分析用データを蓄積するデータインフラに障害が発生した際、データの復旧に約8時間かかることがあったというカプコン。復旧時間を短縮するために、同社は何を変えたのか。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
ゲーム市場ではゲームソフトのデジタル販売が広がっている。「バイオハザード」シリーズや「モンスターハンター」シリーズなどで知られ、227カ国・地域で事業を展開するゲームメーカーのカプコンでも、ゲームソフト販売の約90%をデジタル販売が占める状況だ。
デジタル販売では、販売動向やユーザー行動といった、さまざまなデータが日々生じる。カプコンはこうしたデータを蓄積して分析し、今後展開するゲームなどのコンテンツの内容やリリース時期、価格設定、セール施策などに生かしている。
カプコンはこれまで、分析に使うデータを蓄積するためのデータインフラを社内サーバで構築し、運用してきた。事業拡大に伴うデータの急増や多様化によって、データ分析に関する処理性能が低下。障害が発生した際には、データの復旧に最大約8時間掛かることもあった。
分析結果を可視化するレポートシステムでは、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールのオンプレミス版とクラウドサービス版が併存しており、ライセンスの重複やサーバ運用、バージョン管理が負荷となっていた。カプコンは、これらの問題をどう解決したのか。
カプコンが取り組んだのは、データインフラおよびレポートシステムの刷新だ(図)。
データインフラには、Snowflakeの同名クラウドサービスを活用。従来の社内サーバで稼働するリレーショナルデータベースにデータを集約する構成から、大規模なデータレイクを中核に、用途ごとに複数のデータマートを用意する構成に改めた。
レポートシステムについては、SalesforceのBIツール「Tableau」のオンプレミス版と、クラウドサービス版の「Tableau Cloud」が併存していた状態から、Tableau Cloudに一本化した。
カプコンはデータインフラの刷新により、従来と比較してレポート作成時間を約80%削減した。障害時のデータ復旧時間については、最大約8時間から約2時間に短縮したという。レポートシステムでは、BIツールをTableau Cloudに一本化することで、重複ライセンスによるコスト増やデータのサイロ化、サーバ運用の負荷を解消した。
今後はゲームの販売データに加えて、アミューズメント施設やプロモーションイベントなどのデータも含めた、横断的な分析を進める。新しいデータインフラを活用して、自然言語で問い合わせができるAIエージェントの作成や検証といった、本格的なAI活用を進める計画だ。
データインフラやレポートシステムの刷新に取り組む上で、カプコンはSnowflakeとTableauの導入・運用実績を持つ日立ソリューションズの支援を受けた。日立ソリューションズは2026年7月15日、本事例を発表した。
障害調査にかかる時間を20分の1に airClosetは「客に言われるまで問題に気付けない」をどうなくした?
「ネットワーク機器の保守費“億超え”」「障害にすぐ気付けない」を解消 病院は何を変えた?
「データを社外に出さずAIを使えるインフラ」を1カ月で構築 Skyはどう実現した?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.