国内企業で不正アクセスや個人情報漏えいの公表が相次ぐ中、企業のセキュリティに対する意識はどう変化しているのか。調査から、大企業と中小企業の意識や対応の違いが明らかになった。
2026年9月以降、カーシェアやホテル予約、小売店のアプリなど、身近なWebサービスで個人情報漏えいの公表が相次いでいる。こうした報道を受け、企業の危機感や対策状況はどう変わっているのか。
ビジネス向け製品・サービスの比較サイトなどを運営するミツモアは2026年10月8日、「サプライチェーンセキュリティに関する実態調査(第2回)」の結果を発表した。調査は2026年10月5〜6日にインターネットで実施した。従業員1000人以上の企業で発注先の選定・決定に関わる229人と、従業員300人未満の中小企業の経営者・役員229人、計458人を対象としている。
相次ぐ個人情報漏えいの報道に対しては、大企業と中小企業の間で“危機感の違い”が見られた。
個人情報漏えいの報道を受けてセキュリティへの危機感が高まったと回答した割合は、大企業が90.0%、中小企業が56.3%だった。
「大きく高まった」と回答した割合に限ると、大企業が55.5%だったのに対し、中小企業は21.4%で、約2.6倍の差があった。
危機感の違いは、対策にも表れている。報道後に顧客情報の管理ルールを見直した割合は、大企業が48.2%だったのに対し、中小企業は7.1%にとどまった。ここでいう管理ルールとは、顧客情報の保管期間や、情報を閲覧できる人の範囲などを指す。
顧客情報の管理ルールや社内システムの見直し、取引先への確認のいずれかを実施、または検討した割合も、大企業が77.9%だったのに対し、中小企業は22.3%だった。中小企業では「特に動きはない」との回答が37.1%で最も多かった。
中小企業で対策が進まない背景には、セキュリティに関する知識や判断材料の不足があるとみられる。
危機感が高まった中小企業の37.2%は、「対策が必要だと感じているが、何から手をつければよいかわからない」と回答した。大企業では同様の回答は6.8%だった。
対策を進める上での最大の障壁についても尋ねたところ、中小企業全体では「予算の不足」が29.7%で最も多く、「専門知識の不足」が26.2%、「何をしていいかわからない」が14.8%と続いた。
特に「何から手をつければよいかわからない」と回答した中小企業60人に限ると、最大の障壁として「専門知識の不足」を挙げた割合が40.0%だった。
また、今後1年以内に実施するセキュリティ対策の予定が「特にない」と回答した割合は、中小企業が58.5%で、大企業の12.2%を大きく上回った。
調査では、サプライチェーン全体のセキュリティ対策にも課題が見つかった。
大企業の88.2%は、取引先に何らかのセキュリティ対策を取引条件として求めていた。一方、取引先から対策を求められている中小企業74人のうち、43.2%は要求された対策を全ては実施できていないと回答した。
特に差が大きかったのは、「多要素認証・ID管理」「業務端末の管理」「事故時の報告体制の整備」「従業員へのセキュリティ教育」だった。
一方、「ウイルス対策ソフト」と「データのバックアップ」については、中小企業の実施率が大企業の要求率を上回った。
この結果についてミツモアは、中小企業ではウイルス対策やバックアップなどの基本的な対策が中心となり、ID管理や事故時の報告体制といった対策までは十分に手が回っていない可能性を指摘している。
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