仮想化製品のライセンス条件の変更によって、大塚商会はユーザー企業1000社超を抱えるIaaS事業の存続の危機に直面した。ユーザー企業への影響を抑えながら、どのようにIaaS事業を継続できるようにしたのか。
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大塚商会は、自社データセンターを活用したIaaS(Infrastructure as a Service)「Cloud IaaS」を、1000社超のユーザー企業に提供してきた。Cloud IaaSのITインフラ構築に使っていた仮想化製品のベンダーは、製品の使用ルールやライセンス料金の変更を一方的に重ねた上に、2025年にはサービスプロバイダー向けライセンスの契約更新を認めないと通達したという。
この通達により、大塚商会は新規のユーザー企業へのCloud IaaSの提供を停止せざるを得なくなった。サービスプロバイダー向けライセンスの契約更新が認められず、安定したサービス提供を続けられるかどうかが不透明になったからだ。ライセンスが失効する2027年4月以降は、既存のユーザー企業にもCloud IaaSを提供できなくなることが決まっていた。
IaaS事業を続けるには、1000社超のユーザー企業の仮想マシン(VM)を収容でき、拡張性と可用性を備えた、新たなITインフラが必要だった。ライセンスの失効が迫る中、既存のVMを最小限の停止時間で移行する手段も欠かせなかった。どのような手を打ったのか。
大塚商会は、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)ソフトウェアを含むNutanixのクラウドインフラ構築・運用管理ソフトウェア群「Nutanix Cloud Platform」(以下、NCP)を活用して、Cloud IaaSの後継サービス「Cloud IaaS 2」を立ち上げた。2025年12月に受注を開始し、2026年1月から新規VMの提供を始めている。
既存のユーザー企業のVMをCloud IaaS 2に迅速に移行するために、Nutanixの「Nutanix Move」を利用した。Nutanix Moveは、Nutanix以外のベンダーの主要な仮想化ソフトウェアで動くVMを、NCPに移行するツールだ。NCPが含むNutanixのハイパーバイザー「Nutanix AHV Virtualization」(以下、AHV)の高可用性(HA)機能を活用し、Cloud IaaS 2のノード(サーバ)に障害が起きても、ユーザー企業のVMを自動復旧できるようにした。
約1年で1000社超のユーザー企業のVMを移行する必要があったことから、NCPを選定する際は、大規模なVMの安定運用の実績があることに加えて、移行を効率化するNutanix Moveを利用できることを特に評価した。HA機能など可用性を支える機能を標準搭載することと、管理ツール「Prism Central」でVMを一括管理でき、複数の管理ツールを使い分ける必要がないことなども採用を後押しした。
大塚商会はNCPを利用して、着手から約3〜4カ月でCloud IaaS 2のITインフラを構築した。これにより従来の仮想化製品のライセンスが失効する2027年4月より前に、Cloud IaaSに代わるIaaSを提供できるようになった。Nutanix Moveを使ったVM移行では、ユーザー企業1社当たりの作業は1時間以内で完結した。実質的な切り替え時間は20〜30分程度で済み、1カ月に100社以上の移行が完了したという。
今後はCloud IaaS 2をクラウドサービス事業の中核に位置付けて、ユーザー企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や事業継続を支援するサービスの拡充を進める。例えばバックアップやセキュリティ関連の取り扱い製品を、Cloud IaaS 2のオプションとして組み込むことを見据える。Nutanixの日本法人であるニュータニックス・ジャパンが2026年9月8日、本事例を発表した。
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