PCやサーバのメインメモリとして使われる「DRAM」や、ストレージに使われる「NAND型フラッシュメモリ」の需給が逼迫(ひっぱく)する状況が続いている。今後も価格上昇は続くのか。メモリ争奪戦はいつまで続く見通しなのか。
PCやサーバなど幅広い機器に使われる「DRAM」や、SSDを構成する「NAND型フラッシュメモリ」の需給が逼迫(ひっぱく)している。
調査会社TrendForceが2026年8月25日に発表した調査によると、DRAMやNAND型フラッシュメモリの需要拡大を背景に、価格の上昇が続いている。こうしたメモリ価格の高騰は、企業が調達するPCやサーバのコストにも影響を及ぼす。
メモリメーカーは生産能力の拡大を進めているが、需要の伸びに供給が追い付くまでには時間がかかる。DRAMやSSDの価格はどこまで上昇し、メモリを巡る“奪い合い”はいつまで続くのか。
TrendForceによると、世界の主要クラウドサービスプロバイダー(CSP)はAI(人工知能)インフラへの投資を拡大しており、それに伴ってDRAMやNAND型フラッシュメモリの調達にかかる費用も急増している。CSPの設備投資額は2026年に前年比で98%増加し、2027年にも50%増加する見通しだ。
AIインフラへの投資拡大に伴い、DRAMとNAND型フラッシュメモリの調達額も膨らんでいる。主要CSPの設備投資額に占めるDRAMとNAND型フラッシュメモリの割合は、2026年の47%から2027年には68%に達するとTrendForceは予測する。
背景には、必要なメモリ容量の増加だけでなく、価格の高騰もある。サーバ向けDRAMの契約価格は2025年下半期に累計64%上昇。さらに2026年には約270%上昇する見込みだ。
NAND型フラッシュメモリを搭載する法人向けのSSDも2025年下半期に約35%上昇し、2026年には累計235%の上昇が予測されている。
特にDRAMでは、AIアクセラレーター(AI処理に特化した演算装置)に使われる「HBM」(High Bandwidth Memory:広帯域幅メモリ)の需要拡大が影響。メモリメーカーはHBMやサーバ向けDRAMの生産を優先しており、その分、PCなど他の用途に振り向けられる生産能力が限られている状況だ。
メモリメーカーは需要増加を受け、生産能力の拡大を進めている。ただし、新工場を建設して製造装置を導入し、供給量を増やすまでには時間がかかる。
TrendForceは、DRAMメーカー各社が2027年に新たな生産能力を立ち上げるものの、2027年後半までは大規模な増産効果は表れにくいとみる。製造に必要な期間を考慮すると、供給への本格的な寄与は2028年になる可能性がある。
さらにHBMは、一般的なDRAMよりも多くの生産能力を必要とする。このため生産設備への投資が増えても、DRAM全体の供給量がすぐに増えるわけではない。
では、メモリ不足はいつ解消するのか。TrendForceの予測では、DRAMについては2027年も供給が需要に追い付かない状況が続く見込みだ。AIサーバの増加に加え、1台当たりに搭載するHBM容量も増えるため、需要の伸びが供給の伸びを上回ると予測している。
一方、NAND型フラッシュメモリでは状況が変わる可能性がある。2027年には新たな生産能力の稼働などによって供給量の伸びが加速する一方、スマートフォンやノートPCなどの需要は低調になるとみられる。このため、2027年後半には供給不足が緩和し、価格にも下落圧力がかかる可能性があるという。
DRAMとNAND型フラッシュメモリを巡る“奪い合い”は当面続くものの、その出口は同じではない。NAND型フラッシュメモリは2027年後半に需給が緩む可能性がある一方、DRAMはAI需要の拡大によって不足が長期化する可能性がある。
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