CCENT取得を約束させられた新米ネットワークエンジニア。今週の学習の成果は? そして先輩(炭水化物好き)の評価は?
シスコシステムズの資格「CCENT」取得を目標に勉強している新米ネットワークエンジニアのS君(いきさつはこちら)の、レポート提出日がやってきました。
炭水化物好きの先輩社員 齋藤さんにランチをごちそうすると、齋藤さんがレポートを添削してくれるのです。前回は「よくできました」の評価をもらったS君ですが、今回はどうでしょう?
リピーターはケーブルを流れる際に弱くなった(減衰という)信号を、元の強さに増幅・整調して、もう片方のポートから送信します。リピーターは、2ポート(ポート:ケーブルの差し込み口)しかありません。現在ではリピーター単体の製品はなく、後述のハブに置き換わりました。
「OSI参照モデルの物理層で動作する機器」といわれています。ハブは3つ以上のポートを持っています。ハブもリピーターと同様に信号を増幅して送信しますが、受信したポート以外の残りのポート全てから同じ信号を送信します。ケーブル(とその先につながっているPCなど)が集まる集線装置としての様子が、車輪の中心のハブ(スポークが集まる部分)に似ているからネットワーク機器もハブと名付けられたという説もあるそうです。
ハブはリピーターの機能を併せ持っていて、スイッチング機能の有無を意識して「リピーターハブ」と呼ぶこともあります。
ブリッジは「OSI参照モデルの第2層データリンク層で動作する機器」といわれています。リピーターと同様に2つのポート(ケーブルの差し込み口)があります。ブリッジではMACアドレスを学習します。宛先のMACアドレスを持つ機器がどちらのポートにあるか判断し、機器がある方のポートにだけデータを転送します。データ転送の制御はソフトウェアによる処理のため、後述のスイッチに比べると処理速度が遅いです。
ブリッジが2つのポートしか持っていないのに対し、スイッチは一般的に3つ以上のポートを持っています。ブリッジがソフトウェアで動作するのに対し、スイッチはASICと呼ばれる専用設計の集積回路によるハードウェア処理で動作します。ワイヤースピードという言葉がありますが、ケーブル内を流れるデータの理論上の最大値といえます。ASICを搭載したスイッチは、大半がワイヤースピードのデータを処理できる能力があります。
スイッチは、同じネットワークに存在する複数のPCなどを接続するために使用します。接続できる台数は12〜48台前後の製品が多いです。直接ルーターと全てのPCを接続できることが理想ですが、現実では難しく、一般的にはルーター<――>スイッチ<――>複数のPCという接続を行うことが多いと思います。
スイッチは、コリジョンドメインを分割できる点がハブと異なります。コリジョンドメインの規模を「小さく」することが、スイッチを使う一番の目的です。コリジョンドメインが小さくなればなるほど、ネットワークの帯域幅を理論値に近い値まで使えます。スイッチでは、1つのポートと接続されるPCなどだけでコリジョンドメインとなる、「マイクロセグメンテーション」という考え方を実現しています。
スイッチはハブの機能も併せ持つ機器でもあるため、現在市販されているスイッチのほぼ全てが、リピーターハブと比較する意味も含めて、「スイッチングハブ」と呼ばれています。
異なるネットワーク、インターネットの世界(WAN:Wide Area Network)と社内のネットワーク(LAN:Local Area Network)をつなげる機器です。IPアドレスを元に、どのネットワークへデータを送れば良いのか道案内をする(経路選択:ルーティング)ことが、ルーターの役割です。このルーティングを行うための判断材料としてルーターが使用するのが「ルーティングテーブル」です。
スイッチではコリジョンドメインでしたが、ルーターではブロードキャストドメインという言葉が頻出します。こちらも別のレポートでまとめます。
主な組み合わせとして、光ファイバーとUTP(LANケーブル)の変換をする装置を「メディアコンバーター」と呼びます。文字通り通信媒体(メディア)としてのケーブルの種別を変換できる装置です。リピーター機能により信号の増幅と整調を行います。さらに高機能な機器では、データのかたまりを全て受信するまでデータを溜めてから、違うケーブルへデータを転送できるスイッチ機能を持つものもあります。
用語 | 意味 |
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減衰 | 徐々に弱くなること。ネットワークの世界ではケーブル中を流れる信号が弱くなることについて使用する |
帯域幅 | ケーブルを流れるデータ量の単位。bit/秒またはbps |
マイクロセグメント化 | スイッチの1つのポートにPCなどが1台だけつながっている状態。全二重通信が使用できる |
コリジョンドメイン | コリジョン(衝突)が発生し得る範囲 |
ブロードキャストドメイン | ブロードキャストパケットが届く範囲 |
次回は、ネットワークデバイスやホストを接続するために適切なメディア、ケーブル、ポート、コネクターについてまとめます。
レポート作成:新米S
前回のレポートに比べると質が落ちてしまいましたが、知らなかった用語をまとめたのは良いことです。今後も続けましょう。
総合評価は「もう一歩」です。今回はレポートの質がイマイチなので、ランチは「海鮮丼ざるそばセット」でお願いします。
齋藤
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