事業拡大に伴い、NASの容量不足や拠点間のIPアドレス競合といった課題に直面したトヨシマセンイ。同社はNASとネットワーク環境を刷新し、既存のIPアドレス体系を変更することなく、VPNを使わないリモートアクセス環境を構築した。
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事業拡大に伴って拠点やグループ企業が増えれば、ITシステムをどう統合するかが課題の一つになる。福井県に拠点を置く繊維企業のトヨシマセンイでは、事業拡大とユーザー増加を背景に「NAS」(ネットワーク接続ストレージ)の容量不足や、アカウント管理の負荷が課題となった。新たにグループ入りした企業とのシステム統合を進める中では、拠点間のローカルIPアドレスが競合するといった問題も浮上していた。
既存システムへの影響を考慮すればIPアドレス体系の変更も容易にはできない中、同社はNASとネットワーク環境を見直し、既存のIPアドレス体系を維持したまま拠点間を接続できる環境を構築した。従来利用していた「インターネットVPN」も不要になった。これを実現するため、同社ではVPNを介さずに暗号化通信を実現する手法を採用した。
課題の解決策として、トヨシマセンイはアイ・オー・データ機器の法人向けNAS「LAN DISK(HDL4-Z22WATBUシリーズ)」と、コネクトフリーが開発した通信技術「Internet3」を組み合わせた環境を構築した。
Internet3は、NASやクライアント端末などネットワーク上の機器に一意のIPv6アドレスを割り当て、機器同士をP2P(ピアツーピア)で直接接続する仕組みだ。ノード間の通信を暗号化することで、VPN機器を介さずに拠点間や社外から社内のNASにアクセスできる。
NASの刷新では、容量不足の解消に加えて管理性の向上も重視した。従来の「Linux」環境では、管理者が業務や部署ごとに共有フォルダを作成していたが、ユーザーの増加に伴って手動での管理が難しくなっていた。そこで「Active Directory」と連携し、「NTFS」(Windowsで標準的に使われるファイルシステム)によってユーザーごとに細かなアクセス権を設定できる「Windows」対応のNASを採用した。LAN DISK(HDL4-Z22WATBUシリーズ)はOSとして「Windows Server IoT 2022 for Storage」を搭載する。
一方、Internetは拠点間のIPアドレス競合や、リモートアクセスの課題に対して採用したものだ。Internet3は既存ネットワークで利用しているローカルIPアドレスとは別にInternet3のIPv6アドレスを利用するため、既存のIPアドレス体系を変更せずに導入できる。P2P通信の暗号化によってVPNが不要になるため、VPN機器の処理性能にパフォーマンスが左右されない。トヨシマセンイはこうした点を評価し、Internet3の採用を決めたという。
移行後は約60人の従業員がファイル共有やリモートアクセスにInternet3を利用。客先での打ち合わせ時に社外秘の「織物設計書」を参照する用途などで活用している。従来必要だったVPNへの接続が不要になり、接続にかかる手間や時間も削減された。
刷新後はストレージ容量に余裕が生まれた。従来は容量を確保するためも、不要なデータを削除するよう呼び掛けることもあったというが、こうした対応も不要になった。リモートアクセスの快適性の確保、ADとの連携によるアクセス管理の負荷軽減にもつながったとしている。
同事例は、アイオーデータが2026年7月22日に発表した。
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