Javaを抜いた!? C言語人気の理由を考えるOSS界のちょっと気になる話(6)(1/2 ページ)

TIOBE Programming Community Indexのデータを基に、今後Web上での露出が増えるであろうプログラミング言語を予想してから半年が経った。その後、どんな変化が生じただろうか。

» 2012年07月27日 18時00分 公開
[後藤大地BSDコンサルティング株式会社]

半年で変化したプログラミング言語の話題動向

 本連載第2回目において「『次に来る』プログラミング言語を占ってみる」というタイトルでTIOBE Programming Community Indexに掲載されているデータを紹介した。これはオランダのTIOBE Softwareが毎月公開しているデータをベースに、今後Web上で露出が増えるであろうプログラミング言語を予想するという内容だった。

 TIOBE Softwareは、世界中のブログや技術ドキュメントなどのデータを分析し、インターネット上のドキュメントに多く登場するプログラミング言語を調べている。同社はこのデータをTIOBE Programming Community Index(TIOBE PCI)と呼んでいるわけだが、7月の発表で興味深い動きがあった。前回の記事から半年が経っている。どのような変化が生じたか、振り返るにはよいタイミングだ。

 7月のTIOBE PCIでは、Objective-CC++を抜いて3位に付けた。Objective-Cは強い成長を続けており、C++は逆に減少傾向にある。しばらくは3位と4位を行ったり来たりする可能性はあるが、現在の傾向を見る限り、Objective-Cは長期に渡って3位のポジションを確保し続ける可能性がある。1月の段階と比べると2つも順位を上げたことになる。

 そして1位はC言語だ。この10年、Javaが1位であり続けてきたが、ついに逆転した。すでに4カ月連続でC言語が1位を確保しており、この傾向は長期化する兆しを見せ始めている(もちろんまだ4カ月しか経っていないので、再び逆転する可能性もある)。

 10年以上昔、例えば15年前と25年前の7月の順位を見ても、どちらもC言語が1位になっており、長期にわたって、プログラミング言語として極めて重要なポジションであり続けていることが分かる。

急成長続けるObjective-C、1位を固めるC言語

 連載第2回のとき、TIOBE PCIの上位10位は次のようになっていた。

順位 言語
1. Java(17.479%)
2. C(16.976%)
3. C#(8.781%)
4. C++(8.063%)
5. Objective-C(6.919%)
6. PHP(5.710%)
7. (Visual) Basic(4.531%)
8. Python(3.218%)
9. Perl(2.773%)
10. JavaScript(2.322%)

 そして半年が経過した2012年7月のTIOBE PCIにおける上位10位は、次のようになっている。

順位 言語
1. C(18.331%)
2. Java(16.087%)
3. Objective-C(9.335%)
4. C++(9.118%)
5. C#(6.668%)
6. (Visual) Basic(5.695%)
7. PHP(5.012%)
8. Python(4.000%)
9. Perl(2.053%)
10. Ruby(1.768%)

 Objective-Cが極めて強く成長していることが分かるほか、C言語が1位の地位を揺るぎないものにしつつある様子が見えてくる。

 ただし、TIOBE PCIの値は細かく上下する傾向があるので、年単位での変化を把握する必要がある。TIOBE PCIのページに掲載されている10年間の変動を示したグラフが参考になる(図1図2)。

図1 図1 最近10年のTIOBE PCIの値の推移を示したグラフ。出典:TIOBE Software - 2012年1月
図2 図2 最近10年のTIOBE PCIの値の推移を示したグラフ。出典:TIOBE Software - 2012年7月

 年単位でのグラフを見ると、Objective-Cの成長がかなり力強いものであることが分かる。C言語とJavaの関係はまだ逆転する可能性も考えられるが、2008年ごろからの傾向を考えると、このままC言語が1位を継続するのではないかと見られる。Javaはシェアを減らしつつあるとはいえ、3位との差はかなり開いており、「1/2位」と「3位以下」という区分けになっていることも分かる。

 TIOBE PCIの順位はあくまでも検索エンジンから得られた情報を基に、「どれだけ話題に上がっているか」といったことを示すものであり、実際に使われている割合や人気を示すものではないし、プログラミング言語の性能を評価するものでもない。しかし、世間の何らかの動きとの関連性はあるものとみられる。

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