物理的に分離した2つのネットワーク間で、端末を使い分けずに業務システムを利用可能にするために、VDIを導入した仙台市消防局。その構成技術として「NVIDIA vGPU」を採用したのは、何のためなのか。
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仙台市消防局は、NVIDIAのGPU(グラフィックス処理装置)仮想化技術「NVIDIA Virtual GPU」(以下、NVIDIA vGPU)を活用する仮想デスクトップインフラ(VDI)を、2026年3月に本格稼働させた。VDIの構築により、職員が複数の端末を使い分けることなく、1台の端末で業務を遂行できるようにした。
職員はこれまで業務内容に応じて、仙台市の庁内LANに接続した端末(以下、庁内LAN端末)と、消防の基幹ネットワークに接続した端末(以下、消防OA端末)を使い分けていた。庁内LAN内の業務システムの利用には庁内LAN端末を使い、消防の基幹ネットワーク内の業務システム(以下、消防業務システム)の利用には消防OA端末を使う形だ。
庁内LAN端末と消防OA端末が異なる場所およびネットワークにあることから、職員は業務に応じて移動する必要があった。端末の台数が限られており、利用待ちが生じることもあったという。
状況を改善するために、仙台市消防局はVDIを導入して消防OA端末を仮想デスクトップ化し、庁内LAN端末で利用できるようにした。職員は庁内LAN端末を使って、仮想デスクトップを介して消防業務システムにアクセスできるようになった。業務に応じた端末変更や移動の必要がなくなり、利便性や業務効率の向上につなげている。
VDIを使って、物理的に分離したネットワーク間でシステムを利用可能にすることは、自治体の間では珍しいことではない。今回の取り組みの特徴は、VDIにNVIDIA vGPUを活用した点にある。
消防業務システムでは、地図の拡大・縮小やスクロール、ライブカメラ映像の表示といった処理が発生する。これらの処理をスムーズにするためには、仮想デスクトップに十分なグラフィックス処理性能が必要になる。
仙台市消防局は、サーバのGPUリソースを複数の仮想デスクトップで共有可能にするNVIDIA vGPUを活用することで、仮想デスクトップでも物理端末に近いグラフィックス処理性能を実現した。4コアCPUとCPU内蔵グラフィックスを備えた、一般的なビジネス向けノートPCと同等以上の快適さで利用できるという。
庁内LANと消防の基幹ネットワークは、通常は物理的に分離して運用している。これらを連携させる上では、厳密なセキュリティ対策が必要になる。
仙台市消防局は市の情報システム課と連携して、情報資産へのアクセスを常に検証するセキュリティモデルである「ゼロトラストセキュリティ」の考え方に基づくセキュリティ対策を実施した。これにより同局の職員は、庁内LAN内のどこからでも消防業務システムを安全に利用できるようになった。
仙台市消防局は消防OA端末の仮想デスクトップ化により、市・区役所内の災害対策本部との情報共有を円滑にし、大規模災害や事故発生時の迅速な連携につなげる狙いもある。NECとNECフィールディングが今回のシステム構築を担い、NECが2026年4月2日に発表した。
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