セキュリティ人材不足が続く中、フリーランス市場ではどのような評価を受けているのか。2万件を超える案件を分析した調査では、平均年収は約1000万円に迫る一方で、職種別順位や案件数には意外な実態が浮かび上がった。高単価案件で求められるスキルや働き方とは。
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INSTANTROOMは2026年7月6日、「フリーランスボード」に掲載された2万4353件の案件を分析したセキュリティエンジニアに関する調査レポートを公表した。
調査期間は2024年2月1日から2026年7月6日まで。調査では、セキュリティエンジニアの平均月額単価は81.4万円、平均年収は977万円だった一方で、職種別では20職種中13位、案件比率は4.06%で10位だったことが分かった。
職種別年収ランキングでは「ITコンサルタント」が1283万円で首位となり、「PMO」が1130万円、「エンジニアリングマネジャー」が1124万円、「VPoE」が1113万円、「プロダクトマネジャー」が1107万円、「プロジェクトマネジャー」が1092万円と続いた。セキュリティエンジニアは「SRE」の976万円をわずかに上回ったが、20職種中では13位にとどまった。
職種別案件数ランキングでは、セキュリティエンジニアの案件比率は4.06%で10位だった。上位は「バックエンドエンジニア」が25.70%、「サーバサイドエンジニア」が16.29%、「インフラエンジニア」が14.65%、「アプリエンジニア」が12.30%、「プロジェクトマネジャー」が10.40%だった。
同レポートでは、クラウド利用の拡大やサイバー攻撃対策の強化を背景に需要が続いていると分析した。案件には脆弱(ぜいじゃく)性診断やセキュリティ設計、ログ監視、不正アクセス発生時の対応などを担うものが多く、金融や通信、SaaS、官公庁など幅広い分野で募集が見られたとしている。
働き方では、「フルリモート」が22.9%、「一部リモート」が57.4%、「常駐」が19.7%となり、リモート勤務が可能な案件は全体の80.3%を占めた。前月比ではフルリモートが1.7ポイント減少し、常駐は2.2ポイント増加したものの、依然としてリモート案件が多数を占める結果となった。
業界別では、「SIer・業務系」が1272件(5.22%)で最も多く、「サービス」が1151件(4.73%)、「toB」が934件(3.84%)、「Webサービス」が854件(3.51%)、「通信」が399件(1.64%)と続いた。同レポートでは基幹システムや個人情報、決済情報など重要なデータを扱う分野で、セキュリティ人材の需要が高い傾向にあると分析している。
また、高単価案件では、脆弱性診断やセキュリティ設計、ログ監視、不正アクセス対応といった実務経験に加え、クラウド環境や法令、社内基準への理解、さらに関係者へ技術的な内容を分かりやすく説明・調整できるコミュニケーション能力も重視される傾向が見られた。
「セキュリティ人材不足」という言葉だけを聞けば、セキュリティエンジニアは他職種と比較して高い需要がある印象を受ける。しかし、今回の調査では平均年収977万円という高い水準でありながら、職種別では20職種中13位、案件比率も10位という結果だった。
この背景には、企業が求めるスキルセットの変化がある。かつては脆弱性診断やSOC運用などの専門性だけでも差別化できたが、現在はクラウドネイティブ環境やDevSecOps、ゼロトラストなど、開発やインフラの知識を兼ね備えた人材が増えている。セキュリティは独立した業務ではなく、システム開発や運用と一体で考える領域に変化しており、「セキュリティだけできる人材」の希少価値は相対的に下がっている可能性がある。
一方で、今回の調査が示すように、高単価案件では技術力だけでなく、法令への理解や関係者との調整能力まで評価されている点は興味深い。セキュリティ対策は経営や事業部門を巻き込む取り組みであり、リスクを技術者以外にも分かりやすく説明し、合意形成を進められる人材ほど市場価値は高まりやすいようだ。
人材不足が続く今後も、セキュリティエンジニアの需要が急激に減ることは考えにくい。ただし「セキュリティ人材だから高収入」という時代ではなく、「セキュリティを軸に、クラウドや開発、マネジメントまで担える人材」が評価される時代に移りつつあるのだろう。(田渕聖人)
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