ハイブリッドワークにおけるPC利用では、どのようなリモートアクセス手段が使われているのか。運用管理やセキュリティ面で生じている課題とは何か。e-Janネットワークスの調査から読み解く。
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リモートアクセスサービスを手掛けるe-Janネットワークスは2026年3月11日、ハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)におけるPC利用の実態に関する調査結果を発表した。中堅企業および大企業の情報システム担当者・責任者計1014人を対象に、2025年12月18日から19日にインターネットで実施した調査に基づく。
ハイブリッドワーク向けに導入しているリモートアクセス手段では、リモートデスクトップが79.7%で最多となった。DaaS(Desktop as a Service)を含むVDI(仮想デスクトップインフラ)が38.4%、一般的なPC(いわゆるファットクライアント)からVPN(仮想プライベートネットワーク)で社内ネットワークに接続する方式が21.8%だった。
手段別に、リモートアクセスにおけるPC利用時の課題を聞くと、リモートデスクトップではセキュリティ運用の難しさが64.5%で最も多く、コストの増加(42.7%)や管理工数の増加(28.7%)も挙がった(図1)。VDIではコストの増加が60.4%と突出しており、管理工数の増加(35.5%)やセキュリティ運用の難しさ(31.9%)が続いた。PCでのVPN接続でもコストの増加(46.6%)が最多となり、セキュリティ運用の難しさ(37.1%)や管理工数の増加(36.7%)がいずれも3割を超えた。
リモートアクセス導入後のPCの運用管理負荷は「大幅に増えた」が26.8%、「やや増えた」が55.9%となった。合わせて約8割が負荷の増加を実感している。
ハイブリッドワーク時のセキュリティに関して不安を感じる要素としては、社外ネットワークや無線LANの利用が44.9%で最多となった(図2)。端末紛失・盗難時の影響範囲(37.9%)や外出時の業務端末の利用(35.6%)も上位に挙がった。
実施している情報セキュリティ対策は、社内ネットワーク経由の接続の強制(46.9%)や、端末内データの自動的な暗号化または削除(46.7%)がほぼ同水準で並んだ。MDM(モバイル端末管理)やMAM(モバイルアプリケーション管理)などによるモバイル端末のセキュリティ管理(34.2%)も一定の割合を占めた。
ハイブリッドワークにおける従業員(リモートアクセス利用者)の不満としては、社内用PCと社外用PCといった複数端末の管理が41.6%で最も多かった。オンライン会議の品質(音声・映像の遅延やハウリング)が34.8%、持ち運ぶPCの重さが33.8%で続いた。
現状のハイブリッドワークには「とても改善の余地がある」との回答が20.6%、「やや改善の余地がある」との回答が62.4%となり、合わせて8割以上が改善の必要性を感じていることが分かった。ハイブリッドワークでのPC運用で改善したいポイントとしては、適切なアクセス権の割り当てと管理が37.2%で最も多く、データを端末に残さない運用モデルの実現(36.9%)、持ち出し用PCと社内用PCといった複数端末の管理(33.5%)も同水準で挙がった。
ハイブリッドワークでのPC運用において重視したい指標は、運用管理の効率性(42.9%)や従業員にとっての利便性(40.8%)、セキュリティ(39.6%)がいずれも4割前後で並んだ。ハイブリッドワークにおける、理想的なPC業務の要件としては、社内外を問わず1台で業務ができる環境(44.9%)と、PCにデータを残さない仕組み(44.3%)が4割を超え、社内外での操作感の統一(33.0%)が続いた(図3)。
今回の調査結果からは、ハイブリッドワークの普及でPC業務の自由度が高まる一方、情報システム部門では運用・管理負荷の増大やセキュリティの脅威への対処が課題になっていることが分かった。e-Janネットワークスは、部分的な対策にとどまらず、PC運用やリモートアクセスの在り方を構造的に見直すことが、ハイブリッドワークの安定運用のために重要だと指摘する。
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