「強いパスワードが分かる」だけでは危険、“24問のテスト”で見えたセキュリティ知識の穴:公共Wi-Fiや生成AIの使い方にも盲点

強いパスワードの見分け方は知っていても、フィッシングサイトを見分ける方法は正しく理解していない――。サイバーセキュリティに関する知識は、基本的なテーマでも知識に偏りがあるようだ。世界167カ国を対象に実施したテストからその実態が明らかになった。

» 2026年10月15日 08時00分 公開
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 サイバー攻撃や個人情報の漏えいが相次ぐ中、システムやインターネットを安全に利用するための知識はますます重要になっている。サイバーセキュリティ企業のNordVPNは2026年9月24日、サイバーセキュリティに関する知識を測定する「ナショナルプライバシーテスト2026」の結果を発表した。

 サイバーセキュリティに関する24問の設問があり、日本は総合スコアで世界9位だった。個別の設問では、強力なパスワードを正しく識別できた回答者は92%だった一方、フィッシングサイトの識別方法を正しく回答できたのはわずか8%となるなど、基本的な知識に偏りがある状況も見られた。

“24問のテスト”で見えたセキュリティ知識の穴

 日本の回答者は、どのようなセキュリティ知識を持ち、どの分野が苦手なのか。具体的な設問や、回答の傾向、求められる対策などを見ていこう。

 同テストには世界167カ国から2万3181人が参加。日常のデジタル生活やプライバシー、サイバー攻撃への対処などに関する24問への回答を分析した。

 世界1位となったのはシンガポールの52点だった。次いでポーランドが51点、ドイツとフィンランドが50点で続いた。

 24問の設問を個別に見ると、日本の回答者が比較的高い正答率を示したのは、「強力なパスワードの識別」(92%)や、「SNSでフォロワーに公開するコンテンツの範囲」(91%)だった。「閲覧データを収集する可能性のある企業」についても76%が正しく回答した。

「フィッシングサイトの識別方法」など世界平均を下回る

 一方、「フィッシングサイトの識別方法」に関する設問の正答率は8%で、世界平均の20%を12ポイント下回った。

 「銀行から身に覚えのない出金を知らせる連絡を受けた際の対応」では、適切な行動を回答できたのは62%で、こちらも世界平均の82%を大きく下回った。「ブラウザにクレジットカード情報を保存するリスク」についても、日本の正答率は69%で、世界平均の87%より18ポイント低かった。

「仕事でAIを利用する際のプライバシーリスク」は正答率3%

 生成AIに関連する設問でも、正答率に大きな差が見られた。

 「AI技術を悪用した一般的な詐欺」を正しく識別できた日本の回答者は56%で、世界平均の74%を18ポイント下回った。「ディープフェイクコンテンツの主な兆候」については47%で、世界平均の50%を下回った。

 一方、「AIツールに共有すべきではない情報」については66%が正しく回答し、世界平均の57%を9ポイント上回った。ただし、「仕事でAIを利用する際に考慮すべきプライバシー上の問題」を正しく回答できたのは、わずか3%だった。

 「SNSへの投稿がAIモデルの学習に利用される可能性」を理解していた回答者は77%で、世界平均の91%を14ポイント下回った。

 AIに入力すべきではない情報について一定の知識がある一方で、業務利用に伴うプライバシー上の問題については、正しく回答できた人が極めて少なかったことになる。

プライバシー保護について正答率が低い傾向に

 AI以外の分野でも、具体的なプライバシー保護の方法に関する設問は正答率が低かった。例えば「安全な公共Wi-Fiの利用方法」は正答率が3%、「アプリへのデータアクセス許可」については9%、「Cookieの主な目的」については17%だった。

セキュリティとプライバシーに関する24のチェック項目

 実際にどのような知識が問われたのか。24問の設問内容は次の通りだ。

  1. アプリにどのデータへのアクセスを許可すべきか
  2. SNSでフォロワーに公開するコンテンツの範囲
  3. アプリやオンラインサービスの利用規約・プライバシーポリシー
  4. オンライン上のプライバシーを守るツール
  5. アプリをアップデートすることのセキュリティ上のメリット
  6. 公共Wi-Fiを安全に利用する方法
  7. 使わなくなったオンラインアカウントの管理
  8. Metaによる非利用者からのデータ収集
  9. 強力なパスワードの識別
  10. パスワードを安全に保存する方法
  11. インフォスティーラーが窃取する可能性のある情報
  12. マルウェアの感染経路
  13. AI技術を悪用した一般的な詐欺
  14. 閲覧データを収集する可能性のある企業
  15. フィッシングサイトの識別方法
  16. Cookieの主な目的
  17. 仕事でAIを利用する際のプライバシー上の問題
  18. ディープフェイクコンテンツの主な兆候
  19. ブラウザにクレジットカード情報を保存するリスク
  20. 銀行から身に覚えのない出金を知らせる連絡を受けた際の対応
  21. AIツールに共有すべきではない情報
  22. SNS投稿がAIモデルの学習に利用される可能性
  23. 公共USB充電ステーションのセキュリティリスク
  24. 公共の場所にあるQRコードを読み取る際のセキュリティリスク

 ナショナルプライバシーテストは誰でも無料で受験できる。挑戦したい場合は、ナショナルプライバシーテストの公式サイトから受験できる。

NordVPNが推奨する6つの対策

 NordVPNは、AI時代にオンラインセキュリティとプライバシーのリスクを低減するために、次の対策を推奨している。

  • 強力なパスワードを作成し、安全に保管する
    • アカウントごとに異なるパスワードを使用し、信頼できるパスワードマネジャーで管理する。利用可能な場合はパスキーも有効にする
  • 多要素認証(MFA)を有効にする
    • 重要なアカウントに追加の認証手段を設け、パスワードが漏えいした場合でも不正アクセスを防げるようにする
  • プライバシー保護ツールの役割を理解する
    • VPN、パスワードマネジャー、トラッカーブロッカー、エンドツーエンド暗号化を利用するメッセージサービスなど、それぞれの用途や保護範囲を理解する
  • アプリの権限を見直し、最新の状態に保つ
    • 位置情報や連絡先、マイク、写真などへのアクセスを必要な範囲に限定し、不要な権限を削除する
  • 公共Wi-Fiを安全に利用する
    • 接続先のネットワークが正しいことを確認し、不明なネットワークでは機密性の高い操作を避ける。必要に応じてVPNを利用する
  • AIツールに共有する情報を慎重に判断する
    • 適切な保護と利用許可が確認できない限り、パスワードや財務情報、社外秘の文書、顧客データなどを入力しない

 今回の調査では、基本的なセキュリティ知識に関する設問と、具体的なリスクへの対処やプライバシー保護の方法に関する設問で、正答率に大きな開きが見られた。個々の脅威を知るだけでなく、サービスやツールがどのような情報を扱い、どこまで保護できるのかを理解することが重要だ。

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