「Pythonは今年も2位」 いま人とAIが“最も使える”言語とは――GitHub年次調査「Octoverse 2026」:Pull Requestの「4割超」がAIエージェント起点に

GitHubは年次レポート「Octoverse 2026」を公開した。過去1年間のコードプッシュ数は179億回に達し、Pull Requestの40%以上がAIエージェント起点で作成されている。開発ワークフローや言語選択はどう変化したのか。

» 2026年10月31日 08時15分 公開
[@IT]

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 ソフトウェア開発プラットフォームを提供するGitHubは2026年10月28日(米国時間、以下同)、年次レポート「Octoverse 2026」を公開した。

 過去12カ月間(2025年10月1日〜2026年9月30日)のコードプッシュ回数は179億回に達し、2024年と2025年の合計を上回った。AIコーディングエージェントが日常的な協業ツールに移行し、2026年9月時点でPull Request(PR)の40%以上がAIエージェント起点で作成されているという。

 GitHubは同レポートを通じて、AIエージェント普及に伴う開発ワークフローやプログラミング言語のシェア、モデル選択、産業別の活用動向などを以下のように解説している。

AIエージェントと自動化によって、年間コミットは343億回、2年前の3倍以上

 過去1年間の全リポジトリにおけるコミット数は343億回、マージされたPRは13億件(1日平均350万件)に達し、いずれも2年前の3倍以上に拡大した。

プッシュ数、コミット数、GitHub Actionsのジョブ実行回数、マージされたPR数の年次推移(提供:GitHub)

 開発ペースを押し上げた要因はAIエージェントと自動化ツールの活用だ。2026年に新規作成されたリポジトリのうち、AIエージェントを指示する「エージェント設定ファイル」を含むものは、含まないものより平均8倍のコミット数を記録した。

 ワークフロー自動化機能「GitHub Actions」のジョブ実行回数は毎秒1440回(1日1億2400万回)と前年の3倍を超えた。依存関係管理ツール「Dependabot」のPRマージ数も3000万件を超え、既知の脆弱(ぜいじゃく)性を減らす更新ペースは2025年の約2倍となった。

 アクティビティーは2026年1月から増加し、6月ごろに急伸した。基盤モデルの性能向上に加え、複数日にわたって進捗(しんちょく)を追跡して特化型エージェントをオーケストレーションする永続的エージェントへの進化や、クラウド上でのリモート実行の広がりと時期が重なる。

プッシュ数、コミット数、GitHub Actionsのジョブ実行回数、マージされたPR数の月次推移(提供:GitHub)

 6月以降の全コミットの約55%は新規リポジトリからだが、既存開発者も活発だ。過去12カ月間にプッシュした開発者の平均利用期間は36カ月で、8月にPRを作成した開発者の75%以上が9月にもプッシュした。開発者1人当たりの関与リポジトリ数は前年比10%増え、オープンソースソフトウェア(OSS)を含むパブリックリポジトリへのコントリビューション数も25億件と前年(11億2000万件)の2倍以上に増えた。

PRの40%超がAIエージェント起点、レビューとセキュリティ機能も倍増

 AIエージェントの初期ドラフトから始まったPRの割合は、2026年3月の17%から9月には40%以上(単月1億1000万件、3月の約6倍)に上昇した。AIエージェント起点のPRは複数ファイルを変更する割合が約87%と、関与非検出のPR(79%)より高い。2週間以内にマージされた割合も、2月時点では関与あり(83%)が関与なし(約86%)を下回っていたが、9月には関与ありが90%に達し、関与なし(約86%)を逆転した。

 AIコーディング支援ツール「GitHub Copilot」の月間アクティブユーザーのうち、AIエージェント機能の利用率は前年の35%から55%に増加した。タスクを割り当てて自律作業させる「Copilot cloud agent」が前年比230%増と、チャット形式の「agent chat」(同85%増)を大きく上回った。相互運用性やリバースエンジニアリングに言及する新規パブリックリポジトリ数も、2025年の約3万件から13万件超へと、前年比300%以上増加している。

 レビューとセキュリティへの投資も進む。変更を小分けにして順次レビューしやすくする「Stacked pull requests」は、2026年7月30日のプレビュー公開から同年9月までに26万4000人以上が利用した。AI支援コードレビューと「GitHub Advanced Security」の利用は共に前年比90%以上増加し、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)キーなどの露出を防ぐプッシュ保護機能は2025年の約4倍となる58億回のスキャンを実行した。

「TypeScript」が首位維持、「人間とAIエージェントが好む言語」

 コントリビューター数に基づく言語ランキングは、前年に続き1位「TypeScript」、2位「Python」、3位「JavaScript」だった。2025年9月〜2026年9月の月間コントリビューター増加数はTypeScriptが362万人増、Pythonが323万人増、JavaScriptが182万人増で上位10言語中最大の伸びを示し、成長率では「Rust」が過去1年で倍増し、最速だった。2027年9月時点の予測ではTypeScriptとPythonが月間約1300万人、JavaScriptが740万人、4位以下は約220万人以下にとどまる見通しだ。

