企業はAI関連予算の多くを、ソフトウェアやSaaS以外の分野に振り向けていることが分かった。その背景には、AI活用の広がりによる投資先の変化がある。企業のAI投資の実態を調査結果から読み解く。
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クラウドストレージベンダーのWasabi Technologies(以下、Wasabi)は2026年5月22日、グローバル調査「Wasabi Global Cloud Storage Index」2026年版の結果を発表した。Wasabi Global Cloud Storage Indexは、Wasabiが毎年実施する調査であり、今回が4回目となる。
Wasabiは、日本を含む12カ国のIT意思決定者1700人(うち日本は250人)を対象に調査を実施した。調査会社Vanson Bourneとの共同調査であり、対象は従業員100人以上の企業、調査期間は2025年11〜12月だ。
調査では、企業にAI関連予算の配分について聞いた。その結果、AI投資ではパッケージソフトウェアやSaaS(Software as a Service)よりも企業が優先する分野があった他、従来とは異なる投資傾向が明らかになった。調査結果の詳細と、Wasabiによる分析を見ていこう。
日本ではAI関連予算の67%(グローバルでは66%)を、AIアプリケーションの学習や運用を支えるデータやストレージ、コンピューティングの整備に充てていた。AI関連のソフトウェアやSaaSへの投資は33%にとどまった。
背景には、AI時代の進展による変化があると、Wasabiは分析する。AI関連のワークロード(アプリケーションやプロセス)の拡大によって、企業はソフトウェアよりも、それを支えるデータやストレージ、コンピューティングに予算を振り向けるようになったという。
Wasabiの戦略および市場インテリジェンス担当ディレクターであるアンドリュー・スミス氏によると、これまで大手のクラウド関連事業者では、収益の多くをソフトウェアやSaaSが占め、IaaS(Infrastructure as a Service)などのITインフラサービスが占める割合は比較的小さかった。「従来の市場のトレンドとは、全く逆の現象が起きている」とスミス氏は説明する。
AI向けITインフラの予算に関する質問では、予算を「削減予定」との回答は日本では0%、グローバルでも3%にとどまった。「増額予定」との回答は、日本では64%、グローバルでは60%に達した。「現状維持」との回答は、日本では35%、グローバルでは37%だった。
日本では61%、グローバルでは64%が、AIワークフローを支援するために、オンプレミスストレージとクラウドストレージを組み合わせたハイブリッドストレージを導入していると回答した。AIワークフローのうち、クラウドストレージサービスを特に利用している工程を聞くと「データの取得や取り込み、集約」と「モデルの保持およびアーカイブ」が挙がった。
クラウドストレージにおける主要な課題を聞いたところ、特に挙がったのが運用コストの抑制だ。調査では、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)アクセス料金やデータの下り転送料金など、ストレージ容量以外に発生するコストが、クラウドストレージへの総コストの51%(グローバルでは50%)を占めた。この割合は過去3回の調査からほぼ変化していない。
日本とグローバルのいずれも49%が、2025年のクラウドストレージコストが当初予算を上回ったと回答した。予算超過の要因について尋ねたところ、日本では93%、グローバルでは91%が、APIアクセス料金やデータ下り転送料などの従量課金に関連する要因を挙げた。ストレージ利用量や保存データ量の増加に加えて、クラウドサービスの利用拡大に伴って従量課金が増え、予算超過に拍車を掛けているとWasabiは分析する。
調査では、クラウドサービス内のデータの保護やセキュリティ対策にも課題があることが分かった。日本では42%、グローバルでは44%が、サイバー攻撃によってクラウドサービス内のデータにアクセスできなくなった経験があると回答した。「クラウドベンダーが、サイバー攻撃対策に必要なツールや機能を十分に提供していない」との回答は、日本では46%、グローバルでは41%に上った。
「AI導入が進むにつれて、企業はデータを保管、管理するストレージの課題に直面する。こうした課題に適切に対処できなければ、ROI(投資対効果)が大きく低下する恐れがある」。Wasabiの共同創業者兼CEOであるデビッド・フレンド氏は、こう指摘する。
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