そうだ、京都に行こう――LINEが京都の街中に開発拠点を作る、たった1つの理由:U&Iターンの理想と現実(48)(2/3 ページ)
どんな経緯で移住し、どのように暮らしているのか――LINE KYOTOで働くにエンジニア2人に話を伺った。
冗談まじりの発言をきっかけに京都移住へ
1人目は杉義宏さん。仙台で育ち、SI企業やWeb系ベンチャーを経て2012年にNHN Japan(現LINE)に入社した。現在は「Clova」の開発などに携わっている。
社内で京都オフィスの新設が発表されたのは2017年秋。当時、杉さんはあまり関心がなかった。京都は「はてなや任天堂がある土地」というイメージだった。旅行で来たことはあったが「移住したい」という認識はなかった。
しかし社外の知人が京都オフィスに興味を持ったため、社内担当者につないだ。仲介の過程で杉さんが「いいな、ぼくも京都に移住したいな」と軽いノリで言ったところ、「じゃあ、一緒に行きますか」と杉さんも新オフィス勤務の候補者になってしまったのだ。
冗談半分だった。「京都、いいところだよね」と仲介の場を盛り上げるつもりだったのかもしれない。だが東京に飽きてきたところでもあった。「6年住んだし、そろそろ環境を変えてもいいかな」と新天地を求める気持ちがチャンスに反応した。
東京を離れることは可能だったものの、戸惑いもあった。仙台にいる親に相談したところ「いいんじゃない!」と本人以上に前向きな反応が返ってきた。経緯を話しながら杉さんは「誰も止める人がいなくて」と笑う。背中を押してくれる人がいるのは喜ばしいことだが、誰も引き留めないことに一抹の寂しさも感じたようだ。
とんとん拍子に話が進み、上司とも話がついて、数日で京都移住が確定した。会社のスピード感に驚いた。
新居はオフィスから地下鉄で1駅。歩こうと思ったら歩ける距離だ。繁華街に近く、手ごろなスーパーもあり、生活には困らないそうだ。
LINE KYOTOへ異動しても、仕事内容(Clovaの開発)やチーム体制はほとんど変わっていない。デスクのある場所が東京から京都に移っただけ。
リモートで仕事をしているせいか仲間とは適度な距離感を保てる。新天地の刺激も加わり、仕事に好影響を与えている。「京都オフィスに来てから、早く帰る日が増えました」と杉さんは言う。
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