社内外で活用する端末のセキュリティ対策として、オンプレミスVDIやDaaSではなく「データレスクライアント」にすると、どれだけ費用が下がるのか。調査結果を基に探る。
一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)のデータレスクライアント研究会は2026年8月27日、「VDI・DaaS月額費用比較調査」の結果を発表した。端末にデータを残さない「データレスクライアント」の導入検討時に比較対象になりやすい、オンプレミスVDI(仮想デスクトップインフラ)およびDaaS(Desktop as a Service:仮想デスクトップのクラウドサービス)との月額費用を比較したものだ。
データレスクライアントは、業務データを端末に残さないことで、端末の紛失や盗難などによる情報漏えいリスクを低減する製品分野を指す。仕組みは製品によって異なり、端末内で業務アプリケーションを実行しつつ、データを端末外に保存する方式が一例だ。他にも端末内の隔離領域に業務データを一時的に格納し、利用終了といった所定のタイミングで消去する方式などがある。
テレワークやハイブリッドワーク(テレワークとオフィス勤務を組み合わせた働き方)が定着する中、オフィスの内外を問わず、端末のセキュリティを確保することが重要になっている。こうした中、情報漏えいリスクを低減しつつ、通信速度が遅い回線でも安定した操作性を実現する手段として、データレスクライアントを選定する動きがあるという。
実際にデータレスクライアントの導入を検討する企業から、オンプレミスVDIおよびDaaSとの費用比較に関する問い合わせが寄せられていたことから、費用差の実態を調査することにしたとデータレスクライアント研究会は説明する。具体的にどの程度の費用差があるのか。
調査は、各サービスの公開価格/料金や大手ディストリビューターの見積もりを基に、1ユーザー当たりの月額費用を試算する形で実施した。
オンプレミスVDIとの比較では、1200ユーザー規模の見積もり例を基に試算した(図1)。オンプレミスVDIの合計初期投資額は5億6000万円(金額は全て税別)だった。これを60カ月(5年)で均等償却した場合、1ユーザー当たり月額費用は7783円だ。これに対してデータレスクライアントの1ユーザー当たり月額費用は550〜1800円であり、オンプレミスVDIとの費用差は最大で約7200円になった。
DaaSとの比較では、大手クラウドサービスの2種類のDaaS(便宜上「A」「B」と呼ぶ)について、100ユーザー、500ユーザー、1000ユーザーの各規模で試算した(図2)。例えば500ユーザー規模の場合、1ユーザー当たり月額費用はAが2653〜8050円、Bが7091〜1万3113円だった。これに対してデータレスクライアントは550〜1800円と、DaaSとの費用差は最大で約1万2500円となった。
調査期間は2025年12月から2026年6月。DaaSの費用には、一定の利用品質を想定した有償オプションの費用を含むという。オンプレミスVDI、DaaS、データレスクライアントのいずれも、要件や構成によって費用が異なる可能性がある。
データレスクライアント研究会は、日本のデータレスクライアント関連製品・サービスの開発や販売に携わるベンダー7社が参画し、2025年に発足した。データレスクライアントの定義の標準化や市場への啓発活動、調査研究などを活動の柱とする。
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