タイルウィンドウとタブいまさら聞けないVim(4)(1/3 ページ)

これまでにVimでテキストファイルを編集するために最低限覚えておきたい操作法を紹介してきました。今回は、Vimでタブやタイルウィンドウといったユーザーインターフェイスを利用する方法を紹介します。タブやタイルウィンドウを使いこなせれば、複数のファイルを開きながらの編集作業がだいぶ楽になります。(編集部)

» 2011年04月22日 00時00分 公開
[後藤大地@IT]

表示法を変えるだけでも効率は上がる

 前回は、Vimでテキストファイルを編集するために最低限必要な操作法を解説した。Vimは無数の機能を備えており、同じことをするにしても何種類もの操作法が存在する。前回はその中でも、ごく基本的な操作法をピックアップして紹介した。

 ごく基本的な操作法と言ったが、前回紹介した操作法を使いこなせるようになるだけでも、操作速度はかなり上がる。そうなるために長い「時間」を投資して「訓練」する必要があるが、将来に渡ってエディタでテキストファイルを編集するなら、それは価値のある投資だろう。

 今回はテキストファイルの編集に必要な操作法から離れて、テキストを編集するウィンドウについて紹介する。あるファイルの中身を見ながら別のファイルを編集したいというのはよくあることだ。また、編集したいファイルは1つだけとは限らない。特にプログラミングをすると、同時に複数のファイルを開いて並行的に編集作業を進めるということもよくある。Vimはこのような用途に対応できる機能として「タイルウィンドウ」と「タブ」の機能を提供している。今回はこの2つの機能に焦点を当てて解説する。

タブとタイルを使い分ける

 現在主流のWebブラウザのほとんどはタブの機能を搭載している。タブというユーザーインターフェイスに馴染んでいるユーザーはかなりの数になるだろう。これまで新規ウィンドウで表示していたコンテンツを「タブ」というユーザーインターフェイスに収めることで、1つのウィンドウに複数のコンテンツを保持できるようになった。タブには、ウィンドウの数が増えるのを防ぐ効果がある。

 Webブラウザにおける成功例を見るとユーザーインターフェイスとしてタブには一定の効果があると言える。現在ではブラウザに限らずインスタントメッセンジャーやターミナルエミュレータ、Twitterクライアント、IRCクライアントなど、さまざまなアプリケーションがタブを採用している。

 タブは便利だが、複数のタブの表示内容を同時に見ることができないという欠点もある。ウィンドウの内部を複数のウィンドウに分割して、同時にコンテンツにアクセスできるようにするユーザーインターフェイスもある。さまざまな呼び方があるが、このユーザーインターフェイスは「タイル」あるいは「タイルウィンドウ」と呼ぶことが多い。タイルウィンドウは同時に複数のコンテンツを表示できるため、比較したりコピーしながらの作業が簡単になるという特長がある。

 タブとタイルウィンドウは相反するものというよりも、相互に補完しあうものと見た方がいい。複数のコンテンツをタブを使って表示させ、特定のタブは、さらにその中でタイルウィンドウを使って複数のコンテンツを同時に表示させるといった使い方もできる。この2種類のユーザーインターフェイスを組み合わせると無駄な作業が減り、作業効率が上がる。

Vimが提供する機能を覚える

 Vimはタイルウィンドウ機能もタブ機能も提供している。しかし、これら2つの機能はVimを実行するために必要となるターミナルエミュレータも備えているため、実はわざわざVimの機能を使わなくてもタブもタイルウィンドウも使える。

 タイルウィンドウ機能もタブ機能も提供しているターミナルエミュレータにはTerminatorなどがある。ターミナルエミュレータでなくとも、GNU Screenといった疑似ターミナルアプリケーションを使うことで同様の表示が可能になる。

 ではなぜVimが持つタイルウィンドウやタブの機能の使い方を覚えなければならないのか? 新たにターミナルエミュレータをインストールする必要がなく、どのターミナルエミュレータを使っていても同じ操作法でタイルウィンドウやタブを駆使できるからだ。Vimを使っていると、自分が使い慣れたコンピュータだけでなく、どこか出張に行った先で使うこともあるだろう。そのようなときは、新たにターミナルエミュレータをインストールできないこともある。このようなときでも、Vimのタイルウィンドウとタブの機能の使い方を覚えていれば、効率よく作業ができる。

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