OpenAIとAWSが共同開発する「ステートフルランタイム」でAI開発はどう変わる?Microsoftとの関係維持も強調

Microsoft以外のクラウドベンダーとも協業を進めるOpenAIが、AWSとの協業強化を発表した。ステートフルランタイムの共同開発や「OpenAI Frontier」を取り巻く動きなど、AI開発者に影響を及ぼす内容を整理する。

» 2026年04月09日 13時00分 公開
[@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 OpenAIとAmazon Web Services(AWS)は2026年2月27日(米国時間、以下同)、複数年にわたる協業計画と、直近の具体的な取り組みを発表した。AWSはOpenAIに対して、150億ドルを初期投資として拠出する。条件を満たした場合には、数カ月以内に最大350億ドルを追加投資するという。

AI開発に役立つステートフルランタイムを共同開発

 両社は、AIエージェント向けのステートフルランタイム(状態保持型の実行環境)「Stateful Runtime Environment」を共同で開発し、AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」を通じて利用可能にする。Stateful Runtime Environmentにより、開発者はAIエージェントが複数のツールやシステムをまたいで実行するマルチステップ処理において、コンテキスト(前段の実行結果や状態など)を保持しながら、処理を一貫したワークフローとして継続できるようになる。

 Stateful Runtime Environmentは、AIエージェント構築・運用支援サービス「Amazon Bedrock AgentCore」に加えて、仮想マシンやクラウドストレージ、認証といった他のAWSサービスと密接に連携する。開発者にとっては、開発したAIアプリケーションおよびAIエージェントを、AWSサービスで稼働する他のシステムと連携させやすくなる。両社はStateful Runtime Environmentを、発表から数カ月以内に提供するという。

「OpenAI Frontier」をAWSインフラで動かす

 両社の説明によると、AWSは「OpenAI Frontier」の「独占的なサードパーティーのクラウド配信プロバイダー」になるといい、OpenAI FrontierはAWSのクラウドインフラで稼働することになる。OpenAIが2026年2月5日に発表したOpenAI Frontierは、複数のAIエージェントが明確な権限や動作範囲の下で連携し、業務システムをまたいだ処理を実行できるようにする。

 OpenAIはAWSインフラの利用契約を拡大させる。両社は、2025年11月に発表した380億ドル規模の既存契約を、8年間で1000億ドル引き上げることで合意した。この契約には、OpenAIがAWSのAI処理向けASIC(特定用途向け集積回路)「AWS Trainium」のリソースを、最大約2Gワット分利用することを含む。これによりStateful Runtime EnvironmentやOpenAI Frontierなどの需要拡大に対処できるようにする。この契約は、現行の「Trainium3」と次世代の「Trainium4」の両方が対象だ。

AWSの開発チームを支えるカスタムAIモデルを共同開発

 AWSの開発チーム向けに、両社はOpenAIのAIモデルをベースにしたカスタムAIモデルを共同開発する。AWSの開発チームは、用途別に調整したカスタムAIモデルを使って、ユーザー向けサービスを開発・運用できるようになる。これらの取り組みによって、AWSは同社の「Amazon Nova」など、開発チームが利用する既存のAIモデル群を補完する。

 OpenAIの共同創業者兼CEO、サム・アルトマン氏によると、同社とAWSは「AIは人々に実用的で役立つ形で提供されるべきだ」という信念を共有している。OpenAIのAIモデルとAWSのインフラおよびグローバルな展開力を組み合わせることで「強力なAIを実用的な規模でユーザーの手に届けることができる」とアルトマン氏は説明する。

 同日にOpenAIはMicrosoftとの共同声明も発表した。MicrosoftはOpenAIにとって主要な協業先であり、クラウドサービス群「Microsoft Azure」を通じたAIインフラの提供などで連携している。両社は声明で、こうした従来の提携関係には今後も変更がないと強調した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

その「AIコーディング」は本当に必要か?
Microsoft & Windows最前線2026
4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。