最終回となる今回はインターフェイスの役割について解説。オブジェクトがインターフェイスを実装すると何が起こるのか?
1 | オブジェクトの正体 | |
2 | クラスの定義からプログラム実行まで | |
3 | Windowsアプリケーションの正体 | |
4 | 継承を使うために知っておくべきこと | |
5 | 継承を使わないとしても知っておくべきこと | |
6 | 階層の頂点に立つクラス | |
オブジェクト指向プログラミングの基礎を解説してきた本連載も今回がいよいよ最終回となりました。今回は「インターフェイス」について解説します。
インターフェイスを使えば、オブジェクトが持つ本来の機能に加えて、さまざまな機能を複数の異なるオブジェクトに統一的に持たせることができます。それらのオブジェクトを扱う側では、インターフェイスを通じてオブジェクトにアクセスすることにより、オブジェクトによらないオブジェクトの操作が可能となります。
PCの世界で「インターフェイス」といえば、代表的なものに「USBインターフェイス」があります。ご存じのとおり、USBインターフェイスを備えたデバイス(機器)は、どのようなデバイスであっても、PCのUSBポートに接続して使用することができます。
これは簡単にいえば、USBデバイスがUSB規格書に従って形状やピン配列が設計されており、また、どのようなUSBデバイスに対しても、デバイス情報の取得、デバイスのオープン、デバイスのクローズといったコマンドを発行できるようになっているからです。
各USBデバイス側では、それがどのようなUSBデバイスであっても、それらのコマンドに対応するように作られています。
USBインターフェイスと同じように、C#やVB.NETでは、どのようなオブジェクトに対しても、同じコマンド(メソッド呼び出し)を使えるようにするための「インターフェイス」と呼ばれる仕組みが用意されています。
例えば、クラス・ライブラリには、「IListインターフェイス」というものが定義されています。インターフェイスの定義は、USBの規格書に相当するもので、具体的には、メソッドの一覧が定義されています(詳細は後述)。
そして、クラス・ライブラリのいくつかのクラスは、このIListインターフェイスに準拠しています。つまり、IListインターフェイスで定義されているメソッドを持っているわけです。
前回で取り上げたArrayListクラスや、第5回で取り上げたControlCollectionクラス(厳密にはControl.ControlCollecitonクラス)はIListインターフェイスを装備しているクラスの例です*1。これは、オブジェクト指向プログラミング用語では、「IListインターフェイスを実装しているクラス」といいます。
*1 IListインターフェイスを実装しているクラスの一覧はリファレンス・マニュアルで参照できます。
IListインターフェイスは、リスト形式によりオブジェクトを扱うためのメソッドを定義したもので、そのメソッドには、例えばリストに要素を追加するAddメソッドや、指定された要素を削除するRemoveメソッドなどがあります。IListインターフェイスを実装しているオブジェクトに対しては、これらのメソッドを呼び出すことができます。
例えば、ArrayListオブジェクトやControlColletionオブジェクト(コントロールのControlsプロパティの値)に対しては、次のようにしてAddメソッドにより要素を追加できます。
しかし、これはArrayListオブジェクトやControlColletionオブジェクトがそれぞれ独自にAddメソッドを実装しているのとは何が違うのでしょうか? その答えはインターフェイスを使ったポリモーフィズムを実現できることなのですが、それを解説する前にインターフェイスの定義と実装方法について簡単に説明します。
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