複数年にわたる協業計画と、直近の具体的な取り組みを発表した。AWSはOpenAIに対して、150億ドルを初期投資として拠出する。条件を満たした場合には、数カ月以内に最大350億ドルを追加投資するという。
両社は、AIエージェント向けのステートフルランタイム(状態保持型の実行環境)「Stateful Runtime Environment」を共同で開発し、AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」を通じて利用可能にする。Stateful Runtime Environmentにより、開発者はAIエージェントが複数のツールやシステムをまたいで実行するマルチステップ処理において、コンテキスト(前段の実行結果や状態など)を保持しながら、処理を一貫したワークフローとして継続できるようになる。
Stateful Runtime Environmentは、AIエージェント構築・運用支援サービス「Amazon Bedrock AgentCore」に加えて、仮想マシンやクラウドストレージ、認証といった他のAWSサービスと密接に連携する。開発者にとっては、開発したAIアプリケーションおよびAIエージェントを、AWSサービスで稼働する他のシステムと連携させやすくなる。両社はStateful Runtime Environmentを、発表から数カ月以内に提供するという。
両社の説明によると、AWSは「OpenAI Frontier」の「独占的なサードパーティーのクラウド配信プロバイダー」になるといい、OpenAI FrontierはAWSのクラウドインフラで稼働することになる。OpenAIが2026年2月5日に発表したOpenAI Frontierは、複数のAIエージェントが明確な権限や動作範囲の下で連携し、業務システムをまたいだ処理を実行できるようにする。
OpenAIはAWSインフラの利用契約を拡大させる。両社は、2025年11月に発表した380億ドル規模の既存契約を、8年間で1000億ドル引き上げることで合意した。この契約には、OpenAIがAWSのAI処理向けASIC(特定用途向け集積回路)「AWS Trainium」のリソースを、最大約2Gワット分利用することを含む。これによりStateful Runtime EnvironmentやOpenAI Frontierなどの需要拡大に対処できるようにする。この契約は、現行の「Trainium3」と次世代の「Trainium4」の両方が対象だ。
AWSの開発チーム向けに、両社はOpenAIのAIモデルをベースにしたカスタムAIモデルを共同開発する。AWSの開発チームは、用途別に調整したカスタムAIモデルを使って、ユーザー向けサービスを開発・運用できるようになる。これらの取り組みによって、AWSは同社の「Amazon Nova」など、開発チームが利用する既存のAIモデル群を補完する。
OpenAIの共同創業者兼CEO、サム・アルトマン氏によると、同社とAWSは「AIは人々に実用的で役立つ形で提供されるべきだ」という信念を共有している。OpenAIのAIモデルとAWSのインフラおよびグローバルな展開力を組み合わせることで「強力なAIを実用的な規模でユーザーの手に届けることができる」とアルトマン氏は説明する。
同日にOpenAIはMicrosoftとの共同声明も発表した。MicrosoftはOpenAIにとって主要な協業先であり、クラウドサービス群「Microsoft Azure」を通じたAIインフラの提供などで連携している。両社は声明で、こうした従来の提携関係には今後も変更がないと強調した。
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