「AIで障害調査」どころじゃなかったDeNA 「2週間でも無理」だった原因特定をどう2日で実現?分散した運用データを集約

DeNAではITインフラの運用管理にAIを活用する上で、ログなどの運用データの分散が課題となっていた。同社はこの課題を解決し、AIを活用した障害調査で原因特定にかかる期間を短縮した。具体的に何をしたのか。

» 2026年07月08日 13時00分 公開
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 ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は「AIオールイン」という全社方針の下、生産性向上や既存事業の競争力強化、新規事業の創出に向けてAI活用を推進している。同社のシステムを支えるITインフラの運用管理でもAIの活用を模索してきた。

 ITインフラの運用管理では本番環境を操作することがあり、アプリケーション開発のようにサンドボックスでAIによる自動化を試行することが難しかった。DeNAは検討の結果、インフラエンジニアが最も多くの工数を費やし、熟練したスキルも必要とする監視や障害調査の工程に絞ってAI活用を検討した。

 DeNAではこれまで、複数のコンポーネントで構成されたシステムに障害が発生した場合、各コンポーネントの担当者が総出で2週間かけても原因を特定できないことがあった。そのため監視や障害調査の高度化、効率化が急務だった。

AI活用の前提となる運用データの分散が課題に

 監視や障害調査では、AIがシステム全体の状態を分析できるように、各種の運用データを一元的に収集、分析する仕組みが必要だった。該当する運用データは、ログやメトリクス(CPU使用率や応答時間などの数値情報)、トレース(システムへのリクエストの処理経路や処理時間の記録)などだ。

 DeNAは性質の異なる2種類のシステムを運用していた。1000台以上のサーバで構成されたゲーム関連のレガシーシステムと、医療/ヘルスケア領域のサービスを支えるクラウドネイティブなシステムだ。レガシーシステムでは、これまで構築してきた内製ツールや運用の仕組みが積み重なり、運用データを横断的に把握しにくくなっていた。クラウドネイティブなシステムでは、コンポーネントごとに異なる方法で監視していたことから、運用データが分散していた。

運用データを集約 「2週間でも無理だった原因特定」をどう2日に?

 こうした課題を解消するためには、分散していた運用データを集約し、システム全体を横断的に把握、分析できる仕組みが必要だった。DeNAはこの仕組みをどう構築し、どのような成果につなげたのか。

 DeNAが採用したオブザーバビリティーツール「Dynatrace」は、システム内に導入する監視用エージェント「OneAgent」により、アプリケーションやサーバ、コンテナなどの構成要素と、それらの依存関係を自動的に検出、可視化する。これにより同社は、これまで複数の監視ツールを横断して確認していた運用状況を一元的に把握できるようになった。

 Dynatraceを選定する上で、DeNAは運用データの集約とAI分析の仕組みを評価した。Dynatraceは、データレイクハウス(異なる種類のデータを一元的に保存、管理する仕組み)の「Grail」に運用データを収集し、AI分析機能の「Davis AI」で各データを相関分析できる。これらの機能により、障害発生時の原因調査やシステム状態の把握を支援する。

 API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて、既存の監視ツールや内製システムと連携できることも、Dynatraceの選定を後押しした。これまで構築してきた監視の仕組みを生かしたまま、運用データをDynatraceに段階的に集約できるからだ。

 医療/ヘルスケア領域のサービスでは機微情報を扱うことから、厳格なセキュリティ要件を満たす必要がある。Dynatraceにはログのマスキング機能があり、プライバシー保護とセキュリティ要件を順守しながら運用データを分析できることも選定につながった。

エンジニアをより付加価値の高い業務に

 Dynatrace導入後は、障害調査や原因分析の効率が大幅に向上した。前述した複数コンポーネントで構成されたシステムでも、従来は2週間かけても特定できなかった原因を、1人のエンジニアが2日間で特定できるようになったという。

 障害調査などの運用管理工数を削減することで、エンジニアがより付加価値の高い業務に注力できるようになるとDeNAは期待する。今後はDynatraceの活用範囲をさらに拡大し、AIオールインに基づく運用高度化を推進するという。Dynatraceが2026年6月1日に、本事例を発表した。

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