金融商品の評価やリスク計算を支える、みずほ証券のITインフラ。計算件数が増え続ける中、同社は性能向上と安定稼働、将来の拡張を見据えて、「液冷」を採用したITインフラへの刷新を決めた。どう実現するのか。
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みずほ証券のグローバルマーケッツ部門は、国内外の顧客に公社債や株式、デリバティブ(金融派生商品)など、さまざまな金融商品およびサービスを提供している。同部門は、デリバティブ評価をはじめ、市場リスクや取引に伴う信用リスクの計量に向けたシミュレーションを実行してきた。
シミュレーションの1日当たりの計算件数は3億6000万件を超え、増加傾向にあったという。ビジネス規模が拡大する中で、より付加価値の高い金融商品・サービスをより多くの顧客に提供するには、シミュレーションを実行するシステムの計算リソースを増強し、高い計算性能を安定して引き出せるようにする必要があった。
こうした状況を踏まえつつ、次世代の金融システムを見据えて、みずほ証券はシミュレーションの計算を担うITインフラの刷新を決めた。1日3億6000万件超の計算を支えるITインフラの中核要素として選択したのは、液体冷却(以下、液冷)だ。同社が新しいITインフラをどう構築するのかを見ていこう。
みずほ証券が新しいITインフラの中核要素として導入を決めたのは、Hewlett Packard Enterprise(HPE)のスケールアウト型サーバシステム「HPE Cray XD2000」だ。HPE Cray XD2000では、発熱量の大きい主要コンポーネントから、冷却液によって熱を直接取り除く「直接液冷」(DLC:Direct Liquid Cooling)方式を選択でき、みずほ証券はDLC方式を選んだ。
液冷に適したデータセンターも新たに構築する。これにより構築時点での冷却要件を満たすとともに、将来のシステム拡張にも備える。みずほ証券は2026年秋から液冷設備とサーバシステムの構築、稼働評価を進め、2027年4月以降に本番稼働させる計画だ。
HPEは「HPE Services」というサービスを通じて、HPE Cray XD2000の監視と保守を一貫して支援する。DLC設備と電源設備の稼働状況をリアルタイムで可視化し、冷却液の漏れを検知した際には自動で通報する。こうした仕組みによって、みずほ証券にとって初となるDLC方式のサーバシステムの安定運用を目指す。
2023年4月にHPEが実施した社内テストに基づく推定値では、DLC方式のHPE Cray XD2000は、空冷方式の同製品と比べて、1キロワット当たりの性能が最大20%高く、消費電力は15%少ないという。「HPE Apollo 2000」と「HPE ProLiant Compute」を組み合わせた現行サーバシステムと比べて、新サーバシステムではサーバの1ノード当たり性能が1.6倍になる見込みだという。
みずほ証券は、複雑化する金融シミュレーションを安定した計算性能で実行できるようにして、より付加価値の高い金融商品・サービスを、より多くの顧客に提供する狙いだ。まずサーバを8ノード導入し、本番環境で効果を確認しながら、サーバとラックを順次拡張する。同社はHPEの日本法人である日本ヒューレット・パッカードと共同で、2026年10月6日に本事例を発表した。
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