言語別コントリビューター数の月次推移(提供:GitHub)

 マージされたPRにAI関与が検出される割合は、TypeScript、Python、Rustで約40〜44%と、「Java」「C#」「C++」の約21〜34%を上回った(調査対象の全言語で20%超)。

 2026年作成のリポジトリでは、AIエージェント関与シグナルがあるリポジトリの35%でTypeScriptが主要言語だったのに対し、シグナルなしでは24%だった(2026年以前の作成でもシグナルあり27%、なし17%)。AIエージェントを使う開発者が出力を検証しやすい言語を選んでいる傾向がある。言語未指定時はAIエージェントがより限定された範囲の言語を好み、中でもTypeScriptを最も選択しているという。

 コントリビューター急増プロジェクトのランキングでは、「コミュニティー/独立系」で推論エンジンの「vLLM」「SGLang」「llama.cpp」やModel Context Protocol(MCP)関連の「awesome-mcp-servers」が上位に入った。「単一ベンダー/製品主導」ではAnthropicの「claude-code」(1位)、OpenAIの「codex」(2位)、Anomalyの「opencode」(3位)、Microsoftのコードエディタ「vscode」(4位)、GitHubの「copilot-cli」(5位)と、AIコーディングエージェントやエディタが上位を占めた。

Copilotユーザーの61%が複数モデルを併用

 2026年9月時点で、自身でモデルを選択したGitHub Copilotユーザーの61%が複数モデルを併用しており、4カ月前の50%から上昇した。有料プランユーザーの利用モデル数も5月の29種類から9月には47種類に拡大し、単一でリクエストの25%以上を占めるモデルはなかった。

 開発者が明示的に選択したリクエストを「汎用(はんよう)モデル(Claude Sonnet 5、Grok 4.7、GPT 6.1 Solなど)」「深い推論・計画モデル(Claude Opus 5.5、GPT 5.5など)」「高速・軽量モデル(Claude Haiku 5.5、Gemini 3.8 Flash、GPT 6 Lunaなど)」に分類すると、配分はそれぞれ38%、37%、25%と分散していた。

建設や鉱業、医療でも拡大――産業別のリポジトリ動向

 今回は初めて、北米産業分類システム(NAICS)で2022〜2026年作成のパブリックリポジトリのサンプルを産業別に分類し、「AIへの言及」「AIエージェントによるPR作成」の2シグナルを追跡した。

 2022年比でソフトウェア以外の産業も急増している。専門的/科学的/技術的サービスは、情報産業に次ぐ2位に浮上した。農林水産業は2つ、金融・保険業、医療・社会福祉業は1つ順位を上げた。成長倍率では、鉱業、採石業、石油・ガス採掘業が約65倍、管理・サポートサービス業と建設業が17〜18倍、最も緩やかな製造業でも約3倍に達した。

 ただし、管理・サポートサービス、鉱業、医療、農業では40%以上のリポジトリがAIに言及する一方、AIエージェント作成PRの割合は3%未満にとどまる。対して建設業はAI言及率が約25%ながら、AIエージェントによるPR作成率は全産業最高の約9%を記録し、製造業が続いた。

世界の登録開発者は2億2500万人超、日本は715万人で5位

 全世界の開発者数は2億2500万人を超えた。国別(2026年9月時点)では米国(3830万人)とインド(3200万人)が上位を占め、共に過去1年間で1000万人以上増加。日本は715万人で5位につけた。上位10カ国は次の通り。

  • 1位:米国(3830万人)
  • 2位:インド(3200万人)
  • 3位:中国(1240万人)
  • 4位:ブラジル(1020万人)
  • 5位:日本(715万人)
  • 6位:英国(647万人)
  • 7位:インドネシア(634万人)
  • 8位:ドイツ(630万人)
  • 9位:ロシア(507万人)
  • 10位:フランス(475万人)

 仮想プライベートネットワーク(VPN)のバイアスを補正したプロファイル所在地ベースのパブリックリポジトリへのプッシュ数では、1位米国、2位インド、3位中国、4位ブラジル、5位ドイツとなり、日本はフランス(8位)に次ぐ9位だった。

 2025年公表の2030年予測(インド5750万人、米国5470万人)では、1年で対象全カ国が目標までの差分を20%以上縮めた(米国38.6%、インド28.3%達成)。アジア太平洋地域(APAC)では日本のAIインフラ投資や韓国のAI人材プログラム、インドネシアのデジタル経済拡大など政府主導の投資が成長をけん引しているという。

 本調査は2025年10月1日〜2026年9月30日のGitHub上のアクティビティー(スパムやスタッフ、識別可能なボットを除外)を対象とし、産業分類やOSSランキングはパブリックリポジトリのみを集計した。モデル選択分析は2026年7月14日〜10月13日のGitHub Copilotにおける開発者選択リクエスト(週間アクティブユーザー1000人以上のモデル)を対象としている。

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