「CCENT」資格取得に向けて勉強中の新米ネットワークエンジニア、今回は「IPv6」について調べました。
新米ネットワークエンジニアのS君が、「IPv6」について調べました。
S君の目標は、CCENTとCCNAの資格取得です。勉強に抜けや漏れがないか会社の先輩社員 齋藤さん(炭水化物好き)が添削をしてくれるのですが……。
今回はIPv6を調べました。
IPv4アドレス枯渇問題は、NAT技術やVLSMによって短期的には解決しています。長期的な解決手段として、IPv6アドレスへの移行が考えられています。IPv4アドレスが約43億個あるのに対し、IPv6アドレスは43億の4乗と膨大な数だからです。
お礼にごちそうするランチ、リポートの出来でランクが変わるんですよね? 今回もがんばって調べたので、いい評価をいただけるといいなあ。
ところでこれ、何て読むんですか? ぶいろく? ぶいしっくす???
IPv4アドレスが32bitであるのに対し、IPv6アドレスは128bitで表します。
IPv4アドレスの多くは10進数で表記しますが、IPv6はほとんどが16進数で表記します。また、4桁ごとにコロンで区切ります。
IPv6アドレスはとても長い表記になるため、2つのルールにのっとって省略できます。
4桁に区切られる部分は、0を先頭から最大で3つまで省略できる。
「4桁全てが0」が連続したら、1度だけ二重コロン「::」で省略できる。
2回は省略できないので注意が必要です。
IPv4アドレスは「ネットワーク部」と「ホスト部」に分かれていました。これに対しIPv6アドレスは、「プレフィックス」と「インターフェースID」により構成されます。
IPv4アドレスのネットワーク部に相当し、ネットワークを定義します。IPv4同様にプレフィックス値を付け加えることで表します。
IPv4アドレスのホスト部に相当し、ホストを定義します。
特定のインターフェースを指すIPアドレスです。
IPv4同様に、複数の対象を表すアドレスです。図6のように最上位8bitが「FF」です。また、「フラグ」と「スコープ」が存在し、スコープの値によって宛先グループが異なります。
IPv4にはないアドレスです。マルチキャスト同様に特定のグループに対しデータを送信しますが、一番早くデータを受信した相手とのみ通信を行います。
ユニキャストアドレスは、以下の2つに分類されます。
IPv4のグローバルアドレス同様、WAN側インターフェースで使用できる一意なIPアドレスで、「グローバルルーティングプレフィックス」「サブネットID」「インターフェースID」から構成されます。また、グローバルルーティングプレフィックスの先頭3bitは、「001」からなる値です。
グローバルアドレスは図8のように分類できます。
IPv4アドレスのグローバルアドレスと同様な使い方をするのが、「2001::/16」で表されているインターネット用のIPv6アドレスです。
「6to4アドレス」は、IPv4とIPv6をトンネリングする技術です。IPv6グローバルIPアドレスの一部にIPv4グローバルIPアドレスを組み込み、カプセル化して利用します。
リンクローカルアドレスは「FE80::/10」からなるIPv6アドレスで、ルーターを超えてパケットが送信されることはありません。同一リンクでのみ使用できます。
全ての値が0であるIPv6アドレス「::」を未指定アドレスと呼びます。未指定アドレスは、アドレスが割り当てられていない場合に送信元アドレスとして使用します。
IPv6アドレス「::1」で表記されるアドレスが、ループバックアドレスです。IPv4アドレスでいう、「127.0.0.1」と同じ働きです。
IPv6アドレスを用いた通信の際に、IPv4しか利用できないノードと通信を行う場合に用いるアドレスです。
「::FFFF:192.168.1.1」のように表すことができ、最初の80bitは全て0で表され、次の16bitが全て1のFFFFで表された後に、10進数表記のIPv4アドレスを記載します。
「ネイバーディスカバリープロトコル」というIPv6アドレスのみに存在する機能があります。NDPは、同一セグメントネイバーのMACアドレスなどを検出したり、IPv6アドレスの変更を行ったりできます。
NDPは、以下のようなメッセージを送信します。
IPv4のARPリクエストとほぼ同じ動作をするもので、IPv6アドレスに対応するMACアドレス解決をする際に利用します。
NSの応答をする際に用います。
IPv6対応ルーターに対し、プレフィックスやデフォルトゲートなどのIPv6に関連する情報を要求します。同リンクの全ルーター宛てのマルチキャストアドレス「FF02::2」に向けて送信します。
IPv6対応ルーターが、RSに対する応答をする際に用います。同リンクの全ノード宛てのマルチキャストアドレス「FF02::1」に向けて送信します。
IPv6アドレスは、64bitのプレフィックスと64bitのインターフェースIDからなります。
同セグメント内のホストにIPv6アドレスを割り当てる際に、ネットワークを表すプレフィックスを変更する必要はありませんが、一意なインターフェースIDを割り当てる必要があります。
IPv6アドレスをスタティックに割り当てるには「管理者が手動で割り当てる」方法と、「プレフィックスを手動設定しインターフェースIDをEUI-64で割り当てる」2種類の方法があります。
EUI-64は、一意な値であるMACアドレスを使用し、インターフェースIDを生成する方法です。
図9は生成の流れです。まず48bitのMACアドレスを24bitに分割し、中央に「FFFE」を追加します。次に、前半MACアドレスの先頭から7ビット目を反転させます。これで一意なインターフェースIDを自動生成できます。
ダイナミックにIPv6アドレスを割り当てる方法も大きく分けて2つあります。「SLAAC」を用いて求める方法と、「DHCPv6」を用いて求める方法です。
ホストがリンクアップすると、ホストは同セグメントの全ルーターに対し、RSをマルチキャストします。RSを受け取ったルーターは、同セグメントのIPv6アドレス情報を記載したRAをホストに返信します。
ホストは、RAから得たIPv6アドレス情報と、EUI-64を用いて作成した一意なインターフェースIDを組み合わせユニキャストアドレス生成します。このように、IPv6アドレスを生成する方法をSLAACと呼びます。
DHCPサーバーを用意することなく設定できますが、DNSサーバーなどの設定できない項目もあるため、ステートレスな設定となってしまいます。
DHCPv6は大きく分けて2つあります。
1つ目は「ステートレスDHCPv6」です。SLAACで求めたIPv6アドレスでは足りない情報をDHCPv6サーバーから取得します。
2つ目は「ステートフルDHCPv6」です。(インターフェースIDを含む)IPv6アドレスを含む全ての情報を、DHCPv6サーバーから取得するものです。
IPv6ヘッダーはIPv4ヘッダーから大きく以下の3点が変化しました。
用語 | 意味 |
---|---|
エニーキャスト | マルチキャストの一種と言えるが、複数の宛先のうち、一番早く応答した相手と送信を行う。 |
EUI-64 | 48ビットのMACアドレスから、64ビットのインターフェースIDを生成する仕組み。 |
次回はIPv6とIPv4の共存方法についてリポートします。
リポート作成:新米S
今回も的確にポイントを押さえました。IPv6についてほとんど知らない状態からじっくり調べ上げた成果でしょう。次回はIPv6とIPv4の共存方法についてとのことですので、リポートには3種類方法を挙げてください。
総合評価は「よくできました」です。
「v6」の読み方は「ぶいしっくす」です。ですが、俗称としての「ぶいろく」の方が広く浸透してしまいました。ランチメニューは「6」にちなんで「おにぎり6個(鮭、梅、めんたいこ、ツナマヨ、鶏五目、いくら)」でお願いします。
齋藤
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