ペット&ファミリー損害保険は基幹システムを刷新し、ExcelのVBAやAccessで作成したツールの乱立による属人化を解消した。新サービスの創出にもつなげたという、同社の取り組みとは。
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T&D保険グループのペット保険会社であるペット&ファミリー損害保険は、基幹システムの刷新によって業務効率化やサービス開発の迅速化を実現した。新基幹システム「PaFit」は2023年8月から本格稼働している(図)。
ペット&ファミリー損害保険は2019年、前身の少額短期保険業者から損害保険会社に移行した。当時の基幹システムは、損害保険会社向けの会計基準に対応していなかった。補完のために「Microsoft Excel」のVBA(Visual Basic for Applications)や「Microsoft Access」(以下、Access)などで作成したツールを使って業務を進める必要があり、特定の担当者に依存した属人的な運用が常態化していたという。
VBAやAccessで作成したツールが乱立する中、契約数の増加と事業拡大に伴い、こうした運用は限界を迎えた。金融庁の監督下でセキュリティやコンプライアンスへの要求も高まったことから、ペット&ファミリー損害保険は基幹システムの全面刷新を決断した。同社のシステム部門は、限られたスタッフで、どのようにPaFitの開発を進めたのか。
ペット&ファミリー損害保険のシステム部門は5〜6人規模だ。そのため詳細な要件を最初に全て固めるウオーターフォール型開発は現実的ではなかったという。コンペを通じて検討を重ねた結果、同社はJBCCが提案した開発手法「JBアジャイル」を採用した。
JBアジャイルは、計画性を持つウオーターフォール型開発と、仕様変更に追従しやすいアジャイル開発の特徴を組み合わせた開発手法だ。ペット&ファミリー損害保険は、短期間で設計、開発、評価を繰り返す「イテレーション」ごとに、動作する画面を確認しながら開発を進められる点や、テストを段階的に実施できる点を評価したという。
開発には、GeneXus社のローコード開発ツール「GeneXus」を採用した。GeneXusは、業務要件やデータモデルを定義すると、複数の実行環境向けのソースコードを自動生成する。PaFitは2021年5月に開発が始まり、2023年8月に本格稼働を開始した。
PaFitの稼働開始後、ペット&ファミリー損害保険は業務フローの見直しとロボティックプロセスオートメーション(RPA)の活用を進めた。VBAやAccesssで作成したツールの機能もPaFitでまかなえるようになり、冗長な業務を廃止した結果、年間約2800時間の業務工数を削減できた。
効率化の結果、従来は定型業務を担当していた従業員が、新サービスの企画やAI/データ活用といった、付加価値の高い業務に取り組めるようになった。こうした中で生まれた新サービスが、キャッシュレス決済サービス「PayPay」のアプリケーションから加入できるペット保険「これだけペット」(2024年3月に提供開始)だ。ペット&ファミリー損害保険は、PayPayとの連携システム「PayFit」を約4カ月で開発したという。
2025年度には、PaFitを「PaFit 2.0」に発展させた。15種類あったサブシステムを集約し、これまで個別に管理していた顧客データを顧客単位で一元管理できるようにした。今後はこうしたデータ群を活用して、データに基づく意思決定を進める考えだ。JBCCおよびJBCCホールディングスが2026年5月15日に、この導入事例を発表した。
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